発行:めこん
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四六判 620ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8396-0166-9(4-8396-0166-6) CC0026
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年01月
書店発売日:2004年01月15日
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ちょっと信じられないことですが、中国の西安からイタリアのローマまで、いにしえの「シルクロード」を完全に歩き通した若者がいます。まる2年半、1万2000キロ! 途中、バスにも列車にも乗らず、ただただ2本の足でテクテク歩き通したというのですから、驚異としか言いようがありません。そして、これがよほどゴツいタフな男かと思うと、ごく普通の華奢な青年なのです。なにしろ西安からローマまでですから、当然、道中にはいろんなことが起きます。中国、中央アジア、西アジア、そしてヨーロッパ。人も違えば、言葉も習慣も食べ物も違う。泣いたり、笑ったり、怒ったり、びびったり。これぞ究極の青春旅日記です。
目次
第1部 中国
中国
黄土高原 (西安—蘭州)
未開放区という辺境 (蘭州—武威)
沙漠の道連れ (武威—張掖)
オアシス都邑をめぐる (張掖—嘉峪関)
砂の惑星に雨が降る (嘉峪関—安西/敦煌)
西域への扉 (安西—ハミ)
国外退去 (ハミ—ウルムチ)
雪原の逃亡者 (ウルムチ—国境ホルゴス)
第2部 中央アジア
カザフスタン
二重警戒区域 (国境ホルゴス—タスカラス)
逃げる相棒 (タスカラス—アルマータ)
キルギスタン
別れの理由 (アルマータ—サドボエ)
カザフスタン
旅人の駅 (サドボエ—ジャンブル)
草原の国からオアシスの国へ (ジャンブル—タシケント)
ウズベキスタン
ウズベクの流儀 (タシケント—サマルカンド)
街道のざわめき (サマルカンド—トルクメニスタン国境)
トルクメニスタン
カラ・クム横断 (国境—バイラム・アリ)
水を求めて (バイラム・アリ—アシハバード)
入国拒否 (アシハバード—国境グドゥリオルム)
第3部 西アジア
イラン
絶対安静 (国境タンガリ—コルトゥクイ……テヘラン)
カスピ海のほとり (コルトゥクイ—アスターラ)
神が創った宗教 (アスターラ—タブリーズ)
遠い夢の終わり (タブリーズ—国境バザルガン)
トルコ
東部アナトリア高原 (国境ギュルブラック—エルズルム)
分水嶺を越えて (エルズルム—トラブゾン)
屑を背負う少年 (トラブゾン—サムスン)
イスラムへのいざない (サムスン—イスタンブール)
長すぎた滞在 (イスタンブール)
「おはよう」という名の青年 (イスタンブール—国境カプクレ)
第4部 ヨーロッパ
ブルガリア
夏の原風景 (国境カプクレ—国境友情橋)
ルーマニア
素顔の裏道 (友情橋—国境バルシャンド)
ハンガリー
モスクワ広場の異邦人たち (国境バルシャンド—ブダペスト)
沈黙の平原 (ブダペスト—国境レディッチュ)
スロベニア
イタリア前夜 (国境レディッチュ—国境ノバ・ゴーリカ)
イタリア
ベネチアの特等席 (国境カーサ・ロッサ—ベネチア)
二都探訪 (ベネチア—フィレンツェ)
最後の広場で (フィレンツェ—ローマ)
前書きなど
最高峰への登頂でもなければ、ヨットによる世界一周でもない。徒歩旅行にはおよそ特別な技術は必要ありません。ただ二本の足と、未知の土地へのあこがれだけが原動力の、有史以前からの旅のスタイルです。しかし、なぜ今、あえて徒歩旅行なのか。そして、なぜ私は歩き続けたのか。
学生時代、私は劣等感のかたまりのような人間で、いつか自分を根底から変えてやろうという、そもそも自分を全否定しているような夢を絶えず心の奥底でくすぶらせ続けていました。ジャーナリストになりたいという夢はありましたが、単身世界と渡り合ってゆくことなどイメージすらできない。理想の自分と現実の自分との気が遠くなるほどの大きなギャップに身もだえしながら、悶々と日々を送っていたのです。
振り返れば、学業もスポーツも何一つ極めたことのない、中途半端で凡庸な半生がそこにある。底抜けな楽しさも、地獄のような苦しみも、果たして味わったことがあっただろうか。そう考えると、自分の内面にはよりどころとなるようなものが何もないことに気づいたのです。その頃からでした。何か一つ、自分にとって途方もなく大きなことを最後までやり遂げることができたなら、自分は変われるかもしれない、と夢想し始めたのは。
ちいさなきっかけは大学三年の夏、ふとした思いつきから生まれました。
夏休みだというのに遊びに行く金もなく、それでも何か退屈しのぎになるようなことはないかと思い巡らせていたときに、ちょうどお盆の帰省時期が重なったのです。ただそれだけの理由で、私は寝袋一つを背負い、東京の日野にある下宿から、静岡の実家へ向かって歩き始めました。小学校の軒下や、砂浜、バス停のベンチ、建築中の家などで野宿しながら、結局、六日間で歩き通してしまいました。
その小旅行はしかし、退屈しのぎどころか私を大いに楽しませてくれました。人間関係が希薄な都会暮らしに慣れきっていた身には、道中、見知らぬ通行人と交わすちょっとした会話が嬉しくてたまらなかったし、悪天候と足の痛みをぼやきながらも、内心では完歩することに闘志を燃やしている自分が、意外であり驚きでもあったのです。
版元から一言
1万2000キロをただひたすら歩いた、究極の「自分探し」の旅日記です。マルコ・ポーロの「東方見聞録」現代版とでも言いましょうか。いつの世も異文化体験は人間を大きく変えてくれるものです。
著者プロフィール
大村一朗(おおむらいちろう)
1970年生まれ。静岡県清水市出身。
1994年、大学卒業とともにシルクロード徒歩横断の旅に出発。中国の西安を発ち、1996年、イタリアのローマに到着。同年帰国。
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