幼年皇帝と昭和の精神史澁澤龍彦の時代
浅羽 通明:著
発行:青弓社 この版元の本一覧
四六判 400ページ 上製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7872-9083-0(4-7872-9083-5) C0095
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奥付の初版発行年月:1993年08月
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紹介

澁澤の胎児の夢が、玩物喪志の志が、妖異博物館が、大衆化して遍在するにいたった昭和末期、その彼が晩年に鋭く訴えずにはいられなかった高度消費社会に対する違和感とは? いま・ここを生きるための倫理を求めて全昭和史を振り返る。

目次

 (序)ぼくたちの失敗──なぜ澁澤龍彦なのか?   もはや異端ではなかった澁澤龍彦/ナルシスたちの自惚れ鏡/もっと強さを!──「E.T」、エコロジー、死刑廃止をめぐって/デオドラント・ニッポン──あるいは澁澤龍彦の時代 1 少年博物館長の宇宙  (1)優等生の秘かな愉しみ──娯楽としての博物館   ボマルツォの森への憧憬──夢の館の案内者としての優等生/田中康夫の目に博物館はどう映ったか?/澁澤龍彦が棲む異郷──図鑑の国、標本の国、剥製の国/優等生たちの「夢の国」──現実逃避としての学問と思想/見世物としての「知識」──包装紙としてのペダントリー/アトランダムというスタイル──終わりなきイメージ羅列の魔境/結論を出せない知性──これは啓蒙書ではない/綺譚読みもの作家という見世物師  (2)眼の欲望によってもぎとられた蒐集物(コレクション)、さえも   目の前へごろりと投げだされた「もの」自体/男性のオナニズム──性器と眼だけしかない化け物/ダンディズムの密室へこもる剥製蒐集者/神と貨幣、あるいは澁澤龍彦の眼が君臨する専制王国/膨大な商品の集積としてのみ現象するアイデンティティ/自己言及と規範──何がコレクターを退廃から救うのか  (3)あるいは宇宙模型でいっぱいのおもちゃ箱   「もっとも役に立たないもの」の方へ/宇宙に君臨しようとした人々の群れ/「宇宙の雛形」を蒐集して「宇宙の雛形」を造ること/デミウルゴス・コンプレックスを考える/金無垢のエクゾティズムと幼年皇帝の意志 2 幼年皇帝のいる昭和史  (1)クイズ少年と記億の領土──戦前期   「記憶魔」のリヴレスクな壺中天/幼年皇帝と朝貢国との交流/小さな貴公子のダンディズム──生きていたノーブレス・オブリッジ  (2)戦後青年(アプレ・ゲール)と衒学の伽藍──昭和二十年代   アンドレ・ブルトンの城館/『黒死館殺人事件』にならって/壼中天再興──少年冒険小説からシュルレアリズムヘの道/鎌倉のアプレ・ゲールたち──J・コクトーとE・クイーン  (3)バスティーユ牢獄が崩壊した日──昭和三十年代   「僕たちの現代史」の始まり──夜明け前の秘密結社員たち/六〇年安保とは何だったのか──バスティーユ崩壊の予兆/生産性の倫理を敵として──純粋消費から目的無き物体へ/生まれ変わったテキストのこと──『夢の宇宙誌』誕生のプロセス 3 高度成長の文化的矛盾  (1)高度成長の長い午後──六〇年代と澁澤龍彦   ダサい時代の始まり──『快楽主義の哲学』の二正面作戦/「宝石」誌という解放区──澁澤龍彦と筒井康隆の同時デピュー/高度消費社会の尖兵とされた幼年皇帝  (2)新しい知の台頭──七〇年代と澁澤龍彦   「記号」と「力」と「元型」と──進歩史観凋落の時代/これは学問ではない──新しい知と澁澤龍彦の岐路/「学会の言葉」と「市場の言葉」  (3)復辟の朝とポストモダン──八○年代と澁澤龍彦   SFと幻想文学の世代──貴公子とおうちの子の大量生産/エンターテインメントとしての「異端」/アクセサリーとしての「異端」──澁澤龍彦の大衆化/サイン会と見世物師──流謫の果ての幼年皇帝領/「読書する私」と心境小説──回帰すべき体験を求めて  (4)昭和の子供よ、ぼくたちは──そして、平成……   彼はなぜ「パラダイム」を嫌ったか/イコンとしての言葉──芸術と実用とが融合する小宇宙/文化の衰弱──「自由な表現」を忘れて「表現の自由」を訴える転倒について/職人たちのユートピア──専業文学者の社会的役割とは/「生活者」と「安楽死」──「死」に縁取られた生を輝かせること/専業なき時代と他者なき世代/他者のいない小説空間──玉座を降りなかった幼年皇帝/今ひとつの昭和史へのレクイエム──「すがたもきりり、こころもきりり」 今ぞ顧みる玩物喪志の志──あとがきにかえて 主要引用文献索引 澁澤龍彦作品名索引

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青弓社

著者プロフィール

浅羽 通明(アサバ ミチアキ)

1959年生まれ、神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。「みえない大学本舗」主宰。著書に『試験のための政治学』(早稲田経営出版)『ニセ学生マニュアル』『[逆襲版]ニセ学生マニュアル』『ニセ学生マニュアル[死闘編]』(以上、徳間書店)『天使の王国──「おたく」の倫理のために』(宝島社)。



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