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福島原子力帝国 恩田 勝亘(著) - 七つ森書館
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福島原子力帝国 (フクシマゲンシリョクテイコク) 原子力マフィアは二度嗤う (ゲンシリョクマフィアハニドワラウ)

社会科学
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発行:七つ森書館
四六判
256ページ
上製
定価 1,900円+税
ISBN
978-4-8228-1384-0   COPY
ISBN 13
9784822813840   COPY
ISBN 10h
4-8228-1384-3   COPY
ISBN 10
4822813843   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2013年10月
書店発売日
登録日
2013年8月8日
最終更新日
2013年9月21日
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紹介

福島原発大震災から時を経て、フクシマに原子力帝国が出現した。その暗部から原子力マフィアの哄笑が聞こえてくる。福島原発を取材して37年、帝国の暗黒を知り尽くした著者畢生の書き下ろし!
「日本を亡国の道に導く彼ら帝国の支配者たちは、本当の日本人なのか!?」

目次

序 章 帝国マフィアの暗闘
 墓前での報告と謝意
 東電社員はやはり「お猿電車のお猿さん」
 福島に始まり、フクシマで終わる

第1章 負の遺産
 1 漂流する原発ゼロ政策
    風になびいた民主党政権
    国家戦略室「Kチーム」の暗躍
    手垢にまみれたゼロ政策
 2 原子力ムラたらいまわし人事 
    原子力規制委員長に「除染マニア」
    原子力安全・保安院大移動
    癒着と談合再び

第2章 追い詰められる被災者
 1 闘う町長
    「鬼城」の悪夢
    異色、異様な広報誌面
    汚染度将来予測の狙い
    町長辞任で深まる亀裂
 2 子どもの命が危ない──北関東に現れた危機の前兆
    被曝の盲点・心臓疾患
    子どもの危機は日本の危機──17年後、日本の様相は一変
    信頼性失う福島県民健康管理調査

第3章 百鬼夜行の現場
 1 伊達市は帝国の優等生
    除染は「心」から
    よろず相談所
    「新しい公共」事業の素顔
    除染現場での死亡事故
    浸透する国策
 2 色褪せるヒーローの街
    南相馬の英雄
    除染ヒーロー
    英雄の変身
    帰還作戦頓挫で開発に活路?

第4章 囚われの縮図──飯舘村の悲劇
 1 情報操作が招いた亀裂
    問われる自治体首長の責任
    芽生えた不信感
    「反核の旗手になるつもりはない」──村長の提言書
 2 条件闘争
    独断専行
    酪農家の苦闘
    除染幻想
 3 住民の被曝線量と動植物が示唆するもの
    科学研究が暴くフクシマの実相
    リスクコミュニケーションも「上から目線」

終 章 帝国の終焉に向けて
 巨大原発事故に収束なし
 原子力マフィアを二度嗤わせてはならない
 パンドラの箱の底に見える光

あとがき

前書きなど

あとがき

 3・11後の取材活動はもとより、内外メディアへの取材対応も一段落。古巣の講談社「週刊現代」のかつての仲間が編集担当した『福島原発・現場監督の遺言』を仕上げた後に取り組んだのが本書である。事故直後から七つ森書館の中里氏と何をしようかと話し合っていたが、体は一つしかないうえ、あれもこれもという器用さはないので立ち上がったのは事故1年後だった。
 事故後からフクシマ関連ではさまざまな視点、角度から書かれ尽くした観があるなか、自分ができることといえばやはり原点の福島しかない。私にとっての東京電力福島第一原発はイコール福島県である。とくに何十回も通った浜通りとの縁は深い。中里氏とは週刊誌記者現役時代の浪江小高原発反対同盟の記録を故・高木仁三郎氏の薦めでライフワーク的にまとめた『原発に子孫の命は売れない──舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(1991年)が出会いだった。そして2007年の柏崎刈羽原発事故では、改めて東京電力という会社の罪深さを実感するとともに、いまのうち原子力マフィアの頂点に君臨する東電を何とかしなければ日本はとんでもないところへ引っ張り込まれるという予感は二人とも同じだった。ところが企業としての東電を斬った本が見当たらないことから、すぐ取りかかって事故後3か月でまとめたのが『東京電力 帝国の暗黒』だった。
 原発をめぐる人間の業と国際規模の原子力マフィアのいかがわしさについて書きたいことは山ほどあり、フクシマにはそれが凝縮されていると考えて本書の取材に着手した。
 ところがその矢先の昨年5月、取材先の福島県下はなぜか真夏並みの猛暑。重い資料を抱えて動き回ったせいか、食欲も減って便通もなくビールで空腹と喉を潤して帰京。翌日会った中里氏にいきなり「どうしたんですか!」といわれ、そのまま空きがあった都内有名病院へ強引に緊急入院させられてしまった。子ども時代からケガは四六時中だが内臓系で入院などとは一生無縁と思っていたが、高度医療機器をフル稼働させての診断結果は腸閉塞。点滴の管でベッドに縛られて絶食絶水なら医師団はメスを後ろ手にすぐにも切りかかりそうな勢い。「このままなら殺される」「仕事ができない」と思い、病院と親族が阻止するのを自己責任の誓約書を書いて強引に退院。自然治癒力を信じて自力更生しながら取材を再開した。とはいえ中途退院のままというわけにもいかず、「体調不良ではいい仕事できないから」という中里氏の声にも押されて9月に正式に入院加療。退院後から本格的に取材執筆に当たり、予定より半年以上遅れての出版となった。
 本書執筆に当たっては飯舘村の菅野哲氏、南相馬市の吉田邦博氏をはじめとする実名で取材に応じていただいた多くの方々、そして匿名ながら貴重な情報、ヒントをいただいた方々の協力なしにまとめられなかった。体調万全ではなかったために皆様には迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。そして病気中断とはいえ、我慢強く付き合っていただいた中里氏と七つ森書館のスタッフの皆様にも改めてお礼を申し上げます。
 本書に着手してから腸閉塞というのも何かの縁。自分の体を通して核燃サイクルが成立しないことを実感してこれから完全復帰。原発、原子力問題を中心に据え、山ほどある国内外の政治と社会の問題を取材執筆していきたい。

   2013年9月1日

著者プロフィール

恩田 勝亘  (オンダ カツノブ)  (

 1943年島根県生まれ、法政大学卒。ジャーナリスト。2007年まで講談社『週刊現代』記者として、国内外の政治・経済・社会問題を取材・執筆。
 1986年のチェルノブイリ原発事故後は、主に放射能による食品汚染問題を提起。2006年のチェルノブイリ20年目には、世界のメディアで唯一、事故炉4号機の中央制御室に潜入。
 著書に『東京電力・帝国の暗黒』『【新装版】原発に子孫の命は売れない』(七つ森書館)、『福島原発─現場監督の遺言』(講談社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。