詩集 かげろうの森で
棹見 拓史:著
発行:創風社出版 この版元の本一覧
A5判変型 160ページ 上製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-86037-086-2 C0092
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月 書店発売日:2007年10月01日
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紹介

 時代の深淵を覗く詩人の最新詩集。怪しく奇妙な気配の独特の詩世界を構築し、第一章は、日常生活のなかの、人間存在に潜む怒りや哀しさ、切なさを、第二章では、社会やその仕組みに対する批判を収める。

前書きなど

あとがき

 蜉蝣(かげろう)という昆虫は、生後二、三日で死んでいくというのだ。口は退化していて、雄の胃の腑は空っぽのままだが、雌はすでにそこに卵を詰めこんであえいでいる。昼間は水辺を飛び回り、夜は外灯の光に群がって、朝になると路上に雪のように降り積り、そこには数匹の生き残りが羽をばたつかせて、狂い走っているのである。
 実は、生死を離れた、私たちの日常生活のなかでさえ、日々繰り返えされる身辺の情動や、個々の不思議な言動の内奥にも、この蜉蝣の物語が普遍的に内蔵されているように思えてくるのである。
 ここに上梓した作品群は、私たちの日常生活のある生態を抽出し、それに別の形を与え、その関係を再構築することで、現実を逆照射しようとしたものである。それというのも、現実の輪郭が漠とした現代という時代に、そのためにうすくなった言葉や意味が、確たる心象を伝えうるのかという危惧を抱いてのことであった。私は、いわば、日常生活のなか”蜉蝣”を狩りだして、別の場所に移して提示することで、時代とのバランスを保ってきたように思うのである。
 一章は、日常生活のなかの、人間存在に潜む怒りや哀しさ、切なさを、二章では、主として社会やその仕組みに対する批判を収めた。それらは怪しく、奇妙な空気の粒子をまとい、密かにうごめいている蜉蝣のような生きものたちである。

 ある朝、竹籔の叢から、”熙鴣”という名の小鳥が、首に真珠の斑紋をならべ、陽に向って飛びたつのを見た。そんなとき、その清廉な小鳥の羽毛の上に、この本をそっと添えたいと思うのである。

著者プロフィール

棹見 拓史(サオミ タクシ)

本名 松本通雄 1935年生まれ
日本現代詩人会会員 愛媛詩話会会員
詩誌:「ばらた」主宰 詩誌・「蘭」同人
詩集:『奇妙な仕事』『うすい病気』
   『左へ曲がる鬼たち』(共著)
   『うすく笑う青空』など

上記内容は本書刊行時のものです。
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