ゆとりのくにのキーワード台湾事始め
亜洲奈 みづほ
発行:凱風社
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四六判変型 320ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-3006-0(4-7736-3006-X) C0026
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年03月
書店発売日:2006年03月15日
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紹介

「世界でもっとも日本人にやさしい土地」に留学して、暮らして、見て、聞いて、さわって、味わって、恋して、考えた「現代台湾風物誌」。毎年100万人の日本人旅行者を惹きつけ、インターネットの海外地名検索数ランキングでも常に上位を占める台湾。やさしくマイルドな台湾の魅力の数々を120項目に分解し、6つのテーマにまとめて熱く熱く語る。紹介地点へのアクセスに加えて案内地図も収載。「おすすめ」の店や場所を巻末の地図でチェックすれば、あなたただけの旅行スケジュールができあがり!

目次

●プロローグ 台湾のふところ

●「ゆとりのくに」を体感する
 茶 園 ◆茶畑をのぞむ一杯[お 茶]
 凍頂烏龍茶 ◆台湾茶の代表は孤高の香り[お 茶]
 文山包種茶 ◆たいせつに清茶をひとつつみ[お 茶]
 ジャスミンティー ◆フレーバーティーを料理のおともに[お 茶]
 茶芸館 ◆リラクゼーション・サロンとして[お 茶]
 足裏マッサージ ◆全身の調子は足裏一枚から[健 康]
 漢 方 ◆東洋医学の威力[健 康]
 気 功 ◆心・身・息の三位一体[健 康]
 温 泉 ◆クアハウスでぬるみのなかにとけてゆく[健 康]
 冷 房 ◆まるで空気のようなもの[健 康]
 エビ釣り ◆都会の釣り堀、気長な娯楽[健 康]
 ミネラルウォーター ◆炎天下のウワバミ[健 康]
 セルフサービス食堂 ◆お手軽ビュッフェ「自助餐」[シティライフ]
 コンビニ ◆人口比のコンビニ率は世界一[シティライフ]
 誠品書店 ◆全土を席捲するサロン風書店[シティライフ]
 地下街 ◆冷房の小道をそぞろ歩き[シティライフ]
 新光摩天楼 ◆台北を鳥の位置から見わたせば[シティライフ]
 占 い ◆神さま仏さまの答えはいかに!?[神秘世界]
 参 拝 ◆あのルイ・ヴィトンすら客よせに[神秘世界]
 王爺公 ◆厄を引きうけ海へと消えた……[神秘世界]
 媽祖婆 ◆台湾海峡の守護神は海の女神「天后聖母」[神秘世界]
 行天宮 ◆青い衣の癒しの手[神秘世界]
 信 仰 ◆自由な神仏のやどりたまう地[神秘世界]

●「味わいのくに」を満喫する
 夜 市 ◆毎晩が夏祭り[屋台料理]
 担仔麺 ◆台南名物ミニラーメンは、てんびん棒にひっさげて[屋台料理]
 臭豆腐 ◆これを食えたら台湾通と認めよう[屋台料理]
 牛肉麺 ◆日本上陸成功の牛肉きしめん[屋台料理]
 血もの ◆もの好きのおつまみ[屋台料理]
 テイクアウト ◆夕闇を行きかう「おもちかえり」の人々[屋台料理]
 黒タピオカ ◆キュキュッとアジアをふるわすミルクティー[デザート]
 ミルクティー ◆なぜ緑茶にもジュースにも牛乳を[デザート]
 愛玉ゼリー ◆屋台の灯に透ける金色のきらめき[デザート]
 豆 乳 ◆朝食は豆乳と揚げパンで[デザート]
 アイスクリーム ◆養生料理アイスクリーム[デザート]
 かき氷 ◆トッピングの充実[デザート]
 泡の紅茶 ◆シェーキング紅茶ブーム[デザート]
 ドリンクスタンド ◆台湾風アレンジせいぞろい[デザート]
 台湾ビール ◆台湾人のおだやかさにも似た[デザート]
 海 鮮 ◆タイ、カキ、サバヒ——「海の幸」天国[グルメ]
 小龍包 ◆世界に名をはすスープ入り肉まんじゅう[グルメ]
 蓬莱米 ◆台湾よいくに、コメの国[グルメ]
 ビーフン ◆風の町から届いた名物[グルメ]
 精進料理 ◆脂の中華をくつがえす健康食ブーム[グルメ]
 肉まん ◆本場の意地とバリエーション[グルメ]
 ピータン ◆塩味、イオウ味、茶葉の味!?[グルメ]
 カラスミ ◆律儀な魚の卵巣を薄焼きに[みやげ]
 パイナップルケーキ ◆台湾みやげの代表[みやげ]
 パ イ ◆あの味を菓子折で日本にお持ち帰り[みやげ]

●「みどりのくに」を散策する
 バナナ ◆台湾バナナのその後の姿[名 物]
 マンゴー ◆したたるような果実たち[名 物]
 仙草ゼリー ◆医食同源ハーブゼリー[名 物]
 ベランダ園芸 ◆自家製オアシスにあふれる緑[風物詩]
 水 牛 ◆変わりゆく姿、変わらぬ姿[風物詩]
 大 河 ◆白い気に満ちた場所[風物詩]
 台 風 ◆またか、と肩をすくめるばかり[風物詩]
 雨夜花 ◆風に吹かれてほろほろ落ちる……[風物詩]
 エバーグリーン ◆みどりの島にはばたく大財閥[風物詩]
 緑 色 ◆郵便局・民進党・環境問題!?[風物詩]
 美麗島 ◆なんと美しい島であることよ[風物詩]
 鳳凰木 ◆森の炎は卒業の樹[熱帯樹]
 マングローブ ◆河口に広がる野鳥の聖域[熱帯樹]
 タイワンヒノキ ◆世界遺産候補の神木林[熱帯樹]
 ヤ シ ◆熱帯樹の木陰でまどろむ午後[熱帯樹]
 檳 榔 ◆ソフトドラッグの刺激[熱帯樹]
 公 園 ◆一時停止のひととき[庭 園]
 スイレン ◆吉祥花をひとくち[庭 園]
 梅 ◆風雪に耐える姿はまるで……[庭 園]
 ラ ン ◆花の王、胡蝶ランは蝶の舞[庭 園]
 ミリオンバンブー ◆富貴竹から熱帯花まで[庭 園]
 陽明山 ◆台北郊外の桃源郷[庭 園]
 林家花園 ◆伝統式庭園はお茶の一服のように[庭 園]

●「美のくに」を鑑賞する
 龍山寺 ◆一〇〇年前の街なみに台北一の古刹[伝統工芸]
 交趾焼き ◆寺廟の屋根に舞いおりた天人[伝統工芸]
 人形劇 ◆巡回公演からテレビ、CGまで進化した「布袋戯」[伝統工芸]
 民間オペラ ◆台湾の新派「歌仔戯」は泣かせ節[伝統工芸]
 影絵 ◆ほろびゆく七色のシルエット世界「皮偶戯」[伝統工芸]
 紅 ◆漢民族の赤好きは下着にいたるまで[伝統工芸]
 圓山大飯店 ◆「中華絢爛」五つ梅ホテル[伝統工芸]
 故宮博物院 ◆破壊を免れた至宝の数々[伝統工芸]
 鶯 歌 ◆陶磁器の郷から[伝統工芸]
 彫 刻  ◆木彫の街から現代彫刻まで[伝統工芸]
 ガラス ◆摂氏一四五〇度の夢幻[現代アート]
 先住民音楽 ◆民俗音楽がワールド・ミュージックに進化すれば[現代アート]
 台北市立美術館 ◆現代美術の白い殿堂[現代アート]
 公共芸術 ◆街かどのかしこにやどる美の精霊[現代アート]
 ギャラリー ◆地下街も駅も小学校までも[現代アート]
 アートカフェ ◆美術とカフェの相性[現代アート]
 デザイナーズブランド ◆タイペイ・コレクション[現代アート]
 美 容 ◆漢方からツボから熱帯果実まで[現代アート]
 リミックス ◆現代と伝統、欧米と東洋[現代アート]

●「このくにのひと」に出会う
 日本懐古 ◆日本統治時代ノスタルジー[ノスタルジー]
 日本統治時代 ◆こんなところで日本に再会[ノスタルジー]
 日本好き族 ◆日本製カワイイー[ノスタルジー]
 先住民族 ◆エスニックの再発見[ノスタルジー]
 阿 妹 ◆先住民出身の国民的スーパースター[新世代]
 新台湾人 ◆福建の男と台湾の女が交わったすえ[新世代]
 国 語 ◆内からと外からの、〈らしさ〉というもの[新世代]
 ア ◆語尾はそっとあいまいに[気 質]
 バイバイ ◆あいさつを忘れないひとびと[気 質]
 〜さん(先生・小姐) ◆はにかみがちな恋人たち[気 質]
 やさしさ・おだやかさ ◆おとことおんな[気 質]
 台湾娘 ◆台湾美人は梅の花[気 質]

●「このくにの街」を闊歩する
 台北市 ◆カジュアル、ナチュラル、リラックス[隣り町へ]
 中山北路 ◆木もれ日の「青山通り」のように[隣り町へ]
 西門町 ◆ティーンの町は「原宿」系カジュアル[隣り町へ]
 忠孝敦化 ◆最高の街は休日の「新宿」のように[隣り町へ]
 信 義 ◆副都心に世界一の高層ビル[隣り町へ]
 新交通システム ◆経済成長の果実「捷運」[交 通]
 信号灯 ◆スクーターとカウントダウン信号[交 通]
 中央分離帯 ◆10車線の間にヤシのさざめく余裕[交 通]
 自強号 ◆それぞれの思いを乗せて[交 通]
 新幹線 ◆空間革命、経済ベルト地帯の登場[交 通]
 高 雄 ◆南部の工業都市、国際貿易港[全国へ]
 台 南 ◆前近代史の縮図[全国へ]
 花 蓮 ◆地中に息づく原石の色[全国へ]
 九ふん ◆良質レトロの街なみ[全国へ]
 烏 来 ◆先住民の村は温泉郷[日帰りの旅]
 淡 水 ◆台湾の「ヴェニス」——河ぞいの楽園[日帰りの旅]
 桃 園 ◆山ほどの手荷物を抱えて[日帰りの旅]

●付 録 地図&体験スポットデータ

●エピローグ 台湾の余裕

前書きなど

プロローグ 台湾のふところ

●渡った先で育まれるもの

 ——今夜はどこに行こう。夜市? クアハウス? それとも茶芸館に?

 この三つが夜遊びの選択肢として並列されてしまうのだ。伝統から現代まで、欧米から東洋まで。その両極を包容してしまう。これこそが台湾のふところではないかと思うことがある。

 ところでこの地の屋台や大衆食堂は、別買いの〈店内持ちこみ〉をゆるしてくれるのだが、じつは台湾全体を見まわしてみると、〈島内持ちこみ〉なるものが多いことに気づく。そもそもの先住民族に加え、福建のものも客家も日本も、中国大陸全土、さらに欧米に至るまで——。

 ただし台湾は決して亜流ではない。仮の住みかでもない。よく日本の台湾関連書籍で、「本場は中国大陸で……」という前置きを見かけることがある。当の台湾人も、一種の後ろ楯として漢民族の文明を引き合いに出すことがある。それを否定する気はないけれど、ならば日本文化はどう? ひらがなは——漢人の文字を借用・変形したもの、豆腐は——中国大陸から、お米は——朝鮮半島の渡来人によって、と答えるはめになるだろう。そのすえに東アジアの人類は、すべてどこかの〈原人〉に帰してしまうのかというと、そういうわけでもない。

 渡った先でたしかに育まれ、源から一段、進化したものがある。そのプラスアルファにこそ〈味わい〉が、〈らしさ〉があるのではないだろうか。黒か白かでわりきれるものでない。ダブル、いやトリプル、そうして数かぎりなく積み重ねられたものが、たしかに存在するのだ。

 外来要素の導入→消化→吸収→進化。歴史的に台湾はこのプロセスを運命づけられてきた。そしてまた程度の差こそあれ、日本も韓国もベトナムも、多くのアジア諸国が、こうした葛藤を共有してきたのではないだろうか。前近代には中華に、近代以降は欧米に対して——。そんな象徴としても、台湾は貴重なケースではないかと思う。

●のびやかな台湾文化

 あるときCDショップにて、思わず購入したのは、茶芸ヒーリング音楽なるものだった。烏龍茶のかぐわしさ、あの形なきものが、姿を変えて旋律に。そんな音色に耳を傾けるうちに、けばだちがちな心が、まるで茶の精が舞い降りるように、いつのまにかしっとりとおさまってゆく。点茶らしき水音の背景には、伝統楽器とシンセサイザーのコラボレーションが、神秘的な雰囲気をかもしだしていた。

 いったい伝統文化というものは、都市生活のなかで、どのような進化をとげてゆくのだろう。さらには、様々な文化をバックに、どこがどのように台湾的なのか。本書の前身(完売御礼となった『新しい台湾いろいろ事始め』)を編みはじめたころから、捜しもとめてきた。現代的なライフスタイルを枠組みに、いくらでも民俗風のアレンジが秘められているはずだ。それと気づかれないままに、街なかに埋もれたままでいるのは、もったいない。

 原色が亜熱帯にほどよくとけて、日本人に優しいアジア。品種改良の重ねられた凍頂烏龍茶をカフェで味わうひととき。花茶もこの地ではハイビスカスティー、しかもグラス入りのアイスで。または数千年来の秘伝が蘇る足裏マッサージを清潔なサロンにて。それとも民間信仰の神秘世界を占いストリートで体験してみようか。まるでギャラリーに色とりどりの現代美術があふれるように、街のかしこにのびやかな台湾文化が花開いている。

 漢民族の文化ばかりではない。先住民音楽にかいま見られるようなエスニック、または「日本好き族」や「日本懐古」の人々の胸のなかの日本。——世界各地の要素を吸収してしまう柔軟性は、合弁上手のビジネス術として活かされるばかりでない。文化のリミックス、再創造として、次々とバリエーション豊かな文化を生み出しているようだ。

 そんな悠々たる〈くに〉。公園のような中央分離帯には公共芸術がたたずみ、街にはコンビニが林立する。セルフサービス食堂には各種メニューがあふれる。参拝熱心であるような、心のゆとりも忘れない。その生活水準にしろ外貨保有高にしろ、アジアNIESの優等生として、ゆとりをたたえている。経済力を背景にするばかりでない、亜熱帯特有のやさしさ、おだやかさ。まるでぬるめのクアハウス、あるいは黒タピオカ・ミルクティーのように、なごみの丸みを帯びた人びと。マイペースの和気あいあい。何よりも世界一、親日というだけあり、年間、一〇〇万人以上の台湾人が、日本を訪れてくれているという。

●言葉を越えた近しさ、親しみ

 台湾を旅行する日本人もまた、その数一〇〇万人を超えた。この地のあたたかさを、どこかで覚えているかたは歴代、非常な数にのぼるのではないだろうか。旅先から持ちかえる、いい想い出はひとつのパワーですらあると、私は信じている。

 さらに緊密な経済関係も見逃せない。OEM(相手方ブランド)生産により実質は台湾製という日本製品も少なくない。万が一台湾海峡にことあれば、日本も無関係ではいられない。台湾と日本はもはや、相互補完の関係にあるといっても言いすぎではないだろう。いや、解説よりも何よりも、台湾の地を訪れてみれば、実感することだろう。言葉を超えた近しさを、親しみを——。

 本書に集めたキーワード一一九は、台湾という文化多面体の一面だ。数々の視点のなかで、あなたのアンテナに響くものは? まずは一二ページの目次から開いていただければ、と思う。気になる項目をチェック、好きなキーワードからご覧いただくにつれ、関連する様々なキーワードにも出会うはずだ。必要に応じてのあとに続くページを参照するもよし、後から間のキーワードを埋めるもよし。やがてはパッチワークのように、台湾像が編みだされゆくはずだ。さらにもしも渡航をひかえているのであれば、各項目末にあるの体験場所から、そのつど巻末(P301〜P312)のアクセス一覧へと飛び、欄にチェック印を入れておけば、読み終わるころには、あなただけのガイドブック、携行型の「旅の事典」が完成していることだろう。

 こころはひとあし早く、亜熱帯のなごみの島、台湾へ。ゆとりとみどり、美と味わいの〈くに〉へ。 あなたならではの台湾体験ができますように。

 「一路順風!」(行ってらっしゃい)

版元から一言

どこからでも読める旅行携行型事典。やさしくマイルドなアジア「台湾」の魅力と底力を、女性の感性で120項目6テーマに分けて紹介。

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月刊モダネシア

著者プロフィール

亜洲奈 みづほ(アスナ・ミヅホ)

 東京大学経済学部経済学科卒。東京大学社会情報研究所に学ぶ。朝日新聞・東亜日報共催戦後50周年記念懸賞論文「日韓交流・未来への提言」で最優秀賞を受賞(1995年)。総務庁主催「第21回東南アジア青年の船」日本代表青年。『新しい台湾 いろいろ事始め』(凱風社)などの作家活動のほかテレビ・ラジオ等に出演。
 「月刊モダネシア」(http://page.freett.com/asna/index.html)編集長。

●主な著書
『「アジアン」の世紀——新世代の創る越境文化』(中公新書ラクレ、2004年)、『現代台湾を知るための60章』(明石書店、2003年)、『台湾に行こう!元気になろう!』(PHPエル新書、2003年)、『アジアのツボ中国・香港・台湾・韓国』(共著、スリーエーネットワーク、2002年)、『熱・情・ソウルのキーワード』(凱風社、2002年)、『新しい台湾 いろいろ事始め』(凱風社、2001年)、『ソウルはもう、お隣り気分』(大和出版、1999年)、『銀粧刀(ウンジャンド)』(JNPC、1998年)、『10(テン)ミニッツ・トリップ』(JNPC、1998年)、『ダブル』(ベネッセコーポレーション、1997年)、『大人へのメッセージ』(共著、高麗書林、1995年)ほか、韓国でも著書多数。

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