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タイの田舎で嫁になる 森本薫子(著) - めこん
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タイの田舎で嫁になる (タイノイナカデヨメニナル) 野性的農村生活 (ヤセイテキノウソンセイカツ)

社会科学
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発行:めこん
四六変形判
縦188mm 横122mm 厚さ8mm
重さ 147g
106ページ
並製
定価 950円+税
ISBN
978-4-8396-0267-3   COPY
ISBN 13
9784839602673   COPY
ISBN 10h
4-8396-0267-0   COPY
ISBN 10
4839602670   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C0330  
0:一般 3:全集・双書 30:社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年5月
書店発売日
登録日
2013年6月3日
最終更新日
2013年6月3日
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紹介

嫁いだ先はタイのさいはて。
雨水を飲み、虫を食べる野性的農村生活を既に6年。
興奮するほど楽しいことも、うんざりするほどいやなことも。
しかし、なぜか私と3歳の息子、1歳の娘はますます元気だ。
その秘密は?

目次

タイの田舎で嫁になる 目次
カオデーン農園の日々――楽しいこともうんざりすることも
村の食生活1.何でもバリバリ。野菜ってどれ?
2.透明な水と濁った水
3.虫を食べる
4.蛇も蛙もトカゲもサソリも食べる
5.絶品!牛生肉ラープ
村の農風景6.大変だけれど米つくりが一番
7.何でも人の手でやるのがイサーンの農業
8.商品作物は難しい
9.牛も人も月の動きのままに
村の暮らし10.農民に必要なもの。それは、技と精神力
11.イサーン時間に身を任せ
12.イサーン人は宴会上手  
13. 年末年始はどこからともなく人が集まる
14.タイのデモをあなどるなかれ
15.なぜか安心する
村の子育て16.産後は薬草サウナが待っている
17.村の子供たちはすごい
18.そりゃあ免疫力がつくよ!
19.イサーンには孤老はいない
あとがき

前書きなど


はじめに カオデーン農場の日々――楽しいこともうんざりすることも  

タイに住んで10年ほどになる。ここ、東北タイのムクダハン県の農村で農園暮らしを始めたのは約5年前からだ。農業や田舎暮らしになんてこれっぽっちも興味のなかった私が、なんでよりによってここまでド田舎で生活することになったのか。もちろん、東北タイの農民出身の男性と知り合い結婚して住むことになったのがきっかでだが、「イサーン(東北タイ)の農村で生きていこう!」と一大決心をした覚えもなく、気づいたらそういう流れになっていた。
アメリカの大学で国際経営学を学んでいた時から、実はビジネスよりも国際協力の方に興味を持っていた。大学卒業後、アメリカに残り1年間働いてから日本へ帰国。国際協力といってもどこをどうやって就職活動していいかわからない。思いつくところでJICAの募集を見ても、新卒でもなく、社会経験もない私はどの枠にも当てはまらなかった。当時まだNGOの存在は一般的ではなく、募集も経験者に限られていたので(それは今も同じ)、すぐにこの分野での就職はあきらめ、それとは別に面白そうだったマーケティング・リサーチ(市場調査)の会社に入社した。ほぼ毎日終電、時にはタクシー帰り、休日出勤当たり前のものすごく忙しい会社だったけれど、若かったせいもあり、仲間にもめぐまれ楽しい生活だった。でも自分が本当にやりたいことを考えたとき、やっぱり国際協力の分野に進みたいと思い、3年勤務した後に退職。その後、日本国際ボランティアセンター(JVC)という日本のNGOの「タイの農村で学ぶインターンシップ」という国際協力を学ぶプログラムに応募し、2期生となった。
北部チェンマイにあるタイの有機農業普及NGOにお世話になりながら、1年間タイの仲間たちと過ごした。国際協力といえば、農村開発というよりもむしろ緊急救援や人道支援というイメージを持っていた私は、このプログラム参加によってくるりと別方向を向かせられ、「農」の世界にぷすぷすと足を踏み込むことになったのだ。本当にこのプログラムって、人の人生を狂わす…いやいや、人の目を覚まさせるわ…と何度思ったことか。
研修修了後、ちょうど募集があり、日本国際ボランティアセンターに就職することになった。当時バンコク郊外にあったノンジョク自然農業研修センターに滞在しながら、バンコク市内のスラム住民支援と、今度は自分が「タイの農村で学ぶインターンシップ」のお世話役(コーディネーター)という立場でタイ駐在員となった。後半は、東北タイのコーンケン県に移り、有機農産物直売市場のプロジェクトにも携わり、様々な経験をさせてもらったところでJVCを退職。この自然農業研修センターの研修生であった今の夫と結婚して、東北タイの農村暮らしが始まったのだ。
東北タイの農村生活がどんなものかは知っていたけれど、NGO職員として体験する生活と、「嫁」の立場で日常として生活する毎日は全くとは言わないまでも、かなり違うものだった。
夫の地元でもなく、夫の祖父母や親戚が多く住む村なので、いろいろと助けてもらえることは多いのだけれど、私は「○○おじちゃんの孫の嫁」という域から出ることはできないのだ。NGO職員のころは、少なくとも名前で存在を覚えてもらうことができたのに。でも、まあ、それについては、どっちでもいいかな~くらいの気持ちだ。それで楽なこともあるのだから。
イサーンの人間関係の中での野性的農村生活は、慣れることもあればいまだにイライラすることもある。外国に住み始めると、最初は現地の人の感覚に限りなく近づきたくなるが、そんな気持ちはとうの昔になくなっており、今は、そのまま「東北タイに住む日本人」、それでいいじゃないかと気楽に思う(ことにしている)。
これまで、北部のチェンマイ、中部のバンコク郊外、東北部のコーンケン県とムクダハン県と移り住んできたが、タイの農村といっても、気候も、方言も、食べ物の嗜好も、人の雰囲気も、その土地の栽培作物も違う。イサーンと呼ばれる東北タイは、雨季に入り始めの雨を待って、田んぼに水を張ったら田植えを始めるという天水田の稲作が中心の土地だが、他の地域と比べ降水量が少なく不安定なため農業条件は厳しい。
私が住むムクダハン県のこの周辺は、お米を中心とし、とキャッサバ、サトウキビ、ゴムの木といったいわゆる換金作物を広範囲にわたって栽培している農村である。村内は、牛飼いの人に連れられた牛や水牛がゆっくりと列をなしている風景が見られる。イサーンの農村を訪れる日本人には、日本の昔の農村風景に似ていると目を細めて懐かしがる人も多い。私はそんな昔は知らないけれど。
うちではいわゆる自然農業を行なっている。広さは約3.5ヘクタール。と説明してもほとんどの人は、「それってどのくらいの広さ??」と首をかしげる。ゼネコンで働いていた友人が言うには「1500台の車がおける平面駐車場付きの郊外型ジャスコが建てられるくらいの広さ」らしい。よくわかったようなわからないような。「東京ドーム何個分?」と聞く人もいるが、東京ドームは5ヘクタールなので、うちは0.7個分ということになる。日本人の感覚からしたらかなり広い土地だが、イサーンでは平均的。けっして広いわけではない。
うちは、水田1ヘクタール、そのほかは、果樹園、野菜畑、池、家畜小屋、チーク林などが土地を占める。家畜は、水牛、豚、鶏、あひる、魚を飼っている。番犬として犬が3匹いたが、そのうちの1匹があまりにヒヨコを食べてしまうので、隣の敷地に住む親戚の叔父さんに「そっちで飼って!」と預けたら、いつのまにか、叔父さんたちに食べられてしまった…。一般的ではないがイサーン人は犬も食べる。イサーンのサコーンナコン県というところでは、満月に黒犬を食べる習慣があるらしく、市場でも犬肉を売っていると聞く。
というわけで、犬は2匹。他、家の中には、ネズミ、ヤモリ、トゥッケーが頻繁に登場する。出てくるのはいいけど、そこら中に糞をするのはやめてっ!と切に思う毎日だ。
農園の名前は「カオデーン農園」という。「カオ」というのは、私の名前のカオルから来ている。タイ滞在1年目、チェンマイに住んでいる頃、タイ人の友人たちが私につけたニックネームが「カーオ」で、夫のニックネームが「デーン」なので、「カオデーン」。単純にくっつけただけだが、これは「赤い(デーン)・お米(カーオ)」つまり「赤飯」という非常にめでたい意味なのだ(タイ語は形容詞が名詞の後ろに来るのでカオデーン)。
今は、夫と3歳になったばかりの息子、1歳の娘、そして義母と暮らしている。常に汗だく、土まみれ、ネズミやヤモリの糞を掃き出しながら、子供の服を1日3回も4回も取り替える日々だ。
隣の敷地には、義理の祖父母、叔父さん夫婦、その息子一家、祖父母が預かって育てている親戚の子供2人が大所帯で住んでいる。興奮するほど楽しくなることも、うんざりするほどいやなことも満載の、ネタには尽きない毎日である。

版元から一言

文章もいいけど、カラー写真が絶妙です。
東北タイのまったりとした農園風景や虫料理など、雰囲気がよく伝わってきます。

著者プロフィール

森本薫子  (モリモトカオル)  (

1971年生まれ。埼玉県出身。市場調査会社勤務を経て、JVC の「タイの農村で学ぶインターンシップ」に参加しタイ北部に約1年間滞在。
その後JVC タイ事業担当としてタイに駐在(2001~06年)。
退職後、タイ東北部にタイ人の夫・2 人の子どもと暮らしながら自然農業に取り組みつつ、JVC研修生の受け入れなどを行なう(2007年~)。

上記内容は本書刊行時のものです。