証言=「昭南島」の三年半日本のシンガポール占領
シンガポール・ヘリテージ・ソサエティ:編著, リー・ギョクボイ, 越田 稜:監訳
発行:凱風社
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A5判 288ページ 並製
定価:1,900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-3102-9 C0022
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年01月
書店発売日:2007年01月20日
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紹介

シンガポール住民が日本軍占領下に堪え忍んだ痛苦の日常を、多数の写真と証言で綴ったドキュメント。本書はシンガポール陥落50年にあたる1992年に、自国の歴史を次世代に継承することを目的として刊行された。原著のタイトル“SYONAN”は、当時の日本が南方侵略の拠点としたシンガポールの日本語名称(=昭南島)。1996年刊『シンガポール 近い昔の話——日本軍占領下の人びとと暮らし 1942〜1945』の増補普及版。

目次

日本語版への序
まえがき
歴史の証人

第一章 一つの時代の終幕——占領への序曲
 "要塞島シンガポール"の幻影
 イギリスの陸海空軍
 住民義勇兵と自警団
 シンガポールとマラヤ在住日本人
 中国人の抗日戦

第二章 戦争の勃発——シンガポール包囲戦
 戦争前夜
 最初の空襲
 空襲下のシンガポール
 日本軍のコタ・バル上陸
 戦闘記録
 シンガポールの防衛とイギリス軍の降伏
 シンガポール陥落の原因

第三章 日本時代が始まる——住民への対応
 捕虜収容
 連合軍捕虜の生活
 中国系住民の浄化——「粛清」
 各民族社会への日本軍の対応
 親日組織
 インド国民軍とインド独立同盟

第四章 法と秩序——日本の占領政策
 頻発した略奪行為
 監視される住民
 「兵補」「義勇隊」「義勇軍」
 ケンペイタイ
 それほど悪人ではないやつ
 マレー人民抗日軍と第一三六部隊

第五章 昭南島の日常——大東亜共栄圏の暮らし
 「昭南島」時代とは
 ニッポンゴと日本文化
 日常生活
 働く人びと
 目的の場所へ
 食べ物、あの素晴らしい食べ物
 ヤミ取引
 エンダウとバハウの入植地
 死と病い
 娯楽、祭り、宗教活動

第六章 終局の始まり——ナショナリズムのルーツ
 解放目前
 日本軍の降伏
 占領の教訓
 エピローグ

訳者あとがき

戦後歴史教育への逆風と過去の克服
 ——増補版刊行に寄せて—— 越田 稜

前書きなど

日本語版への序——リー・ギョク・ボイ

 どんなに多くの英雄が生まれようと、戦争は正しくありません。また、ミサイルや原爆を使ってはるか遠くにいる敵を殺している人は、自分の手は汚れていないと思っているかもしれませんが、戦争は不正な行為なのです。戦争は死と破壊です。戦争当事国が国をあげて、軍事目標のみを攻撃しているといかに宣伝しようと、事実は一つ。女性、子ども、老人など、戦いを望まない人たち、つまり罪のない人たちの近くに爆弾が落ち、砲弾が降り注ぎ、手榴弾が投げられ、そして地雷が炸裂するのです。武器は五歳の子どもと二五歳の兵士の区別はできないし、軍事基地と祈りの場の区別もできません。よく言われるとおり「恋と戦争では何をしてもすべて正しい」のです。

 だからといって、戦争に肯定できる点などありません。それゆえ、戦争を避けるには戦争そのものと戦争の原因を知ることが何よりも大切です。こうして自らの歴史を知る努力を重ねていけば、時間はかかってもやがては戦争の阻止に役立ちます。日本の占領下で起こった恐怖の数々を日本が無視しているのは、この点で危険です。近隣諸国の友人の目に日本が危険だと映るのもそのためです。ナショナリズムの発露が戦争に広がるという事実、そしてこのナショナリズムの発露が残虐行為を生むという事実を受け入れてはじめて、戦争を体験しない世代も戦争の阻止に希望を見いだせるのです。

 私自身は戦後生まれであり、戦争の残虐さを体験してはいません。しかし、シンガポールの歴史を調査し、執筆するという経験から、日本のナショナリズムと軍国主義がもたらしたものをよく理解することができました。本書は戦前の日本の暗黒面を明らかにしようとするものです。

 日本占領時代を生きた人たちはもちろん、私たちのようにそうした経験をしていない世代も含めてみなが現在不安に感じているのは、ひじょうに多くの日本人がこの暗黒面を直視することを避けたり、認めようとしていない点です。近代ドイツは、ナチの犯した数々の人道に対する罪を認め、いまもネオ・ナチの復活を許しません。これに対して日本は、戦時中の残虐行為を覆い隠してきたベールを今やっと取り始めたばかりです。日本の若者が自らの歴史を知らないとしたら、自国の否定的な側面を直視することなど望むべくもありません。人間である以上、どんな国にも暗い部分があるのです。

 私は、凱風社による本書の刊行のように、日本がアジアを占領していた時代の否定的な側面について若者に知識を提供しようとする努力を支持し、喜びたいと思います。知識は力であり、また、相互理解に至る唯一の道です。世界が実質的に狭くなるにつれ、相互理解は我われ一人ひとりの生存に関わる最重要課題になっているのです。

版元から一言

本書はシンガポール陥落50年にあたる1992年に、自国の歴史を次世代に継承することを目的として刊行された現代史副読本。住民が占領下に堪え忍んだ痛苦の日常を語るオーラルヒストリー。

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