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都市と田舎
あるいはパリとポルトガル北部の山地
原書: A Cidade e as Serras
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2014年8月
- 書店発売日
- 2014年8月19日
- 登録日
- 2014年6月26日
- 最終更新日
- 2019年7月26日
紹介
『アマーロ神父の罪』で世界的作家となったケイロース文学の集大成といわれる「博覧強記」の最後の作品!
パリに住むポルトガルの貴族の狂気と再生への道を描き出す。イギリスからアフリカの植民地の権益を放棄せよ、と迫られていた共和制に突入する直前(1980 年代)のポルトガルの歴史的位置や問題点を背景に潜ませ、そうした危機を解決する道筋を作品に示したといわれるポルトガル文学を代表する作品。
太陽の下では新しい物など何もない。物事の永遠の繰り返しは悪の永遠の繰り返しと同じである。如何に多く知っていても苦しみより多く知る物はない。塵から生れた物は塵に還る、と同じように正義から生れた者は正義に還り、悪から生れた者は悪に還る。すべての物は儚い塵を嗜好するように全ての人間はイェルサレムやパリを指向する!
……ジャシントは旧約聖書の伝導書をこうして読んでいた。そして陰鬱な二〇二邸で一人前の成人として生きることに思い悩んでいたのだ。
……金の王冠を被り四頭の雄ライオンに囲まれて暮らすダヴィデの息子ソロモンの栄耀の中に自分は置かれているのではないかと。
彼は伝導書を肌身離さず持っていた。そして馬車の中でもソロモンの書を手放すことはなかった。ソロモンは悲嘆に暮れた大声で話し合える血を分けた兄弟であり真の人間性の集約であった。空は空に還る! 全ては空である!
しばしば朝からソファに長々と身を横たえ、絹の部屋着のまま貪るようにショウペンハウアーを読んでいることもあった。(第7章より)
目次
第1章 ジャシント家の大邸宅
第2章 パリ202 番地邸宅
第3章 文明のパリ
第4章 パリ社交界
第5章 女色に迷う
第6章 都会の憂鬱
第7章 淫欲の果てに
第8章 ポルトガルへ汽車の旅
第9章 実家のスープ
第10 章 小作人の家を訪問
第11 章 生活改善に投資
第12 章 友人の実家を訪問
第13 章 従妹との結婚
第14 章 仕事に精を出す
第15 章 子供の父となる
第16 章 シャッターの下りたパリ
版元から一言
(社)日本図書館協会 選定図書
上記内容は本書刊行時のものです。