動き出した「医療観察法」を検証する
岡崎伸郎:編, 高木俊介:編
発行:批評社
この版元の本一覧
A5判 240ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8265-0441-6(4-8265-0441-1) C3047
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年04月
書店発売日:2006年04月10日
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紹介

医療の衣を借りた保安処分法である「心神喪失者等医療観察法」が池田小学校事件を契機に成立し、施行前からの危惧が次々に現実となった。今後もさらに多くの危惧が現実化していくだろう。「心神喪失等の状態で重大な犯罪を行った」精神障害者に対して、医療と福祉ではなく、治安のための監視と予防拘禁で臨むことになった精神科医療。その抱える問題点を精神科医療と司法の一線の論客が抉りだし、現実に進行する危機の諸相を検証する。

目次

●まえがき 「医療観察法」この異形の制度にどう対峙するか?(岡崎伸郎)
●インタビュー 歴史のなかの「医療観察法」 (岡田靖雄/岡崎伸郎)/1・『日本精神科医療史』のなかの「医療観察法」/2・「医療観察法」は保安処分法か——3人の精神科医/3・「障害者自立支援法」の問題点/4・日本の精神科医療の大転換期——1960年体制との関係/5・60年体制の総仕上げとしての「医療観察法」/6・ライシャワー事件と保安処分法/7・精神神経学会と“金沢学会”/8・内向する精神科医——機能を喪失した学会/9・運動体の崩壊/10・司法精神鑑定という危うい制度/11・措置入院制度と医療観察法/12・権利を制限する制度——“善意は地獄に通じる”こともある/13・国公立病院の消極的対応と地域処遇の困難/14・時代の転換点——「医療観察法」は孤立して存在しているわけではない/15・「らい予防法」という先例
●施行前に指摘していた問題点がやはり露呈した「医療観察法」(中島直)/1・はじめに/2・対象の不明確さ/3・一事不再理違反 遡及処罰/4・軽微な傷害での申し立て/5・事実関係の争い/6・被害者は親族/7・鑑定入院の処遇が定まっていないことの問題/8・従来医療との優越性の不明/9・指定入院医療機関の不足/10・おわりに
●「医療観察法」の現状と課題(小高晃)/1・はじめに/2・リハビリテーションの実現は可能か/3・当面の課題——厚生労働科学研究「触法行為を行った精神障害者の治療環境に関する研究」から/4・その他の課題/5・今後に向けて
●「医療観察法」と地域処遇(白澤英勝)/0・はじめに/1・不幸にして犯罪を犯した精神障害者との関わりの体験から/2・医療観察法の地域処遇——3つのガイドラインから/3・医療観察法に基づく宮城県における地域社会での処遇に関する運営要領及び宮城県における地域処遇Q&A集について/4・地域支援に向けて/5・おわりに
●今改めて反保安処分を そして強制入院制度の撤廃を(長野英子)/1・いま問われるべきは強制入院制度、精神保健福祉法体制/2・医療観察法の破綻を前にして/3・障害者権利条約への取り組みの中で
●国立病院機構 花巻病院 「医療観察法」病棟見学記(原敬造)/0・はじめに/1・入り口の問題点——心神喪失者等医療観察法Q&Aより(引用しています)/2・花巻病院医療観察法病棟での医療/3・花巻病院医療観察法病棟の医療に新しいものはあるか?/4・地域での医療体制——連携について/5・まとめ
●「医療観察法」施行7ヶ月の適用申請の実態(有我譲慶)/1・医療観察法の申し立て——2006年2月28日現在、201件、入院決定82件/2・かすり傷の軽傷でも医療観察法適用/3・医療観察法33条は、法適用者を粗製濫造する/4・医療観察法対象者と精神保健福祉法対象者の違いはない/5・精神症状の危機、緊急時に警察官の協力を求めにくくならないか/6・鑑定入院における医療の保障について/7・再犯予測は不可能、完全に再犯を予防することも不可能/8・医療観察法の「手厚い医療」はイギリス、イタリアの平均以下/9・精神科医療をいっそう貧困化させる医療観察法/10・医療観察法適用の不処遇決定と却下のケース
●「医療観察法」に対する法関係者の対応——法施行後の問題点(中山研一)/まえがき/1・議会(議員)の対応/2・法務省の対応/3・裁判所の対応/4・付添人(弁護士)の対応/5・法学者の対応/6・まとめと今後の課題
●曖昧さに満ちた日本の「医療観察法」(池原毅和)/1・医療観察法施行後の全体状況/2・反治療的なインターヴェンション/3・医療強制要件の比類なき曖昧さ/4・社会復帰支援の脆弱さ
●リスク評価パラダイムへの転換——司法精神医学と一般精神医学の包摂(吉岡隆一)/0・まえがき/1・司法精神医学におけるリスク概念の導入/2・リスク評価法とその性格/3・「リスク評価パラダイム」の概念と指標/4・責任能力判断とリスク評価/5・リスク評価とリスクマネージメントの交錯——VRAGの研究から/6・リスク評価パラダイムへの包摂
●精神科医療・医学における「予測」の新しい展開(中島直)/1・はじめに/2・従来の「予測」判断/3・新しく精神科医が強いられる「予測」/4・新しい「予測」がもたらすもの
●よくわかる! 初心者のための? 精神科医療チャート(岡崎伸郎)/★本書の読者層は偏向している?/★7万2千人問題の憂鬱——厚労省V.S.日精協のせめぎ合いの果てに待つものは?
グロッサリー「精神科医療」/1.7万2千人問題/2.日本精神科病院協会(日精協)/3.日本精神神経科診療所協会(日精診)/4.心神喪失者等医療観察法/5.政策誘導/6.社会資源/7.病床の機能分化/8.任意入院・医療保護入院/9.措置入院/10.精神医療審査会/11.家族、全国精神障害者家族会連合会(全家連)/12.ケアマネジメント/13.当事者(運動)/14.統合失調症への呼称変更/15.日本精神神経学会/16.精神保健指定医(指定医)/17.精神科七者懇談会(七者懇)/18.精神保健従事者団体懇談会(精従懇)/19.学会百花繚乱!?/20.大学病院・医局/21.精神科救急/22.製薬資本/28.精神保健医療福祉の改革ビジョン/29.今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)/30.障害者自立支援法/精神科医療業界チャート
■資料 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
●あとがき(高木俊介)

関連リンク

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著者プロフィール

岡崎伸郎(オカザキノブオ)

1958年生まれ。精神科医。東北大学医学部卒業。小高赤坂病院診療部長、東北大学医学部附属病院精神科病棟医長をへて、2000年から仙台市精神保健福祉総合センター所長。雑誌「精神医療」編集委員。
著書に、『精神分裂病 臨床と病理1・2』(共著、人文書院)など。訳書に、『米国精神医学会治療ガイドライン 精神医学的評価法』(共訳、医学書院)、編著に『メンタルヘルスライブラリー6 メンタルヘルスはどこへ行くのか』『メンタルヘルスライブラリー15 「障害者自立支援法」時代を生き抜くために』(批評社)など。

高木俊介(タカギシュンスケ)

1957年生まれ。京都大学医学部卒業。光愛病院を経て、1992年より京都大学附属病院精神科勤務。著書に、『精神分裂病 臨床と病理1-3』(共著、人文書院)、『インフォームド・コンセント ガイダンス—精神科治療編—』(共著、先端医学社)など。『精神医療』誌(批評社)編集同人。

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