こころ美しい日本の再生海洋観光立国のすすめ
中瀬 勝義, 明戸 眞弓美, 庄司 邦昭
発行:七つ森書館
この版元の本一覧
A5判 100ページ 並製
定価:900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-8228-0747-4 C0036
在庫僅少
奥付の初版発行年月:2007年07月
書店発売日:2007年07月19日
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紹介

著者たちは海洋調査や海洋経済、造船などを専門としているが、カヌーやゴムボートで遊ぶのが大好き。国内資源をベースにした循環型ライフスタイルを模索する。

目次

はじめに

第1章 いま、なぜ海洋観光立国か
    1.知ってます?  料理メニューの輸入依存度?
    2.主要国の食料自給率── 日本は外国に60%も依存
    3.日本は世界から資源を大量に購入しています!
    4.世界に資源はどれほどあるの?── もう直ぐなくなりそう!
    5.こんな生活はいつまで可能なの── 中国、インドに抜かれるよ!
    6.こんな生活からの脱出策は── エコライフを始めよう!
    7.地方では車なしの生活はできない?
    8.自給自足国家への道── 持続可能な社会つくり
    9.かつての大国は観光立国
    10.世界の観光産業
    11.日本の観光産業── 観光に対する考え方を根本から変えよう!
    12.日本の国土は領海を加えると世界で第6位!
    13.世界一安全な国:日本!
    14.バスコ・ダ・ガマ体験やマリンスポーツを楽しもう
    15.人口減少はチャンス、観光には定年がない── 生活こそが観光資源づくり
    16.こころ美しい日本の再生! 今こそ食料自給の“海洋観光立国”を目指そう!

第2章 海とスロー・ツーリズム・ジャパン
    はじめに
    1.観光という産業
    2.日本が海洋観光立国になるには
    3.日本の海洋観光ビジョン
    4.観光開発の落とし穴
    5.海の観光資源とレクリエーション
    6.日本の海の楽しませ方
    7.日本の海の楽しみ方

第3章 海外に見る海洋観光と都市の賑わい
    1.都市にとって、河川は重要な要素
    2.ベルリーン(ドイツ)
    3.サンナゼール(フランス)
    4.サンマロ(フランス)

おわりに

付録

前書きなど

はじめに

 少子高齢化や格差社会などと不安要因が多い最近の日本ですが、暗い話はさておき、今までのライフスタイルから抜本的な転換をした、明るい持続可能社会、平和な、こころ美しい日本の再生を考えてみました。そのオルタナティブは“海洋観光立国”です。

 150年前のペリー提督が著した『日本遠征記』に、「川べりの肥沃な土地には絵のような美しい村がたくさん集まり、肥沃な田園が広がっていた。ボートで川を進んでいくと、外国人の姿を一目見ようと岸にやってきた大勢の住民たちに出会った。身振り手振りで歓迎の意を表して挨拶し、すすんで水やおいしい桃をくれる住民もいた」と書かれていますが、江戸時代末期の日本は素晴らしかったようです。
 また、明治11年7月、イギリスの女流探検家イサベラ・バードは東京から北海道までの長旅を進める途中の山形県で、「険しい尾根を越えて非常に美しい風変りな盆地に入った。ピラミット型の杉の林で覆われ、その麓に金山の町がある。ロマンチックな雰囲気の場所である。私は2、3日ここに滞在したいと思う・・・」と記し、当時の日本の山村の美しさに感激しています。その後金山町は商業ベースには乗らない、観光のまちとして地道な発展をしているので有名です。
 敗戦後の昭和22年6月発行の『黒船談叢』に出淵勝次は、「日本は戦争に負けた。確かに徹底的に負けた。そして国民は今や塗炭の苦しみを嘗めている。然らば日本はこのまま足腰が立たなくなるだろうかと云うに自分はそうは思わない。否、封建的な政治機構を一蹴し、軍備をかなぐり捨てたところの民主日本なるものは文化国家として再び世界に重きをなす時が存外速やかに来るだろうと思う。日本のなすべき仕事は多々ある。第一に胸に浮かぶものは観光事業である。観光事業なるものは今や立派な近代的インダストリーであって、世界各国何れも力を注ぎつつあるところである」と書いています。
 話は世界に飛びますが、カリブ海の国々はGDPの35〜75%が観光産業で、小学生のうちから観光教育を行っています。このように観光が国の中心産業になっている国は少なくありません。かつての大国であったヨーロッパを見ると、イタリア、オランダ、スペイン、ポルトガルなども現在は観光大国といえます。

 日本で早くから観光学科を創設している立教大学のホームページには、「観光は巨大な産業です。現在世界では年間7億人を超える人々が観光客として流動し、その金額は膨大なものになっている」と記しています。
 現在来日する外国人観光客は年間600万人で、世界一多いフランスの10分の1にしかすぎません。日本の気候や緯度から考えると、カリブ海並みの観光客が来ない方がおかしいのかも知れません。従来、日本は科学技術大国・輸出立国を唱え、莫大な量の外国資源を購入し、付加価値の高い物に加工し、世界へ輸出し、国民を豊かにしてきました。
 現在、中国やインドのような大国が工業化に邁進し、急激な成長を遂げています。そのため、従来日本が行ってきたような、世界の15%もの外国資源を購入することはもはや不可能になっています。日本がかつて欧米に追いつけ・追い越せと、付加価値の小さい農林水産業を捨てて、工業化に驀進してきたことと同じことを、現在の中国やインドが推進しています。
 同じように中世のオランダやスペインが世界を制覇する中で、徐々に新興国に道を明け渡さねばならなくなったことが連想されます。日本は戦後、アメリカに追随する中で、世界第2位にまで上りつめてきました。しかし、最近のアジアの成長は驚くものになっています。日本の成功体験ももはや過去のものになりかかっています。これからは攻守交替する中で、新しい時代を切り開かなくてはなりません。
 ところで、日本の国土面積は世界の60番目ですが、200海里時代の今日、排他的経済水域を加えると世界で6番目の面積を有する大国です。そこで、新しい国づくりのコンセプトは日本を取り巻く海に求めることが重要になってきています。
 この日本の周囲に広がる海を新しい観光資源として展開することで、日本は海洋観光立国に転ずることができるのです。東や南に広がる太平洋で、かつてのバスコ・ダ・ガマの大航海時代を体験する観光ツアーやコロンブスのアメリカ大発見のイメージ体験冒険旅行やタイタニック号の北太平洋航海旅行を体験したり、マリンスポーツを楽しんだり、一日中海浜のホテルでゆったりと過ごしたりすることを世界中の人びとに提供することが可能になるのです。
 できることならば、中国・インドをはじめとするアジアや世界から年間数千万人の方に来訪していただき、日本中を1〜2ヶ月かけて、ゆったりと自転車などで旅していただき、日本のすばらしい自然と寺院などの文化遺産を楽しむとともに、毎晩温泉に入っていただきたいと考えます。日本に来れば本当の健康が取り戻せる“癒しの国”になることができるならば、世界からリピーターが増えるでしょう。
 そのためには、日本は農林水産業を大切にして100%の自給国に転じるとともに、農薬などを使わない有機農業をベースにした食の安全なエコライフの国にすることが望まれます。幸い、キューバの事例があります。ソビエトの支援を頼りに政治経済を行ってきた国が、支援がなくなり、有機農業に転じざるを得なくなり、10年かけて成功した例です。
 江戸時代の日本は、世界でもまれな循環型ライフスタイルを達成していたことが知られています。今また日本人の勤勉さと知恵があれば、この循環型ライフスタイルをできないことはありません。近年の大量生産・大量消費・大量廃棄に乗ったライフスタイルから脱却できないはずはありません。今後、数十年、数百年かけて江戸時代を参考にエコライフ国家を創り上げるのです。途方もない息の長い夢かもしれませんが、基本的に、国内の資源をベースにした循環型ライフスタイルをみんなで模索しましょう!
 そのためには海との付き合い方を抜本的に創意工夫し、創造しなければなりません。
 持続可能社会、平和な、こころ美しい日本再生を楽しみましょう!

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