「グローバリゼーション」への理論的射程現代の資本主義を読む
半田 正樹:編, 工藤 昭彦:編
発行:批評社 この版元の本一覧
A5判 248ページ 上製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-8265-0387-7 (4-8265-0387-3) C3033
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年02月 書店発売日:2004年01月30日
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紹介

 『レーニンの農業理論』で宇野理論に画期的インパクトを与え、97年11月に急逝した渡邊寛(前東北大学教授)の学説にモチベーションを与えられ構想された若手研究者による現代資本主義分析の集大成。
 農業理論、特に現代世界農業問題は現代の資本主義にとって解決できない諸問題(WTOにおけるEUと米の対立)であり、国際通貨問題がより一層困難なものにしている。本書は、主に渡邊教授が「現代の資本主義」に関して追究した論攷を中心に議論を進め、その理論的射程を解き明かしたものである。

◎第1部「現代資本主義の諸問題」では、渡邊寛の主業績がカバーした領域と到達した研究がその後射程を広げたであろうテーマを取り上げ、◎第2部では2日間、延べ10時間近く「現代資本主義論の再構築—総合討論」をテーマに議論した座談会を整理・収録し、◎第3部「渡邊寛—その『人』と『経済学』」では、渡邊寛にゆかりの人々からの寄稿を収録、多角的な構成を試みた。

目次

はしがき
半田正樹

■第1部
現代資本主義の諸問題

●第1章 現代資本主義論の再構築へ向けて
渡邊寛教授の残されたもの
高橋 弦(岐阜大学教授)
1.現代資本主義論とは? 2.レーニン帝国主義論批判の位相 3.世界経済論の焦点—世界農業問題の位置付け 4.南北問題と社会主義 

●第2章 世界農業問題
渡邊「世界農業問題」論の現代的意味
工藤昭彦(東北大学)
1.はじめに 2.渡邊「世界農業問題」の論旨 3.戦後分析への示唆 4.戦後分析の課題 

●第3章 民族問題と国家
石井英朗(東日本国際大学教授)

●第4章 渡邊寛教授の国際金融論
残されたノートとメモから
片桐幸雄(日本道路公団四国支社調査役)
1.国際金融に関する問題意識—その伏流 2.国際金融論の研究の開始 3.ヘライナー研究 終わりに

●第5章 多(超)国籍企業問題
半田正樹(東北学院大学)
1.なぜ「多(超)国籍企業問題」なのか? 2.「グローバリゼーション」/「グローバル資本主義」と「多(超)国籍企業問題」  結びにかえて

●第6章 商品論の検討
渡邊寛,商品の二要因論・価値形態論の一考察
田中史郎(現・宮城学院女子大学教授)
1.はじめに 2.商品の二要因論と価値形態論への移行 3.価値形態論の基本構造と価値概念の発生 4.総括と方法的結論 

■第2部
現代資本主義論の再構築
—総合討論

出席者(50音順)
池上彰英(明治大学)
石井英朗(東日本国際大学)
大鎌邦雄(東北大学)
岡本哲史(九州産業大学)
片桐幸雄(日本道路公団)
葛生政則(東北大学)
工藤昭彦(東北大学)
佐野 誠(新潟大学)
高橋 弦(岐阜大学)
田中史郎(宮城学院女子大学)
柘植徳雄(東北大学)
半田正樹(司会,東北学院大学)
室屋有宏(農林中金)
両角和夫(東北大学)

●プロローグ
話題の提供

●テーマ1 帝国主義・戦争・国家
帝国主義と戦争 帝国主義と国家 段階論と民族問題 金融資本の性格と労働・農民運動 
●テーマ2 世界農業問題論の射程
戦間期を中心に
過剰資金の性格と世界農業問題 戦間期の低蓄積と農業保護 世界大恐慌と農業恐慌 『迷走するECの農業政策』と執筆後の問題意識 環境としての農業問題 
●テーマ3 南北問題および途上国問題
従属理論と世界農業問題論 三段階論と「中間理論」 現代の途上国問題 
●テーマ4 現代資本主義の展望
経済成長・グローバリズム・共同体
ポストフォーディズムとアジアの経済成長 グローバリズムと共同体 経済情報化のインパクト 
●補論 渡邊「価値形態論」について

●紙上参加 《世界経済》の再登場
片桐幸雄(日本道路公団四国支社調査役)

■第3部
渡邊寛—その「人」と「経済学」

●渡邊寛の未完の「スターリンの農業理論」をめぐる憶い出
いいだ もも(作家)
●重かったタイプライターのことなど
伊藤 誠(國學院大學教授,東京大学名誉教授)
●共同体・国家・商品経済・資本主義
渡邊君ともっと議論したかったこと
岩田 弘(元・立正大学教員)
●ひ と他ひ と人に愛されるものは夭逝する
大内 力(日本学士院会員,東京大学名誉教授)
●植木屋さん
大内秀明(東北文化学園大学客員教授)
●丸三の館
川上忠雄
●渡邊君のこと
齋藤 仁
●渡邊寛さんを憶う
櫻井 毅(武蔵大学名誉教授)
●大内OBゼミと唐桑半島
渡寛さんの二つの顔
柴垣和夫 (武蔵大学教授,東京大学名誉教授)
●渡邉さんの思い出
鈴木 博(元長崎県立大学教授)
●渡邉寛さんを想う
関根友彦(愛知学院大学商学部教授)
●梁山泊のころの渡邉君
徳永重良(東北大学名誉教授)
●研究者入門の先学,寛さん
中山弘正(明治学院大学教授)
●おしゃべりな二人
日高 普(前法政大学経済学部教授)
●仙台で渡邉先生に会う
福留久大(九州大学大学院経済学研究院教授)
●渡邉寛君の価値論について
降旗節雄(帝京大学教授)
●われらが青春のアルカディア・かん寛ちゃんの思い出
終戦前後の中学生活から
伊藤敬一(元第一勧業銀行)/牛山 剛(音楽プロデューサー)/古谷磐根(元三越)
●プレゼミ・0期生の32年遅れの記
青野友太郎(地域科学研究会高等教育情報センター代表)
●渡邉寛先生からの贈り物
有馬春美(財団法人磐城済世会松村総合病院師長)
●彷徨っていた時期に
伊藤健二(国民生活金融公庫総務部次長)
●渡邉寛先生の思い出
大川 伸(株式会社ダイドーリミテッド取締役,経営企画室長)
●渡邉ゼミの思い出
丹羽由夏(農林中金総合研究所 副主任研究員)
●渡邉寛—先生として,義父として
福嶋浩彦(我孫子市長)
●「決然と生きよ」
渡邉 豊(長男)
●馴れ初め・結婚生活・突然の別れそして有り難うございました
渡邉 佐保子


渡邉寛教授 略歴

学歴/職歴/学会及び社会における活動等/著書(共著を含む)/論文/翻訳/共同研究活動

あとがき
工藤昭彦

前書きなど

 本書は1997年11月に急逝された渡邊寛東北大学名誉教授の学説にモチベーションを与えられ構想された。渡邊教授は、東北大学においては「農業経済論」を講じられていたが、研究の対象とされていたのは農業理論、現代世界農業問題ばかりではなく、現代の資本主義にまつわる諸問題、さらには経済学原理論にいたるまで広範囲にわたった。本書は、そのうち主に渡邊教授が「現代の資本主義」に関して追究された論攷を中心に議論を進め、その現在的発展をめざしたものである。

 全体は3部構成からなり、第1部「現代資本主義論の諸問題」では、渡邊教授の主業績がカヴァーした領域と到達された研究がその後射程を広げたであろうテーマを全5章の形で取り上げた。
 第2部「現代資本主義論の再構築—総合討論」においては、第1部の論稿を手がかりとしつつ、大学院において教えをうけた者が2日間、延べ10時間近く議論したものを整理したものである。
 第3部「渡邊寛—その「人」と「経済学」」は渡邊教授にゆかりの方々から寄稿いただいたいわゆる「追悼文」を収めている。

 私たちは、渡邊教授からマルクス経済学を学んだ。そして宇野弘蔵が再編・体系化したマルクス経済学を教授していただいた。いま、経済学はいわゆる近代経済学に分類された市場至上主義を煽る新古典派経済学の露出度が圧倒的に高い。マルクス派経済学は後退を強いられている。渡邊教授は、すでに1970年代から始まり、1990年代の「20世紀型社会主義」の崩壊で決定的になったこうした傾向について、第二次大戦中のマルクス派「冬の時代」と比較しつつ、いずれ再び「春の日」を迎える可能性を透視していたように思う。
原宇野理論の再構成、宇野弘蔵が1920年代後半(昭和初期)に行った経済学の再構築(Restructuring)の現代版の創出をめざされながら、その道半ばでとどまらざるをえなかった渡邊教授の無念を想像してみたい。つまり私たちに残された課題は明確であるというべきである。来るべき「春の日」に備えて、あるいはむしろ「その日」を自ら獲得すべく、現代の資本主義を透徹した論理で解読する方法を得ること、これである。本書がいくらかでもその歩みの道に入っていればと願うものである。
ご執筆いただいた方々に心から御礼を申し上げます。

関連リンク

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著者プロフィール

半田 正樹(ハンダ マサキ)

1947年 宮城県仙台市生まれ
1979年 東北大学大学院経済学研究科博士課程修了
現在,東北学院大学経済学部教授

主要業績
『情報資本主義の現在』批評社,1996年
『現代資本主義のダイナミズム』(共著)御茶の水書房,2000年
「IT〈革命〉を考える」(『科学・環境・生命を読む』情況出版,2002年)

上記内容は本書刊行時のものです。

工藤 昭彦(クドウ アキヒコ)

1946年 秋田県生まれ
1974年 東北大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)
現在,東北大学大学院農学研究科教授

主要業績「戦後日本の農業問題」(『経済学批判』9,社会評論社,1980年)
『現代日本農業の根本問題』批評社,1993年
「現代世界の農業問題」(研究年報『経済学』東北大学,56巻4号,1995年)

上記内容は本書刊行時のものです。
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