発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判 416ページ 並製
定価:2,700円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-3201-9 C0031
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
書店発売日:2007年09月11日
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紹介
2001年9月11日に勃発した衝撃の事件から「世界が変わった」といわれるが、6年目の今、一体何がどう変わったのか。世界貿易センタービルやペンタゴンへの飛行機の衝突等、9・11事件は本当にイスラム教過激派のテロだったのか。「不可解」な「事実」を究明し、「反テロ戦争」という「美名」の下に隠されて推進されているグローバル資本主義経済、軍産複合体主導の社会構造への改編、パックス・アメリカーナがもたらすであろう将来の問題点を、さまざまな角度から考察。
目次
まえがき
【第1章】9・11事件の世界史的意味と軍産複合体の影——戦争プロパガンダと思考停止の克服——木村 朗
(1) はじめに
(2) 9・11事件の衝撃と波紋——世界の人々は一体どのように受け止めたのか
(3) 米国政府の公式発表に対する異論・疑惑の噴出——9・11事件とは何であったのか
(4) 9・11事件の世界史的意味を問う——「第二の冷戦」と軍産複合体の影
(5) おわりに
【第2章】なぜ9・11事件の真相究明を求めるのか——きくち ゆみ
(1) 少女の写真の前で
(2)「グローバルピースキャンペーン」を立ち上げる
(3) フランク・ドリルとの出会い
(4) 政府広報機関になった米国メディア——9・11はどう報道されたか
(5)『911ボーイングを捜せ』との出会い
(6)『Loose Change 2nd Edition』との出会い
(7) 日本初の「9・11真相究明国際会議」
(8) 沈黙のメディアと議論盛んなインターネット
(9) インターネットの果たした役割
(10)これから私が目指すもの——日本と世界に平和省の創設をめざして
(11)最後に——マルチン・ニーメラー牧師の告白
【第3章】「9・11」の考察——世界貿易センター第七ビルを中心に——成澤宗男
(1) 隠された重大事
(2) 証拠の組織的抹殺
(3) 事前に流れた「崩壊報道」
(4)「ダメージ」の全貌
(5)「証言」と現実 135
(6) なぜ「事前退避」なのか
(7) 唯一無二の「火災による崩壊」
(8) 制御解体と爆破音
(9) 終わりに
【第4章】9・11事件と平和学——ガルトゥングの視点から——戸田 清
(1) はじめに
(2) 9・11事件についての虚偽説明の疑い——文化的暴力の問題
(3) 9・11事件によって正当化された戦争
(4) 9・11事件によって正当化された監視国家化と民主主義の後退
(5) 9・11事件と市民運動
【第5章】グリフィンの「9・11」をめぐる考察方法——プロセス神学による虚偽と無知の克服——延原時行
(1) 予備的考察
(2) 9・11の真実を求めて——『サンタ・バーバラ・インディペンデント』紙におけるインタヴューの紹介と考察
(3) 9・11——神話と実在——グリフィン教授のオークランド講演に因んで
(4)「パックス・アメリカーナへのプロセス神学の反論」の基礎視座
(5) 虚偽と無知の根源——プロセス神学による批判的省察
【第6章】「反テロ戦争」論の現在——板垣雄三
(1) 「9・11が変えた世界」とは?
(2) 9・11研究のワザ、学際のワザ
(3) 「反テロ戦争」とは何か
1-はじめに 2-反テロ戦争の起源 3-プロセスとしての民主主義と多元的世界 4-帝国の終わりと国際社会を横する公共性 5-むすび——新秩序構想のインキュベーション
(4)「反テロ戦争」時代を生きるということ
(5)「反テロ戦争」まっただなか
(5) 目前に迫りくる破局
1-欧米中心主義の自己破産 2-悪に染まるコースから脱け出すために 3-「反テロ戦争」の未来 4-イスラエル国家のためのリスク管理戦争 5-勝利したDはブッシュの戦争を止められるか 6-イスラエルの「生き残りゲーム」の危うさ 7-人類は「反テロ戦争」から脱出できるか
【第7章】つくられる戦争構造に抗して——本山美彦
(1) 人間の経済学を創ろう
1-はじめに 2-労働破壊を進める冷酷な経営者 3-労働破壊と並列する「儲かる」金融ゲーム 4-金融ゲームを過熱させている米国の金融近代化法 5-経済の軍事化を強制する米国政府 6-衝撃的な『第二次アーミテージ報告』 7-人間の経済学を求め、正統派から拒絶されたJ・A・ホブソン 8-人間の経済学を目指すホブソンに影響を与えたラスキンによる富の定義 9-おわりに
(2) 民営化される戦争とグローバル企業(講演録)
1-国産化が途上国発展の鍵 2-戦時国家アメリカの実情——アメリカとの一体化は断固拒否 3-現代版「軍産複合体」の恐ろしい構造 4-ICタグで世界支配をもくろむペンタゴン 5-医療や大学が民営化される実態 6-戦争が民営化する要因 7-勝者と敗者へ分極化する社会 8-石油利権のためのイラク戦争
【資料】『アメリカ国防の再建』の要旨——[要約]ベット・ストックバウアー/[訳]戸田 清
●米国のグローバル・ヘゲモニーを求める「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」の青写真
あとがき
●参考文献・資料一覧および関連情報リスト
前書きなど
まえがき
一九八九年から一九九一年にかけてソ連・東欧圏の崩壊という形で冷戦が終了するのと合わせて、新たな世界秩序と社会秩序が模索され始めた。本来ならば、「ソ連」「共産主義」という強大な敵・脅威がなくなった冷戦終結時において、ワルシャワ条約機構のみならずNATOも日米安保条約も消滅するはずであった。しかし、実際には、解体の危機に瀕した世界的規模の軍産複合体による死にもの狂いの巻き返しが行われた結果、「冷戦時代の遺物」である軍事同盟と巨大な軍産複合体がそのまま存続することになった。
二一世紀の初頭に米国中枢で起きた9・11事件は、軍事力によって安全保障や紛争解決をはかる危険な傾向をさらに加速化した。ブッシュ政権は、9・11事件以後、「反テロ戦争(新しい戦争)」の発動を宣言して、アフガニスタンへの「報復戦争」に続いて、イラクに対しても一方的な先制攻撃である「予防戦争」を国連や国際世論を無視する形で強行した。また米国内では、9・11事件直後から主にアラブ・中東系の人々に対する「予防拘禁」や盗聴・検閲の強化がテロ対策の名の下に実施された。そして、国家権力とメディアが一体化した形で行う情報操作によってテロへの恐怖やイスラムへの偏見を一方的に煽られた米国民も、日常生活への不安から一種の思考停止状態となり、国際法秩序や憲法秩序を破壊して暴走する自国政府を支持することになったのである。その結果、9・11事件以降の世界は、まさに「新しい帝国秩序」の形成、戦争とファシズムへの道へ向かいつつあると言えよう。
9・11事件からすでに六年近くが過ぎた。時がたつにつれて、こうした混乱状況は徐々に変わりつつある。米国政府によって世界中に流布されている公式見解に基づく物語(アルカイダ犯行説)とは異なる「もう一つの物語(仮説)」、すなわち、これまで「陰謀論」とされてきた、公式見解に対する異論・疑惑が米国民を含む世界中の人々の中で急速に拡がりつつあるのである。
本書では、それを境に世界が一変したと言われる9・11事件を主に取り上げて、9・11事件を世界の人々は一体どのように受け止めたのか、9・11事件の真相をめぐる疑問点・矛盾点とは何かを明らかにすると同時に、戦争報道と情報操作のあり方、反テロ戦争の本質的意味とその実態・具体的展開、軍産複合体と戦争構造・戦争プロパガンダとの関係、といった様々な問題を多角的な観点から分析・考察することを課題としている。
本書は、9・11事件をめぐる多岐にわたるすべての論点を詳細に検証することによって何らかの最終的な結論を導いたり、断定的な評価を下すことを目的としているわけではない。本書の題名を9・11事件の「検証」ではなく、「省察」とした理由も実はそこにある。本書の主眼は、あくまでも読者の判断の材料となる客観的事実を出来るだけ多く提起することであり、具体的な犯人捜しをしたり、論争のための論争に深入りする意図は毛頭無いことをお断りしておきたい。
ただ言えることは、これまで市民から出されてきた数々の謎・疑問点や本書のなかでも提起されている多くの問題・矛盾点に誠実に答える義務があるのは米国政府当局(とそれを全面的に支持した日本政府など)であり、私たちには、9・11事件の真実を知る権利、すなわち、あの日に何が実際に起こったのかについて納得のいくだけの十分な説明や再調査を求める権利が当然あるということである。
私たちは、ブッシュ米政権が主導する形で進められている偽りの「反テロ戦争」を止めさせ、「第二の9・11」を防ぐためにも、現在の深刻な危機を克服して真の平和と民主主義を一刻も早く実現する必要がある。政府・国家が行う戦争プロパガンダ、すなわち、権力とメディアが一体となって行う情報操作による真実の隠蔽と「神話」の捏造がもたらすある種の思考停止状態から離脱して、何が本当の真実なのかを今こそ真剣に問う時ではないだろうか。
編者 木村 朗
版元から一言
9・11事件後、日本でもイラク特措法や国民投票法の成立、米軍再編の開始など日米一体化が加速した。「世界が変わった」といわれるが、6年目の今、一体何がどう変わったのかを、報道・歴史・神学・環境・経済など諸方面から考察する。
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著者プロフィール
木村朗(キムラ・アキラ)
鹿児島大学法文学部教授、平和学・国際関係論専攻。1954年8月生まれ。北九州市小倉出身。長崎平和研究所客員研究員・日本平和学会理事。主な研究テーマは、民族問題や原爆投下・核問題など。平和問題ゼミナールhttp://www.ops.dti.ne.jp/~heiwa/を開催。単著『危機の時代の平和学』、編著『核の時代と東アジアの平和』、(いずれも、法律文化社)、編著『[市民講座・いまに問う]米軍再編と前線基地・日本』(凱風社)、他。
きくちゆみ(キクチ・ユミ)
東京下町生まれ。環境と平和をテーマに書き、訳し、話す。大学卒業後、マスコミ・金融界を経て90年より環境問題の解決をライフワークに。自給自足を目指して南房総に移住し「ハーモニクスライフセンター」を運営。9・11事件をきっかけに「グローバルピースキャンペーン」を立ち上げ、米紙への意見広告やハリウッドのビルボードを実現。著書に『地球と一緒に生きる『ハーモニクスライフ』『バタフライ』、訳書に『戦争中毒』他。現在、平和省プロジェクト代表、東京平和映画祭プロデューサー。
成澤宗男(ナルサワ・ムネオ)
1953年、新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』編集部企画委員。著書『ミッテランとロカール フランス社会党戦国史』(社会新報ブックレット)を始め、フランスの政治・軍事に関する論文多数。2002年から「9・11」に関するリサーチを始め、06年に『「9・11」の謎 世界はだまされた』(株式会社金曜日)を上梓。他に『[市民講座いまに問う]米軍再編と前線基地・日本』(共著、凱風社)など。
戸田清(ノブハラ・トキユキ)
1956年生まれ。長崎大学環境科学部教授。博士(社会学)、獣医師(資格)。専門は環境社会学、平和学。著書は『環境的公正を求めて』(新曜社、1994年)、『環境学と平和学』(新泉社、2003年)、共著は『環境思想キーワード』(青木書店、2005年)他。訳書は『永遠の絶滅収容所 動物虐待とホロコースト』(緑風出版、2007年)他。
延原時行(ノブハラ・トキユキ)
1937年兵庫県生まれ。同志社大学(神学修士、1962年)。クレアモント神学院(D.Min., 1978年)、クレアモント大学院大学(Ph.D., 1981年、『神とアナロジー:自然神学の新しい可能性を求めて』)。ルーヴァン大学、テキサス基督教大学、クレアモント大学等で客員教授を務める。91年より敬和学園大学教授。主著:『ホワイトヘッドと西田哲学の〈あいだ〉:仏教的キリスト教哲学の構想』。近著:『対話論神学の地平』。訳書:『プロセス神学の展望』。
板垣雄三(イタガキ・ユウゾウ)
1931年2月、東京生まれ。職業としてはほうぼうの大学で教えたが、退職してすでに久しく、現在は執筆や講演をゲリラ的に行なっている。肩書は東京大学と東京経済大学の名誉教授とされている。主要な関心は、反テロ戦争のゆくえ。すでに半世紀以上にわたり、パレスチナ人が新しい「ユダヤ人」にされてしまったこと、植民地主義の加害者と追い散らされた被害者とを同列におく「和平」論はハタンするにちがいないと訴えつづけている。
本山美彦(モトヤマ・ヨシヒコ)
1943年神戸市に生まれる。京都大学経済学部・同大学院終了。経済学博士。専門・世界経済論、金融の倫理。京都大学名誉教授。現在、福井県立大学経済学部教授。京都大学経済学部長・大学院研究科長、日本国際経済学会会長、第18期学術会議会員、国際経済労働研究所所長を歴任。最近の著書、『姿なき占領』(ビジネス社、2007年)、『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』(ビジネス社、2006年)、『民営化される戦争』(ナカニシヤ出版、2004年)など。
※版元より営業日2~5日でお届けします
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