発行:創風社出版
この版元の本一覧
B6横 124ページ 上製
定価:1,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-86037-077-0(4-86037-077-5) C0093
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年12月
書店発売日:2006年12月25日
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前書きなど
数年前のことになるのだが、愛媛県西宇和郡伊方町豊之浦在住の辻真澄氏から、「こんなものがあるんだが」と、『塩成堀切 富田信高小伝』と題された手書き論文のコピィを示された。それは、四百字詰原稿用紙に万年筆で書かれたもので、確か五十枚程のものだったとおもう。筆者は熊谷正文となっていた。辻氏との関係は、旧制宇和島中学校の同級生ということで、この論文のための現地調査の際、氏の家を拠点とされたらしい。
熊谷氏は、富田信濃守の性格からして、率先して堀切開削を行うような男ではなかったと断じられられた後、「あれは私が殿に願い出て、あの事業を始めたのだという者の現れるのを待っている」と、書かれている。面白いとおもった。そのことがヒントになって、絵師雲谷等舟の出現となったのである。
それとは別に、「堀切大橋」開通時からひとつ、疑問におもっていることがあった。橋の袂に掲げられている説明文の一節に「芋の茎を多く集め……」とあるのだが、茎というからにはサツマイモだろう。これは、氏の論文で『清良記当時聞書追考』からの引用であることは分かったのだが、青木昆陽が甘薯栽培をすすめたのはは工事期より百年以上も後のことで、これは明かに間違いである。そういうことから、富田信高が生きた時代を調べてみようと思い立ったのである。
(中略)
兎に角、「塩成堀切」については、何の詳しい資料も残っていない。この作品を書こうとおもいたったのは、郷土の人々にその時代背景というものを知っておいて欲しいという願いもあった。話が散逸して、小説としては失敗作だったと感じているが、そういう点を考慮すると所期の目的は達せたと自負している。
(後略)
「あとがき」より 数年前のことになるのだが、愛媛県西宇和郡伊方町豊之浦在住の辻真澄氏から、「こんなものがあるんだが」と、『塩成堀切 富田信高小伝』と題された手書き論文のコピィを示された。それは、四百字詰原稿用紙に万年筆で書かれたもので、確か五十枚程のものだったとおもう。筆者は熊谷正文となっていた。辻氏との関係は、旧制宇和島中学校の同級生ということで、この論文のための現地調査の際、氏の家を拠点とされたらしい。
熊谷氏は、富田信濃守の性格からして、率先して堀切開削を行うような男ではなかったと断じられられた後、「あれは私が殿に願い出て、あの事業を始めたのだという者の現れるのを待っている」と、書かれている。面白いとおもった。そのことがヒントになって、絵師雲谷等舟の出現となったのである。
それとは別に、「堀切大橋」開通時からひとつ、疑問におもっていることがあった。橋の袂に掲げられている説明文の一節に「芋の茎を多く集め……」とあるのだが、茎というからにはサツマイモだろう。これは、氏の論文で『清良記当時聞書追考』からの引用であることは分かったのだが、青木昆陽が甘薯栽培をすすめたのはは工事期より百年以上も後のことで、これは明かに間違いである。そういうことから、富田信高が生きた時代を調べてみようと思い立ったのである。
(中略)
兎に角、「塩成堀切」については、何の詳しい資料も残っていない。この作品を書こうとおもいたったのは、郷土の人々にその時代背景というものを知っておいて欲しいという願いもあった。話が散逸して、小説としては失敗作だったと感じているが、そういう点を考慮すると所期の目的は達せたと自負している。
(後略)
「あとがき」より
著者プロフィール
木野内 孔(キノウチ トオル)
愛媛県伊方町在住。地元の歴史を研究、そこに埋もれているものに着想を得た創作活動を行っている。著書に『武左衛門・起つ』(創風社出版刊)がある。
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