発行:七つ森書館
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四六判 304ページ 上製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8228-9931-8(4-8228-9931-4) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:1999年02月
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日本のエネルギー需要と供給を分析、米、独などエネルギー先進国を現地調査した上で「エネルギー政策基本法」を提言。日弁連公式レポート。
目次
はじめに
調査の経緯
調査の結果と提言の概要
なぜ当連合会がエネルギー問題の提言を行うのか
第1部 日本のエネルギー政策の現状と問題点
第1章 エネルギー政策の現状
1 日本のエネルギー政策の概要
2 エネルギー政策の立案手続と予算
第2章 環境に適合したエネルギー政策の実行を阻む壁
1 エネルギー政策と環境政策の統合
2 再生可能エネルギーの現状
3 電気事業法改正の成果と限界
青森シンポジウムの発言から①
長谷川公一「あるべき日本のエネルギー政策」
第2部 アメリカ・カリフォルニア州
第1章 エネルギー政策の概要
1 アメリカのエネルギー政策の決定過程
2 クリントン政権のエネルギー政策
3 アメリカの電気事業の全体像
4 原子力発電の現状
第2章 カリフォルニアにおける再生可能エネルギー開発の実情
1 再生可能エネルギーとは
2 カリフォルニアにおける再生可能エネルギー開発の実情
3 風力発電のサイトを訪ねて
4 ソーラーパワー発電(太陽熱発電所)
第3章 DSM(需要サイド管理)の役割と現状
1 DSMの意義と内容
2 アメリカの電気事業者のDSMプログラムの実施状況
3 SMUDのDSM予算
4 電力の規制緩和とDSM
5 わが国のDSMに対する批判
第4章 カリフォルニアにおける電力事業の規制緩和・市場自由化と
再生可能エネルギー
1 なぜ、電力事業の独占が当然と考えられてきたのか
2 なぜ、今、規制緩和か
3 カリフォルニアにおける電力事業再構築の目的
4 電力事業再構築のシステム
5 電力市場自由化後の料金システムと原子力の高いコスト
6 電力市場自由化の中の再生可能エネルギー
7 市民主権のサクラメント電力公社
8 規制緩和と環境対策 137
第5章 原子力と規制緩和(電気事業の再編成)
1 アメリカにおける原子力開発の歴史と現状
2 規制緩和が原子力に及ぼした影響
3 ランチョ・セコ原子力発電所が廃炉となるまでの経緯
青森シンポジウムの発言から②
大林ミカ「欧米における新しいエネルギーと環境政策」
第3部 ドイツ連邦
第1章 ドイツ連邦の環境エネルギー政策
1 はじめに
2 エネルギー需給と政策
3 緑の党・エコ研究所からの提言
4 各対策について
5 再生可能エネルギーの現状と特質
6 原子力政策
第2章 自治体での先進的取り組み
1 アーヘン
2 フライブルグ
第3章 カルカー訪問記
青森シンポジウムの発言から③
小林圭二「『もんじゅ』事故から見えてきた核燃料サイクルの将来」
第4部 デンマーク
第1章 デンマークのエネルギー政策
1 デンマークの国勢と電力事情
2 エネルギー政策の歴史と現状
3 エネルギー政策の位置付けと理念
第2章 再生可能エネルギーの現状
1 再生可能エネルギーの概要
2 デンマークにおける風力発電の動向
3 バイオマスによるエネルギー
第3章 エネルギー利用効率の向上及び再生可能エネルギー促進のため
の具体的法律制度
1 税制措置—エネルギー税・炭素税
2 電力買取法
3 電力価格決定についての基本的考え方
4 省エネルギー・再生可能エネルギー普及促進のための助成制度
第4章 今後の課題——EU全体の環境政策が焦点に
1 エネルギー21は実現可能か
2 EUエネルギー市場自由化の衝撃
青森シンポジウムの発言から④
吉岡 斉「プルトニウムリサイクルの経済性と
核燃料サイクルの将来について」
第5部 日本弁護士連合会の提言
第1章 「エネルギー政策基本法」の制定の検討
1 立法の必要性
2 「エネルギー政策基本法」の概要
第2章 エネルギー消費の削減に向けて
1 エネルギー消費の削減をエネルギー政策の第一次的な目標に
2 DSMの導入・強化、強力なピークカット策の提案
3 エネルギー転換部門におけるエネルギー効率の向上
4 わが国の省エネルギー政策の限界
5 今すぐにも導入できるDSM
6 エネルギー消費削減に向けた法制度の整備
7 「経済的手法」の導入について
第3章 電気事業の規制緩和の推進
1 規制緩和の必要性
2 段階的な規制緩和
3 独立電気事業者からの電力買入義務付け制度
4 電力の託送の自由化
5 電力企業を発電部門と送電・配電部門に分割
6 エネルギー安定供給論への反論
7 規制緩和によるエネルギーの低価格化と
エネルギー消費削減のための経済的手法の重要性
第4章 再生可能エネルギーへの公的な助成と買取りの制度化
1 本格的と言えないわが国の再生可能エネルギー支援予算
2 不可欠な買取りの法的な義務付け
第5章 プルトニウムリサイクルの即時停止と原子力発電への政府予算
の支出停止
1 脱原発は世界の流れ
2 孤立する日本の原子力政策
3 原子力発電の不経済性
4 プルトニウムリサイクルの停止
5 原子力への政府予算の支出停止
第6章 結 論
1 エネルギー政策基本法の制定の検討
2 エネルギーの消費削減をめざして
3 電気事業の規制緩和の推進
4 再生可能エネルギーへの公的な助成と買取りの制度化
5 プルトニウムリサイクルの即時停止と原子力発電への
政府予算の支出停止
原子力開発と利用に関する日本弁護士連合会の立場
参考文献
主要略語表
前書きなど
なぜ当連合会がエネルギー問題の提言を行うのか
当連合会は法律家の団体であり、基本的人権の擁護を目的としている。当連合会が公害の防止や環境の保護のために提言を行う意義は誰しも異論がないと思われるが、エネルギー政策について、提言を行う根拠をここに示しておくこととしたい。
ひとたび、原子力施設が大規模な事故を引き起こした場合、その環境に及ぼす影響が極めて甚大で、多くの住民、未来の子孫に至るまでその生存が脅かされることは、1979年アメリカで発生したスリーマイル島原発事故、1986年旧ソ連で発生したチェルノブイリ原発事故や、イギリス、フランスの再処理工場周辺での白血病の増加などの事実によって裏付けられている。このような原子力災害の悲劇を未然に防止することが、人権を擁護する弁護士の職責であることは疑いのないところである。また、原子力発電によって生み出されるプルトニウムと放射性廃棄物、とりわけ高レベル放射性廃棄物の管理・処分に関する問題は、最も深刻な環境問題の一つと言っていい。これらの危険物質は極めて長期間にわたって、人間環境から厳格に隔離されなければならない。しかし、その処分技術はいまだ確立されていない。
また、近時エネルギー問題は環境問題そのものと考えられるようになってきているということを指摘する必要がある。地球温暖化がもう一つの最も深刻な環境問題であることも異論のないところであろう。地球温暖化は今や仮説ではなく、気候データや極地の氷河の後退などによって実証され得る問題となってきた。地球温暖化は温室効果ガスの排出によってもたらされるが、温室効果ガスの大きな部分をエネルギー生産の過程において化石燃料の燃焼によって産み出される二酸化炭素が占めている。そして、今日の最も重大な環境問題の一つであると考えられている地球温暖化防止の問題は、まさに、各国のエネルギー政策を通じてしか、克服できない問題となっている。
また、原子力発電やプルトニウム利用の危険性を指摘する際に、必ずと言っていいほど「それでは替わりのエネルギーをどうするのか」という問いが発せられてきた。原子力発電の危険性や環境問題の視点から、政府の計画に異論を唱えるだけでなく、これに対する代替案を提示することが必要になってきたのである。
同じことは、当連合会が環境問題の観点からその問題点を指摘してきた、大規模河川開発、ダム建設の問題にも当てはまる。ダムによる発電の代替案を示す必要があるのである。
以上の諸事実を踏まえれば、エネルギー政策について当連合会が提言をすることは、公害の予防排除、環境保全等に関する調査研究をし、それに基づいて具体的方策の立案、意見の発表等を行うことを基本的任務の一つとする当連合会の立場に沿うものである。
以下に詳細に検討するように、わが国のエネルギー政策は欧米の新しいエネルギー政策から大幅に後れをとっている。そして、その問題点の大部分は、この報告書で詳細に分析したように、技術的課題と言うより、社会システムの不備・法制度の不備に起因するものである。例えば、日本で欧米諸国に比べて再生可能エネルギーの導入が遅れている理由は、日本企業が技術的な開発を怠っているためではない。むしろ、日本には世界的に有力な風力発電機、太陽光パネルの生産メーカーが存在している。しかし、電力会社に再生可能エネルギーの適正価格での買取りを義務付ける法律がないことや、電気事業法などが定める発電設備を設置する際の過剰な保安規制などが障害となっているのである。
本報告書は、基本的人権の擁護と環境の保護のために活動してきた当連合会のエネルギー政策に対する提言を法律家としての立場からまとめたものである。この報告書が、国・地方公共団体の行政・政策立案にあたる立場の方々、立法府においてエネルギー・環境に関する立法作業にあたる方々、エネルギー問題と地球温暖化問題などに関心を持つNGOや報道機関に所属する方々、さらには一般市民がこの問題について考える際に、参考とされるよう心から期待する。
※版元より営業日2~5日でお届けします
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