発行:一声社 この版元の本一覧
A4横変 32ページ 上製
定価:1,300円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-87077-207-6 C8793
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:2009年02月 書店発売日:2009年02月16日
あらかじめご了承下さい。
紹介
村の子どもらは、かっぱのかんきちと仲良しだ。夏には、片貝川で素もぐりを教えてもらう。ところが、1人だけいつまでももぐれない子どもがいた。それが庄屋の息子=じんろくだ。たった1人でもぐりの稽古をするじんろくが、不幸にも水死する。それを大人たちは、「かっぱのかんきちがやったのだ」と決め付け、殺してしまう。嘆き悲しむかんきちのかあちゃん。その後、村に疫病が流行り、子どもらが生死をさまよう。観音様のお告げは、「かっぱのかあちゃんに、妙薬を作ってもらうしかない」。子ども:かんきちの敵である、大人たちの願いを「村の子らは、かんきちの友達だでなあ」と受け入れる。妙薬を作るには、大きな石が必要だ。片貝川にあった大きなすり鉢上の石で妙薬を作ったかあちゃんは、精根尽きて死んでしまう。妙薬を飲んだ子らは日に日に元気になり、村人はいつまでもかっぱの親子の冥福を祈る。
前書きなど
原作者あとがき
塙町片貝で菊池トヨさんと出会いました。トヨさんはご高齢にもかかわらず、かくしゃくとしておられ、昔語りをしていただくと絶妙な語り口で聞く人を魅了しておりました。菊池さんの昔語りに惹かれて、『トヨばあちゃんの昔話』(第1集・第2集)を編集したのが、カッパのかん吉が産声をあげたときでしょうか。
片貝川の遊歩道の中ほどに、「くりーん」と穴の開いた不思議なすり鉢状の大石があります。美しい自然、清流の心地よいせせらぎ、そしてすり鉢に溜まった水鏡が織り成す幻想的な世界で、かん吉の世界が育っていきました。
原作を菊池トヨさんに差し上げたところ、トヨさんの昔語りの中で、かん吉はさらに深みのある世界を作り上げ、このたび廣田弘子さんのグループに出会って、新たな生を歩み始めたのです。絵本作家・藤原あずみさんの手により、かん吉はいっそう生き生きと動き出しました。
絵本作成に当たりご尽力いただきました廣田弘子さん、藤原あずみさんのお力添えに改めて感謝申し上げます。
佐藤 修
版元から一言
かっぱという異端者を、子ども達は受け入れるが、大人が排除し、あろうことか命まで奪ってしまう。実力者である庄屋の息子の「死」に対して、誰かを犠牲にし、供えなければならない。それは、弱いもの・ヨソ者である。こうした図式が、現代社会にも脈々と流れている。「異端者」「はけぐち・犠牲」「本当の愛」「受け入れること」などについて、考えさせる、中身の深い絵本。
関連書
化かす騙す
機転を利かす
馬鹿の鏡
女の底力
遠藤登志子の語り
関連リンク
著者プロフィール
廣田 弘子(ヒロタ ヒロコ)
保育士、語り手たちの会会員。著書=詩集『花といっしょに』『母からの道』。東京都墨田区八広小学校校歌・作詩補作。
上記内容は本書刊行時のものです。藤原 あずみ(フジワラ アズミ)
画家・エッセイスト。主な作品=『お話とあそぼう』『もっとお話とあそぼう』(以上、一声社)、『野遊びいっぱい』(萌文社)
上記内容は本書刊行時のものです。菊池 トヨ(キクチ トヨ)
語り部。
上記内容は本書刊行時のものです。コメントとトラックバック 1件 »
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「版元からの一言」がよかったですね。
色々な形で「差別」「格差」「言い訳」が人々の心を寸断しているこの世。
カッパの世界を借りて、それをそっとたしなめている。
二本足以外にも、生命体が存在する……そんな思いを子どもたちが抱くことができ、自分の周辺に気を配ることができるようになれば、彼らもまた「生きる」ことを感じなおし、人々の心はもっと豊かになるでしょう。
大事な本の刊行に乾杯。
コメント by あじろ ひろお — 2009/1/30 金曜日 @ 0:25:04