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すぐに役立つ うつの家庭療法
- 初版年月日
- 2010年11月
- 書店発売日
- 2010年10月28日
- 登録日
- 2010年11月9日
- 最終更新日
- 2010年11月9日
紹介
うつを15分類して、食べもの、料理、運動、ハーブ、アロマオイル、薬草茶、薬用酒、漢方薬、ツボなど家庭でできる効果的療法を、イラストとともに紹介します。
目次
はじめに
この本の使い方
chapter 1 やる気が起きない無気力タイプ
chapter 2 クヨクヨと心配ばかりしている心配性タイプ
chapter 3 やる気があったりなかったり、むらっ気タイプ
chapter 4 ゆううつ感と不安感から緊張してのどがつまるタイプ
chapter 5 ゆううつとイライラのあいだで悩むタイプ
chapter 6 ゆううつで気がめいって仕事が手につかないタイプ
chapter 7 思考力が低下し、注意力が散漫で、気力や精神力もないタイプ
chapter 8 思考力の低下とあせりで、夜眠れずに不安がるタイプ
chapter 9 常に緊張して無理をしているのがよくわかるタイプ
chapter 10 ふところが深いようで、ストレスのためにうつうつとするタイプ
chapter 11 精神的緊張から、からだに痛みを生じるタイプ
chapter 12 グジュグジュ、ネチネチいい続けるタイプ
chapter 13 不安、落ち込み、イライラして決断ができないタイプ
chapter 14 不安と緊張で呼吸が苦しくなるタイプ
chapter 15 不安と恐怖から外部との交流をしなくなるタイプ
うつの考え方と治し方
漢方の考え方
前書きなど
はじめに
『漢方で治す ゆううつイライラ不安』を七つ森書館より出版して早いもので10年が過ぎました。その間、派遣切り、給与カット、デフレ、円高などと私達の環境は国民に苦労を強いるように変化しています。それにつれて「日本国民総ウツの時代」などと言われるように、うつ病とその予備軍の人が増えてきています。
相談したくても精神科の門はなかなかくぐりにくかったり、病院にかかるにしても治療費やカウンセリング料が気になったり、一方ドラッグストアーやインターネットなどで気軽に手に入るサプリメントや漢方薬を相談もせずに飲んでいるというような話をお聞きします。
私のところで、日々患者さんの相談を受け、漢方で精神面の悩みから救われる人を見るうちに、もっと多くのうつで悩む人に、漢方でこころが変えられることを知ってほしいと思っていました。
そんな折、七つ森書館よりうつの人の本をという要望をいただき、この本を書くに至った次第です。
気分や気持ちが変わると聞いたら、誰でも「そんなことできるの?」と思われるでしょう。それは、きっと現在のこころから抜け出したいと思う気持ちが強い人ほど、驚くことでしょう。
「もっと強くならなければ……」
決してこころが弱いのでありません。
「これではだめだ。こころを変えなきゃ」
と意識すればするほど、そのことがこころのなかで大きくふくらんでいくことでしょう。
こころを変えるのではありません。こころが変わると言った方がいいでしょう。
漢方ではこころは内臓である五臓(肝・心・脾・肺・腎)にあると考えています。例えば、西洋医学でいう腎臓は、体に必要なものと不必要なものを分けて、尿を作る臓器です。ところが、漢方ではその機能だけでなく、成長、老化、ホルモンの役目、耳の役割、足腰の機能、信念などを受け持つ臓器と考えています。
目標に向かってやり通す強い信念は腎臓が受け持ちます。腎臓の弱い人は、信念が弱くなるので途中で挫折しやすくなるのです。決して根性が弱いからではなく、腎臓が弱いからなのです。
同様に、心臓の弱い人(漢方では心虚といいます)は不安感をもちやすくなり、胃腸の弱い人(漢方では脾虚といいます)は理由もなく心配し思い悩みます。
この本に書いたことを実行しているうちに、
「アレッ、気にならなくなっている。そういえば気にせず無意識に動いている」
と後で気が付くものです。
この本では、症状によって気軽にできる食事療法やハーブ、薬草茶などは「家庭療法」に、専門家も参考にできるレベルの漢方やツボについては「専門療法」にと、分けて書いています。また、「うつの考え方と治し方」によりくわしく書いていますので、ぜひ参考にしてください。
やれそうなことから始めてみてください。何であんなに苦しかったんだろうと思えるときがきっとくると思います。
今はそんなことは到底思えないでしょうが、きっと成長した自分に合うことができるでしょう。
うつで悩んでいる方がこの本を読まれ、一人でも多くの人が明日に向かって生き生きと一歩を踏み出していくきっかけになれたら、これほどうれしいことはありません。
なおこの本を書くにあたり漢方の師である梁哲周先生のご指導があったればこそと、ここに深く感謝を申し上げます。
本草園主人 萩原 忠幸
上記内容は本書刊行時のものです。