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写真集 飯舘村 長谷川 健一(著) - 七つ森書館
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写真集 飯舘村 (シャシンシュウイイタテムラ)

社会科学
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発行:七つ森書館
A5横判
64ページ
並製
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-8228-1368-0   COPY
ISBN 13
9784822813680   COPY
ISBN 10h
4-8228-1368-1   COPY
ISBN 10
4822813681   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2013年1月
書店発売日
登録日
2013年2月6日
最終更新日
2013年2月22日
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紹介

「私はあのとき、こんなとんでもない有事がが起きたことを後世に伝えなければならないと思い、持っていたデジカメで一部始終を写し、後世に残そうと決意しました」(「飯舘を撮る」より)。飯舘村で酪農を営んできた著者が、原発事故直後の3月から1年半の間に、1万枚を超える写真を撮った。写真に込められた、村びとの深い悲しみと怒りを50点にまとめる。

前書きなど

飯舘村を撮る

 2011年3月11日午後2時46分、あのいまいましい地震と、それに続く原発事故が起きてから、すでに1年8カ月がすぎようとしています。
 私はあのとき、こんなとんでもない有事が起きたことを後世に伝えなければならないと思い、持っていたデジカメで一部始終を写し、後世に残そうと決意しました。
 素人写真ですし、なんども大事なシャッターチャンスを逃して、くやしい思いをしましたが、日々の出来事や部落や村内の風景、人びとの姿を撮るように心がけて、ていねいに撮り続けています。その後カメラを買い換え、新たにビデオカメラも買い、この間に撮った写真は1万枚、ビデオもDVDで150枚を超えました。ビデオには、いろいろな会議、集会、説明会なども収め、そのときどきに村人が何を考え、誰が何と発言したのかを記録に残しています。これは、ただの思い出のためではありません。将来、この記録によって、村や県、そして国がどのような対応をし、それに対して、村人は何を考えて、どういう行動をしたのかを検証するためです。もちろん検証は、専門家だけに任せるわけにはいきません。より多くの方に参加していただいてこそ、真の検証ができると思っています。そのときのために、地震と原子力災害の被害の当事者として、記録をとり続けること、それが私の使命だと思っています。
 このたび私の意図を汲んでくださったみなさんによって写真展と写真集が実現し、より多くの人に飯舘村のことを知ってもらう機会ができました。
 この場を借りて、写真だけでは伝えきれないことをほんの一部ですがご報告します。
       *
 あの当時、村長は村民に対して、放射能が危険だとも知らせず、「大丈夫だ」と繰り返しました。「危ない」と指摘する学者を遠ざけもしました。それだけでなく「放射能のリスクよりも避難するリスクのほうが大きい」とまで言っていました。ところが村長は自分の子どもや孫たちは早々と避難させていたのです。村の子どもたちは避難させなかったのに。村長はまた、あるときは「タバコの害よりも放射能の害の方が少ない」とも言いました。おかしな理屈ですね。タバコは、好きで吸うもので、いやなら煙を避けることもできます。けれども放射能は、ゼロ歳から100歳を越える老人まで望むと望まざるとにかかわらず、全員に降り注ぎ避けることができません。私は、行政というものがリスクを考えて判断するのであれば、一番に健康のリスクを考えていち早く避難を実行するべきだったろうと思います。……

著者プロフィール

長谷川 健一  (ハセガワ ケンイチ)  (

 1953年福島県飯舘村生まれ。酪農家として長男次男とともにウシやイノシシを飼い、暮らしてきた。福島第一原発事故による放射能汚染を知り、いち早く区長を務める飯舘村前田地区の住民集会を開いて、現状を説明し、被曝を避けるための対処法を知らせた。以後、飯舘村の映像を記録し続け、日本国内はもとより海外にも出かけて、飯舘村で起きていることを知らせる活動を展開している。
 著書/『原発に「ふるさと」を奪われて──福島県飯舘村・酪農家の叫び』(宝島社)『【証言】奪われた故郷──あの日飯舘村で何が起こったのか』(オフィスエム)

上記内容は本書刊行時のものです。