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日本メディアアート史
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2014年12月
- 書店発売日
- 2014年12月20日
- 登録日
- 2014年11月12日
- 最終更新日
- 2021年2月17日
紹介
ビデオ×アート、
コンピュータ×アート、
情報×アート。
日本の技術革新とともに進化してきた
“今いちばん熱い芸術”を一望する。
草月アートセンター、大阪万博、つくば科学博、ARTEC、セゾン文化、ARTLAB、ICC、そして大学教育のなかで──
芸術家たちはテクノロジー/マスメディア/社会といかにして切り結び、芸術表現を生み出してきたのか。
新進気鋭の研究者による待望の通史が登場!
坂根厳夫(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]名誉学長)
「第二次世界大戦後に生まれたテレビやコンピュータなどのメディア技術が、戦後の日本で多彩なメディアアートにまで育っていった経過を、当時を知る人々を海外にまで訪ねて取材し、世界的な視野から詳しく検証してまとめあげた名著である。」
吉見俊哉(東京大学大学院情報学環教授、東京大学副学長)
「芸術はメディアだ。
60年代に爆発的に広がったこの発見がたどる歴史を、同時代人の無数の証言から鳥瞰する。見えてくるのは、メディアアーティストが国家や企業、大学との間で繰り広げてきたスレスレのドラマだ。」
目次
序章
第1章 起源としての実験
前衛芸術という思想
テクノロジーの導入/草月アートセンターから万博へ/万博の前夜祭
日本万国博覧会
戦後日本社会と1970年/前衛芸術と企業/万博が残したこと
社会的メディアとしてのビデオ
コミュニケーションの方法論/1970年代に対する観点
第2章 アートにおけるコンピュータ
コンピュータアートの誕生
情報美学と川野洋/電子ヒッピーCTG/CG-ARTS協会
CGの新しい地平
SIGGRAPH、二人の日本人/ARTS ON COMPUTER
第3章 つくばという場
JAPAN TODAY
転換期の文化的アイデンティティ/真の日本
科学技術の国際競争力
科学技術立国/ニューメディア・ブーム
国際科学技術博覧会
映像博/1980年代の映像文化
メイド・イン・ジャパン
家電から電子立国へ/メイド・イン・ツクバ
第4章 80年代と90年代の連続性
アートとテクノロジーの現在
グループ・アールジュニ/1986年をめぐって
ARTECの10年
新しいビエンナーレの意味/万博を離れて/現代アート文脈の強化/メディアがアートを変える時/ARTECの遺産
第5章 情報社会における芸術
国と企業の間
西武・セゾン文化
時代精神の根據地/音と映像の情報発信館
ARTLABの遺産
新しい形態の文化支援/ARTLABの特殊性/10年間の活動
諸領域の相互疎通の場──ICC
ICCとは何か/過渡期におけるプレ活動/開館と現在の視点
終章
芸術と技術の統合によるデザインの研究/メディアの筑波派/芸術学科のない総合大学の中へ/メディアアート専門教育機関の誕生/情報化社会の芸術教育/文理越境による拡大/教育の場における創作と研究
前書きなど
序章より
国内外を問わず、言葉の射程が定まっていないなか、本書では「メディアアート」を作家と作品と観客を取り囲む環境としてのテクノロジーの発達に伴う社会現象として、またそれに対するアーティストの取り組み方の問題として定義してみたい。この開かれた定義は、日本におけるメディアアートという対象を、アートという狭い文脈から解放し、日本の現代史のなかに明確に位置づけることを可能にする。
(略)
1970年代以降の日本のエレクトロニックアート紹介において、美術館における展覧会ではなく、博覧会の名前が羅列されているのはなぜだろうか。なぜこれらの場を並べずには、日本のメディアアートの軌跡を語ることができなかったのだろうか。
こうした問題意識から、本書は個別の作家や作品ではなく、その背景を成す時代像に焦点を当ててみる。すなわち、本書はメディアアートの作品論と作家論を可能な限り排除して書かれたメディアアート史である。このような方法論が、究極的には、すべての表層的な要素、移り変わっていく背景を取り除いた後に残る、メディアアートの本質たるものを強調することを目的にしていることは言うまでもない。
本書は、戦後の前衛芸術の実験に簡略に触れ、メディアアートが一つの現象として現れ、様々な社会要素と相互作用しながら形成、発展していく1980年代から1990年代にわたる拡張を中心に考察する。その後の2000年代の変貌は、これからの重要な課題として残したいと思う。
上記内容は本書刊行時のものです。