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これでわかったビットコイン 斉藤 賢爾(著) - 太郎次郎社エディタス
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これでわかったビットコイン (コレデワカッタビットコイン) 生きのこる通貨の条件 (イキノコルツウカノジョウケン)

ビジネス
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ8mm
重さ 160g
96ページ
並製
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-8118-0772-0   COPY
ISBN 13
9784811807720   COPY
ISBN 10h
4-8118-0772-3   COPY
ISBN 10
4811807723   COPY
出版者記号
8118   COPY
Cコード
C0033  
0:一般 0:単行本 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年4月
書店発売日
登録日
2014年3月13日
最終更新日
2014年8月27日
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書評掲載情報

2014-07-20 朝日新聞
評者: 山形浩生(評論家)
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紹介

欠陥通貨? それともイノベーション?
2013年後半から相場の急騰で注目を集め、大手取引所の破綻後もホットな開発の話題が続くビットコイン。その将来はどこに向かうのか。
国の管理を超える大きな可能性から、その広がりが招く意外な陥穽まで、デジタル通貨の専門家が答える。

【入門編】ゼロからでも大丈夫。まずはよくある疑問から。
【使い方編】ビットコインが国境をとび越えるワケ
【そもそも編】通貨の革命か、危険な投資商品か、それとも…?
【しくみ編】取引を支える技術を徹底解説。このシステムの弱点は?

目次

【入門編】
◎だれが発行しているの?
 ●一人ひとりが発行する
 ●みんなで確かめあう
 ●上限は合計で約2100 万BTC
◎値段の上下はどうやって決まるの?
 ●市場原理で決まる
 ●値段が上がる要因
 ●値段が下がる要因
◎突然使えなくならないの?
 ●政府が止める可能性
 ●ソフトウェアの開発元・配給元が止める可能性
◎どうして広まってきたの? これからは?
 ●開発コミュニティの努力
 ●従来の通貨への信用のゆらぎ
 ●これからさらに広まるのか、衰退するのか
◎いま始めないと損?
 ●始めないと損だと思う人、もう遅いと思う人
 ●大きく構えよう

【使い方編】
◎BTC はどうやって入手する?
 ●分けてもらおう
 ●取引所で購入する
 ●物理コインは本物?
◎《マイナー》(採掘アプリ) で参加する
 ●《マイニングプール》(集団採掘場)
 ●《マイニングプール》に潜む「危うさ」
◎《ウォレット》(財布アプリ) で使う
 ●《アドレス》(公開鍵) : 持ち主や送り先の識別番号
 ● BTC での送金の仕方
 ●取引の承認
 ●《アドレス》を打ち間違えたら?
 ●《プライベートキー》(秘密鍵)=BTC を使うための鍵
 ●匿名性はどうなった?
 ●《プライベートキー》はどう保管する?
◎お釣り・両替はどうやっている?
 ●取引の「入出力」
◎匿名? 追跡可能?
 ●追跡することで何がわかるか
 ●捜査当局は何をすべきか
◎ビットコインが盗まれたら?
 ●匿名性は幻想
 ●詐欺、誤操作のあったときは?
 ●無くしたり盗まれたりしたら?
◎取引に消費税や印紙税はかからない?
 ●国の決まりに従う
 ●日本ではどうするのか
◎ビットコインで商取引のかたちが変わる?
 ●オンライン決済の導入は容易に
 ●日常の買い物は変わらないかも
 ●送金が、より簡単で当たり前になる
 ●グローバル化は進行する
◎これから大きくバージョンが変わったりしないの?
 ●バージョンの変わり方
 ●どう変わるか・どう変えるのがよいか
 ●ビットコインの「亜種」の存在

【そもそも編】
◎「貨幣」はすべて仮想のもの
 ●「仮想通貨」という言葉のおかしさ
 ●「リアルマネー」はリアルではない
◎「貨幣」はどのようにして生まれるか
 ●なぜ貨幣は使えるのか
 ●なんだって貨幣になれる
 ●巨石が貨幣になるしくみ
◎国や銀行以外が貨幣を発行していいの?
 ●いいんです
 ●ビットコインは地域通貨みたいなものか→違います
◎ビットコインでは、なぜ発行量を決めているのか
 ●インフレ撲滅への強い意思
 ●でもインフレって悪いこと?
 ●貨幣はすべての商品の王さま→ その王さまはハダカだ
◎85 人= 35 億人?! 「貨幣」自体の構造的欠陥
 ●貨幣が生み出す強烈な格差
 ●貨幣のグローバルな流動性はどこに何を運ぶ?
◎貨幣は「信用」をどこまで表現しているか
 ●貨幣は信用の代替物
 ●信用の氷山モデル

【しくみ編】
◎基礎技術「ハッシュ値」
 ●大きなデータをあつかいやすくする工夫
 ●ハッシュ関数とその種類
◎デジタル署名とその使われ方
 ●デジタル署名とは何か
 ● BTC 取引とデジタル署名
 ●二重消費とは何か
 ●ブロックチェインに〝正しい取引〟を埋めこむ
◎《マイニング》は何を保証するしくみ?
 ●《マイニング》の正体は「くじ引き」
 ●《マイニング》は何を難しくするか
◎コインが誕生するしくみ
 ●《マイニング》の報酬としてのBTC
 ●減っていく報酬
 ●巨石貨幣との類似点と相違点
◎システムに欠陥は?
 ●貨幣のかたちを360 度変え、欠陥を引き継ぐ
 ●ビットコインに対して可能な攻撃
 ●最大の欠陥? ― 世界から切り離されると使えない

参考資料

前書きなど

●ビットコインって、なんだろう?
 この本を手にしてくださったあなたは、ビットコイン(Bitcoin)について、少なくとも聞いたことはあるのではないかと思います。報道では、「謎の通貨」「相場が乱高下」「違法取引や資金洗浄(マネーロンダリング)への利用」「大手取引所が経営破綻」などの言葉が飛びかっているので、ちょっと怪しい印象を抱いているかもしれません。
 ビットコインをひと言で表すなら、インターネットを使った「P2Pデジタル通貨」です。
 サトシ・ナカモトを名乗る人物が2008年に、暗号技術に興味をもつ人々が集まるメーリングリストに投稿したアイデアがきっかけとなって、システムがつくられ、2009年に実際に動きだしました。「P2P」は、ピア・ツー・ピア(Peer-to-Peer)の略で、「ピア」とは対等な相手という意味です。ウェブでもメールでもそうですが、インターネットの多くの応用では、サービスを提供する側である「サーバ」と、サービスを受ける側である「クライアント」が区別され、それぞれが別々の役割を担います。P2Pは、それとは異なる考え方で、参加するすべてのコンピュータが同じ役割を担い、「どこにも中心がない」構造をもつことが基本です。「デジタル通貨」は、インターネットに代表されるデジタル・コミュニケーション技術を使ってつくられた、私たちがふだん使っているお金のかわりになる通貨です。「仮想通貨」と呼ばれることもありますが、正確ではないので、この本ではそう呼びません。
 これらのことから、ビットコインは、インターネットにつながったコンピュータが、P2Pのやり方で通信しながら、私たちがふだん使っている日本円、あるいは米ドルやユーロなどといった通貨とは別の支払い手段を提供しているシステムだということになります。
 ビットコインでは、原理的に考えて、だれでもコインを生みだすことができます。ですので、「民主的な貨幣をつくった」ということがいわれることもあります。ですが、私は、「だれでもほんとうに対等にあつかわれるのか」という疑問をもっていますし、ビットコインの設計の仕方には、いろいろ問題があると思っています。

●この本が生まれたいきさつ
 私は日立ソフト(現 日立ソリューションズ)などの会社で10年以上、コンピュータ・ソフトウェアの開発に携わるエンジニアとして勤めたあと、縁あって、慶應義塾大学の大学院政策・メディア研究科の博士課程に入り、以降、日本のインターネットの父とも呼ばれる村井純教授とともに、研究や教育に従事してきました。客観的に見て、インターネットやその社会応用の専門家だといえると思います。
 私が2006年に博士号を取得したときの研究テーマは、まさに「デジタル通貨の開発」でした。それは、いまでも私の重要な研究テーマです。
 ビットコインについては、自分の研究に関連する事例だということもあり、使われはじめた当初から大まかには知っていました。2013年の春ごろ、ビットコインが社会で注目を集める兆しが出てきたときにちょうど、情報通信技術にかかわる業界紙に記事を書いたことがきっかけとなり、テレビ・ラジオのニュース番組や、新聞・雑誌などの取材を受けるようになりました。ですが、そうしたメディアで伝えていくとなると、どうしても時間や紙面がかぎられるので、もっとていねいに、じっくりと、ビットコインにたいするみなさんの疑問に答えていく必要があると思うようになりました。
 それが、この本を書くにいたったいきさつです。

●この本の目的
 正直に言って、私はビットコインのことをよく思っていません。しかし、よく知らずにそう思うとしたら、たんなる偏見にすぎません。この数か月、私は、元の設計文書※を読みかえしたり、技術仕様にあたったり、ほかの研究者と意見を交換したりしながら、ビットコインについて理解を進めてきました。
 サトシ・ナカモトは、ビットコインのアイデアを示した設計文書のなかで、「信用ではなく暗号学的な証明に基づく電子的支払いシステムをつくる」と宣言しています。その問題意識は正当だろうか、というのが、まず最初に感じる疑問です。ビットコインは、巧みに設計されたシステムですが、最初のボタンをかけ違えているという印象をもっています。ただ、政府や中央銀行でない者が貨幣を自分でつくりだすということには、未来の経済社会を考えるうえで、可能性があると私は信じています。
 どんな新しい技術も、社会のなかで実際に使われながらもまれ、洗練され、私たちの生活を支えるツールとして育っていくというプロセスを経ます。その意味で、私はたんにビットコインについて否定的意見を述べるだけでなく、その未来を見すえてこの本を書いたつもりです。ですので、ビットコインについて、あるがままを紹介することに加えて、私の意見も書いています。あなたが、これからビットコインを使っていきたい、あるいは投資のために持っておきたいと思っているなら、知っていて損はない、技術的な特徴や注意すべき点についても書きました。

[入門編]──── ビットコインについてのよくある質問に答えるかたちで、その特徴を紹介しています。
[使い方編]─── ビットコインについてのより実践的な質問に答えながら、社会にどんな影響が現れるかについて考えていきます。
[そもそも編]── 「お金って、なんだろう?」という素朴な疑問に答えることをとおして、ビットコインがもつ問題点について考えてみます。
[しくみ編]─── ビットコインの技術的なしくみを解説しています。コンピュータシステムに興味のある読者向けに書いていますが、専門的な知識は不要です。

 大きな意味で、ビットコインは社会的な実験だと思います。この本は、あなたがビットコインにたいして「これでわかった!」と思えるようになり、この歴史的な実験に自分も参加するかどうか、安心して態度を決められるようになるための本です。


※「論文」と呼ばれることもあります。私の感覚では、論文と呼んでもさしつかえないと思いますが、「学会で認められたもの」といった誤解を生む可能性もあります。この文書は、メーリングリストに投稿されたレポートで、専門家による査読を受けたものではありません。サトシ・ナカモト本人が「design paper(設計論文)」と呼んでいることを尊重し、この本では「設計文書」と呼ぶことにします。

著者プロフィール

斉藤 賢爾  (さいとう けんじ)  (

1964年生まれ。「インターネットと社会」の研究者。
日立ソフト(現 日立ソリューションズ)などにエンジニアとして勤めたのち、2000年より慶應義塾大学SFCへ。2003年、地域通貨「WATシステム」をP2Pデジタル通貨として電子化し、2006年、博士論文「i-WAT:インターネット・ワットシステム─信用を維持し、ピア間のバータ取引を容易にするアーキテクチャ」を発表。
現在は「人間不在とならないデジタル通貨」の開発と実用化がおもな研究テーマ。
慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事。
一般向けの著書に『不思議の国のNEO──未来を変えたお金の話』(太郎次郎社エディタス)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。