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上方のをんな 片岡 秀太郎(著) - アールズ出版
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上方のをんな (カミガタノオンナ) 女方の歌舞伎譚 (オンナカ゛タノシハ゛イハ゛ナシ)

芸術
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四六判
192ページ
上製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-86204-212-5   COPY
ISBN 13
9784862042125   COPY
ISBN 10h
4-86204-212-0   COPY
ISBN 10
4862042120   COPY
出版者記号
86204   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年12月
書店発売日
登録日
2011年11月4日
最終更新日
2016年3月16日
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書評掲載情報

2012-02-19 毎日新聞
2011-12-18 日本経済新聞
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紹介

心眼といわれた十三代目片岡仁左衛門の次男、片岡秀太郎。ほとんどの歌舞伎役者が東京に居を構えている中、上方の空気に触れ、そこで寝起きするからこそ、本物の上方らしさが自然と身につくものと、頑なに上方にこだわり続け、上方歌舞伎の頭脳といわれるほどの研究家でもある。古稀を迎えた今年、六十余年となる役者人生を振り返り、数々の名優たちとの芸談、さまざまな演目、役のしどころ、見どころなどを語る。
名優の誉れ高い十三代目片岡仁左衛門の次男に生まれ、上方に生き、上方らしさに徹底的にこだわり続ける役者、片岡秀太郎が初めて語る女方の真髄!

目次

第一章 秀太郎、とわずがたり
松嶋屋に生まれて/顔見世の思い出

第二章 上方の をんな歌舞伎譚
河庄「小春」/恋飛脚大和往来「梅川」、「おえん」/廓文章 吉田屋「おきさ」
沼津「お米」/女殺油地獄「おかち」、「小菊」、「お吉」、「おさわ」

第三章 三大義太夫狂言
菅原伝授手習鑑「苅屋姫」、「立田の前」、「桜丸」、「八重」、「戸浪」/義経千本桜 すし屋「弥助実は三位中将平惟盛」、「小せん」/仮名手本忠臣蔵「顔世御前」、「おかる」、「お才」、「お石」

第四章 上方の歌舞伎に生きて
仁左衛門歌舞伎/関西歌舞伎中之芝居/上方歌舞伎塾と平成若衆歌舞伎/上方歌舞伎への思い

前書きなど

はじめに
私は大の「お父さんっ子」で、いつも「お父ちゃん」である十三代目片岡仁左衛門の話ばかりしていて、母の話はほとんどしていなかったようです。仲の良い京都の芸妓さんにも、「おにいさん。お父さんの話はようしてくれはるけど、お母さんのお話は、してくれはらしまへん」と言われました。でも決して、母と不仲だったわけではないのです。父の血液型はO型ですが、母と私は同じ〝A〟型。時にはぶつかり合うこともありましたが、お互いの気持ちが良く分かり合っていました。
 母は、名人と言われた講釈師・錦城斎典山(*ルビ*きんじょうさいてんざん)の娘で、東京の神田に生まれ、幼い時から講釈や歌舞伎に対する知識も感性も鍛えられたようでした。そのため、父と結婚してからも、役者の演技が気になって仕方がなかったのでしょう。私たち家族に、いろいろと注文を出したり、注意をしたりすることが多く、若かった私は「お母ちゃんは演出家ではないのだから、自分の考え方を押し付けないで!」と反発することも、しばしばでした。でも、母の注文や注意が、尤もだと感じることも多々ありました。
 「お父ちゃん崇拝」の私は、父の舞台に対する姿を学び、〝父の芝居〟を継承してきたつもりです。今になって思えば、父の芸質の上に、そんな母の感性も受け継いできたように思います。役者の演技は、その人の感性によって左右され、大きな個人差が生まれます。父は「演技に、正解も間違いもない」と、よく言っておりました。だからこそ「これで良いという終わりもない。命のある限り修業を続けるのだ」と。
 今回ここでお話していることも、すべてが正しいわけではなく、また間違いでもありません。今年七十歳という古稀を迎え、〝役者六十五年〟に至った今の私の感性をお話したまでのこと。決して学術書のようなものではありません。ただ、私の話で、歌舞伎に対して、皆様がより興味を持っていただけたら何よりの喜びですし、この一冊が、後に続く歌舞伎役者の人たちの何らかの役に立てれば幸せです。私の話を文章にまとめてくださった坂東亜矢子さんに誘われて、「思わず、こんなことまで話してしまった……」という部分もありますが、とても分かりやすく、正確に表現してくださったことに感謝しています。ここでお話したいろいろな経験をさせてくださった父をはじめとする諸先輩様、こんな私の話を〝本〟として残しておきたい、と言ってくださったアールズ出版社編集担当の小野寺弘海さんに、心から感謝しますとともに、この『上方のをんな』を読んでくださる皆様に、厚く御礼を申し上げます。




平成二十三年十二月吉日  片岡秀太郎

版元から一言

セリフの言葉ひとつにも、その役の性根をあらわすような呼吸、間合いがあるということを、あらためて思い知りました。著者が語る上方のをんなは、役のひとつひとつを繊細に描きだし、上方歌舞伎の世界へ導いてくれます。歌舞伎ファンはもちろん、これから歌舞伎役者を目指す方々にとっては、これほど貴重なテキストはありません。また各演目の芸談だけでなく、松嶋屋に生まれ育った著者ならではの、他では知ることのできない思い出の数々や、女方の役者としての苦悩、三男の孝夫が十五代目仁左衛門襲名に至ったことなども忌憚なく語っている。

著者プロフィール

片岡 秀太郎  (カタオカ ヒデタロウ)  (

本名・片岡彦人(よしひと)。十三代目片岡仁左衛門の次男に生まれる。1946年京都南座で『吉田屋』禿役で片岡彦人の名で初舞台。1956年大阪歌舞伎座の『河内山』の浪路で二代目片岡秀太郎を襲名。やわらかみのある上方の女方として、活躍。兄は五代目片岡我當、弟は十五代目片岡仁左衛門、養子に片岡愛之助。

上記内容は本書刊行時のものです。