ホテルの社会史
富田 昭次
発行:青弓社
この版元の本一覧
四六判 256ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7872-3256-4(4-7872-3256-8) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年04月
書店発売日:2006年04月14日
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紹介

進駐軍によるホテル接収、観光事業の隆盛やレジャー産業の急伸、生活様式の欧米化に後押しされ各地で出現した大型ホテル──。それを突き動かした社会の変化を整理して関係者の証言で当時の状況を再現し、ホテルという晴れの舞台を通して戦後の日本をたどる。

目次

まえがき 第1章 進駐軍の接収と戦後の復興  1 接収の瞬間   マッカーサー元帥を応接した名うてのホテルマン/全国のホテルで始まった接収という前代未聞の出来事/奈良ホテルに亡命滞在していたフィリピン大統領、投降す  2 接収下の運営   進駐軍から得たもの、それは徹底した衛生管理だった/接収下のホテルを明るく彩った芸能人たちの活躍/民間貿易再開のためにバイヤーズホテルを国営で開設  3 復興の萌芽   民主化に伴って相次いで従業員組合が結成される/ホテル関係教育機関が始動。関連の法律も整備される/聞こえ始める復興へ向けてのホテル建設の槌音  4 接収解除   宿泊客ゼロでも全館を大量の石炭で暖めた志摩観光ホテル/対日講和条約の発効で順次接収から解除される/ホテルに悲喜こもごものドラマを生んだ接収解除 第2章 大物財界人の活躍  1 堀久作と堤康次郎   講和条約前にいち早く動いて一等地にホテルを開業した日活/旧皇族・旧華族の邸宅に着目した堤康次郎の才覚/独特の風情を見せていた初期のプリンスホテル  2 五島慶太の遺産   鮎川義介の仲介と計略で日の目を見たヒルトンとの提携/半ばしろうと集団の反骨精神が都市ホテルのひな型をつくった/生みの苦しみを味わって開業した東京ヒルトンホテル  3 挫折を招いた過剰投資   誕生から曲折の道を歩んだホテルニュージャパン/数奇な運命をたどって横井英樹の手に落ちる/苦境に陥った札幌のホテルを救う萩原吉太郎  4 勝者と敗者   事業の神様が汚点を残した札幌の高級ホテル事業/ホテル三愛から生まれ変わった札幌パークホテル/政商・萩原吉太郎のもとで発展した三井観光開発  5 小川栄一と藤田観光【前篇】   魁偉な容貌そのままに広壮な考えを抱いた男/旧財閥の遺産を生かして大衆温泉リゾートに成功/大衆の心理を巧みにつかんだ経営戦略  6 小川栄一と藤田観光【後篇】   東京ヒルトンホテルを手本にした名古屋国際ホテル/のちに初の女性総支配人となる秋田美津子の入社/小川自身は果たせなかった椿山荘の世界第一のホテル  7 大倉喜七郎の復活【前篇】   野田岩次郎に救われた川奈ホテルとゴルフ場/習慣となった週末の川奈滞在で財界人と交流/穏和な空気のなかで伝統を守ったたぐいまれな厨房  8 大倉喜七郎の復活【後篇】   明治時代に払い下げられた本邸敷地をホテル用地に/日本の文化・美術・伝統を取り入れた基本路線の決定/意匠委員会まで設けて日本美を追求した完璧主義 第3章 高度経済成長の下で  1 二つの意味で和を重んじたホテル   浩宮誕生と同じ年月に設立されたパレスホテル/前代未聞のアイデアが盛り込まれたホテル設計/労使間の関係を良好に保った従業員互助会  2 東京の奥座敷・熱海の変容   それは一軒の小さな干物屋から始まった/街中から非難を浴びた錦ヶ浦でのホテル建築/団体客から家族客に切り替えた策が奏功  3 歴史の町が求めたホテル   へこたれない理想主義者が生んだ理想のホテル/水島の工業地帯の発展とともに成長/池波正太郎が感動した工場跡地の変容ぶり  4 異色事業家の夢と野望と【前篇】   多くの人に桜の思い出を刻み込んだホテル/独自の発想で新しい業態を開発した事業家 /都心の二万坪(六万六千平方メートル)の土地が転がり込んできた  5 異色事業家の夢と野望と【後篇】   大倉喜七郎が後押しした大谷米太郎のホテル建設/四面楚歌で大谷は苦渋の社長退任を決断/独自のタネ銭哲学で残された大谷の遺産  6 中核都市の目覚め   焦土と化した名古屋が新しい姿を形成するなかで/古都・京都を騒然とさせた京都タワーの建設/「福岡の応接間」として開業した西鉄グランドホテル 第4章 巨大ホテルへの挑戦  1 大阪の発展【前篇】   待望久しかった巨大ホテルが大阪・梅田駅前に出現/ホテル道楽の山本爲三郎、新大阪ホテルを救う/衰退する倉庫街をホテル用地に選んだ山本の慧眼  2 大阪の発展【中篇】   吉田五十八を起用して超一流主義を貫いた/万国博の開催が大阪の姿を大きく変えた/ホテルの未来像を描きながら計画した新館建設  3 大阪の発展【後篇】   放送会社の経営者がホテル経営に乗り出す/巨大ホテルであるがゆえに従業員の和を大切にした/無我の愛を貫いた鈴木のホテル哲学  4 帝国ホテルの改築   安全性が失われたライト館が解体に/高速大量輸送時代に対応した設計思想/巨大なホテルで高品質を達成することに意義が  5 井上定雄と京王プラザホテル   社内から強い反対論が出た超高層ホテル計画/半年足らずで百万人を突破した展望室/ホテルを売る前に新宿を売ることが使命に 第5章 新しい市場の創造  1 拡大路線と海外進出   ホテル業界が大きく転換する時代の始まり/初めて海外ホテルの所有者となる小佐野賢治/ホテル運営の技術が評価された海外進出も  2 企業戦士が支えたホテル業界   ビジネスホテルの源は敬虔な信者のための旅館/フランチャイズ方式で広がるチェーン網/沖縄の本土復帰とリゾート時代の幕開け  3 空港ホテルと下町ホテル   「景色がよければ、人は必ず来る」という信念/当初は企業セミナー向けに売り込んだ空港ホテル/東京に新しい市場を育てた下町の高層ホテル  4 コンベンションホテルの誕生   熱意だけでは困難と理解したホテル経営/誰も知らなかったコンベンションホテル/人工島に超高層ホテルを建設するという大英断  5 新しい発想と地方の活況   大規模な都市再開発と新しい会員制ビジネス/戦後の昭和の繁栄を象徴した客室革命/各地で続々誕生する大型リゾートや都市ホテル/立志伝中の人物と巨大リゾートの経営破綻 参考文献 あとがき

著者プロフィール

富田 昭次(トミタ ショウジ)

1954年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。ホテル専門誌の編集記者・編集長を経て独立後、ホテル・旅行作家の活動に入る。著書に『絵はがきで見る日本近代』『ホテルと日本近代』(ともに青弓社)、『「極み」のホテル』『東京のホテル』(ともに光文社)、『東京ヒルトンホテル物語』『最上のホテルその隠された秘密』(ともにオータパブリケイションズ)、『ノスタルジック・ホテル物語』(平凡社)、編著に『恋愛ホテル』(にじゅうに)などがある。

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