発行:吉備人出版
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A5判 375ページ 上製
定価:4,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-86069-140-0(4-86069-140-7) C3033
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年10月
書店発売日:2006年10月21日
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紹介
1977年に発表した、ジョン・フランシス・ブレイの社会革命論に関する論文ををはじめ、80年の京大大学院時代にまとめた「ディルクの余剰価値論」、「マルクスの絶対的余剰価値論」、そして四半世紀をへて新たに書き下ろした「マルクスとエンゲルスの社会的権力論」など、一市民として研究を続けてきた経済学研究者による渾身の一冊。
イギリス初期社会主義とマルクスを通じて、忘れられた範疇「社会的権力」概念を復権させようとするものである。「社会的権力」とは「会社」の権力にとどまらず、「労働組合」、「協同組合」、「学校」および「さまざまな社会運動の権力」を含む概念である。この概念の復権をめざすことはとりもなおさず、これまで政治権力を中心にして語られて来たきらいのある社会主義像に、新たな光を与えようとすることである。それは国家主義的社会主義の拒否であると同時に、プルードン的社会主義でもない、「協同組合の連合」として提起されている。
目次
はじめに
ーA.ベルク生誕120年・没後70年の想い出にー
序 章 “社会的権力”概念をめぐって
1 丸山真男氏の場合
2 M.ウェーバーの場合
3 伊藤光晴氏の場合
4 滝村隆一氏の場合
5 広松渉氏の場合
6 N.プーランツァスの場合
7 H.マルクーゼの場合
8 R.ヒルファーディングの場合
9 ヴィーザーの場合
10 V.I.レーニンの場合
11 M.マンの場合
12 W.シュルツの場合
13 星野智氏の場合
第1章 ジョン・フランシス・ブレイの社会革命論−社会的権力の獲得をめざして−
はじめに
Ⅰ 社会制度把握
1 社会批判の方法
2 資本と労働との交換
3 資本と労働
4 土地と労働手段の共同所有
5 生産力認識
Ⅱ 社会制度の変革
Ⅲ 所有共同体の理想と現実
1 共同出資体の実験と失敗
2 所有共同体の理念
3 中間的社会変革の提起
Ⅳ 貨幣制度の変革
1 貨幣把握
2 銀行制度の批判
3 銀行制度の変革
Ⅴ 株式会社制度
1 社会的所有としての株式会社制度
ⅰ 株式会社の過渡的性格
ⅱ 株式会社の連合構想
a 社会的生産諸力
b 社会的所有
c 労働時間の短縮
d 労働貨幣
ⅲ 社会的権力の獲得をめざして
2 社会的権力と政治的権力
結 語
第2章 ジョン・グレイの交換銀行論
はじめに
Ⅰ 貨幣認識
Ⅱ 銀行制度論
Ⅲ 交換の組織化と生産の組織化
結 語
第3章 功利主義思想とマルクス−教育思想を中心として−
はじめに
Ⅰ エルヴェシウスの社会=教育思想
Ⅱ J.ベンサムのクレストマティアの学校
Ⅲ J.ミルの教育論
Ⅳ R.オーウェンとオーウェナイツの教育思想
ⅰ R.オーウェンの性格形成原理
ⅱ W.タムスンの教育思想
ⅲ J.F.ブレイの教育思想
Ⅴ W.ラヴェットの教育論
Ⅵ マルクス・エンゲルスの教育思想
結 語
第4章 交換過程の課題−wie,warum,wodurchの問題によせて−
はじめに
Ⅰ 『資本論』現行版において
Ⅱ 『資本論』初版、『経済学批判』および『経済学批判要綱』において
結 語
補 論1:物神性論の位置づけについて
補 論2:「移行規定」について
補 論3:価値規定と価値法則について
第5章 ディルクの剰余価値論
はじめに
Ⅰ 剰余価値論
ⅰ A.スミスの余剰価値論
ⅱ D.リカードウの余剰価値論
ⅲ ディルクの剰余価値論
Ⅱ 利潤率の低下論
Ⅲ 自由処分可能時間論
ⅰ ディルクの自由処分可能時間論
ⅱ ディルクとマルクス
結 語
第6章 マルクスの絶対的剰余価値論−ディルクとマルクス−
Ⅰ 問題提起
Ⅱ 絶対的剰余価値論の課題
Ⅲ 結語にかえて
附 論:現代社会における人間と生命−抽象化された生命の克服のために−
Ⅰ 生と死の弁証法
Ⅱ 抽象化された生命
ⅰ ブロイラー肥育農場
ⅱ 体外受精と精子銀行
Ⅲ 具体的な生命の回復のために
ⅰ 生命の上向法的把握の試み
−「もの」的生命概念から「こと」的生命概念へ−
ⅱ 人間と自然の物質代謝過程
ⅲ 資本主義における「人間の自然力」と「土地の自然力」
Ⅳ 生きるということ−結語にかえて−
終 章 マルクス・エンゲルスの社会的権力論
Ⅰ マルクス・エンゲルスの社会的権力概念について
ⅰ 『共産党宣言』から
ⅱ その他の歴史著述から
ⅲ 『資本論』から
a 社会的権力としての貨幣の権力
補 論1:『経済学批判要綱』および『経済学批判』
原初稿における貨幣の権力論
補 論2:『要綱』「資本にかんする章」および『経済学批判』(1861-63年草稿)における社会的権力論
b 『資本論』第1部「資本の生産過程」における「資本の権力」論
c 社会的権力としての資本の権力
Ⅱ 社会的権力の獲得のために
あとがき
前書きなど
Memento mori!
この言葉が、本書を完成・出版すべく、わたしを駆りたてた。本書を構成する諸論文はほぼ20年前に完成していた。これらは、大学院での研究生活のあと、一市民として研究をつづけて書きためたものである。諸々の事情が一冊の書物にすることを妨げた。しかし、死を前にして、ただ一つ成しうること、どうしても成し遂げなければならないことがあるとすれば、それは私にとって本書を完成させることであった。ある一つのことをするために、他のあらゆることを断念すること、この禁欲の成果がこの書物である。マーラーは
Dunkel ist das Leben,ist der Tod .と歌ったが、私は Dunkel ist die Jugend,ist das
Alter. と歌わざるをえない。
もう一つ、私を駈りたてたものは、アルバン・ベルクの『ヴォツェック』であった。あるいは、ベルクを通じてのビュヒナーの『ヴォイツェック』であったと言うほうがよいかもしれない。オペラ『ヴォツェック』は私にとって、単に鑑賞対象としての数あるオペラのうちの一つにすぎなかった。しかし、あるとき、虐げられ、蔑まれ、貶められるヴォツェックとは私自身のことである、と気づいたとき、私は『ヴォツェック』について書くことができる、書かなければならない、と思った。それから6年の歳月が流れた。
版元から一言
本書はイギリス初期社会主義とマルクスを通じて、忘れられた範疇「社会的権力」概念を復権させようとするものである。「社会的権力」とは「会社」の権力にとどまらず、「労働組合」、「協同組合」、「学校」および「さまざまな社会運動の権力」を含む概念である。この概念の復権をめざすことはとりもなおさず、これまで政治権力を中心にして語られて来たきらいのある社会主義像に、新たな光を与えようとすることである。それは国家主義的社会主義の拒否であると同時に、プルードン的社会主義でもない、「協同組合の連合」として提起されている。(著者の言葉)
著者プロフィール
岸 徹(キシ トオル)
1948年岡山市生まれ。1976年名古屋大学経済学修士。1981年京都大学大学院経済学研究科博士後期過程 学修。フリー
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