熱・情・ソウルのキーワード
亜洲奈 みづほ
発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判 216ページ 並製
定価:1,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-2607-0(4-7736-2607-0) C0026
在庫あり
奥付の初版発行年月:2002年06月
書店発売日:2002年06月05日
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紹介

ゴージャスとも言える豊かさを手に入れた21世紀の韓国。ソウルの街角や路地を取材に恋にと、めぐり歩いてきた著者が見つけた「とっておき」の魅力。韓国人が大好きなソウルはカラフルで、オーガニックで、少しだけトラディショナル。ソウルっ子が見てほしいと願う風景を大切にしつつ、「情熱」と「エネルギー」にあふれる現在進行形のソウルを99のキーワードで紹介する。とくに若い女性旅行者に贈る「私」のソウル案内。

目次

▼アンニョンハセヨ! ソウル
首都ソウル(カラフル&トラディショナル!)/仁川新空港(最新鋭の設備の内は)/ソウル地下鉄(地下から眺めてみる世相)/自動改札機(ソウル地下鉄に乗る)/模範タクシー(わが道をゆく)/63ビルの大パノラマ(鳥の位置からソウルを見れば)/警察官(〝警察ざた〟の旅)/超特急セマウル号(〝新しい村〟号のひそかなデジャ・ビュ)/高速バス(みっしりバス路線網)/ハングル・ネオン(ネオンサインはハングル模様)/国花むくげ(カラフル・コリアを花のかたちに)

▼ぐるりソウル
ストリートエナジー弘大前(チープ&ポップなメイド・イン・コリア)/ファッション東大門(ショッピングセンターの購買力)/ブランド狎鴎亭(物質的繁栄ののちに)/アンティーク仁寺洞(純粋アートの力)/コスメ梨花大(オーガニックなセルフ・エステ)/日本化タウン明洞(コンパクトにサンプル化)/サイバーコリア江南(ネット化によるボーダーレス)/地下都市コエックス(伝統地下街×雑居市場ビル=?)

▼味わいソウル
チェリー・フレーバー(気ままで、熱しやすくて)/部隊チゲ(いわくつきの韓国風ちゃんこ鍋)/チジミ(韓国風お好み焼きバリエーション)/巨大コーヒーショップ(リラクゼーションかアミューズメントか)/フュージョン料理(愛国の人々の食の世界化トライ)/韓(菓(伝統茶受け、ものづくし)/水正果(コールド・デザートの誘惑)/宮廷料理(食べるアートの韓定食、陰陽五行五色の彩り)/日式料理(こんなに流行っていいの?)/キムチ壺(土に最も近い甕器)/キムチ味(これがあると、安心するのね?)/水キムチ(カラフル・コリア、出会いの瞬間)/コチュジャン(いつもどこかに唐辛子みそが)/高麗人参フレーバー(チョコにガムにボディ・ケア製品)/ロッテリア(いたずらに浸食されない底力)/冷麺と冷スープ(コールド・メニューという感覚)/全州ビビンバ(トッピングの秘密)/すいとんと水餃子(日本人の舌にもやさしい粉食)/参鶏湯(サムゲタン)(詰め物をざくざく掘りだせ)/鶏一羽鍋(飯、食ったか?(昼間から鍋たっぷり)/豚の焼肉(カジュアル、サムギョプサル!)/薬念カルビ(じっくりしっとり隠し味)/辛ラーメン(包丁麺vsインスタント)/腸づめビル(新林洞の腸づめスンデ路地)/牛ダシスープ(あのダシさえあれば)/果実茶・韓方茶(仁寺洞の茶房の奥から)/銀の器(毒感知システムがわり!?)/合格飴(その粘りは縁起かつぎ)/便利店(コンビニLG25はファストフード)/爆弾酒(真露焼酎チャムイスル)

▼お楽しみソウル
アクション映画(JSA——共同警備区域)/板門店バスツアー(東アジア一危険な見張り台)/W杯公式ショップ(いいからいっしょに踊ってみなよ)/W杯競技場(いつのまにか日韓ひとむすび)/恋愛映画(プラトニックなひとびと)/日本映画(日本大衆文化開放・後日談)/漢江リバーサイドレストラン(ソウルの命の水)/コリアン・ヒップホップ(飽食の時代の反抗は〝そこそこ〟)/マシュマロ猟奇兎(韓国全土を席捲中)/Kポップ(バラードは雨のなかで)/ワンポイント・カジュアル(ハートフルな人びと)/カフェバーの恋人たち(大学路の休日)/情熱空間ラッカペ(パッション!(情熱の人びと)/ワンス・イン・ア・ブルームーン(無国籍でメロウなジャズの夜)/パーカッション「乱打」(韓国サムルノリのトランス)/PC房(一足飛びの高速ネット普及)/疾走IT(人口の半分がADSL利用!)/大型書店(理性先行から感性重視へ)

▼ディープにソウル
「気」あふれる岩山(ヒーリング・スポット)/王宮かいわいそぞろ歩き(離宮は恋人たちの憩いの宮)/ブライダル・ストリート(ゴージャスなコリア)/世界遺産で伝統音楽(だけど遺跡にとどまらない王の廟)/宮廷舞踊(筋金入りのハイパー・トランス)/パンソリ—春香伝(唱劇のロングセラーは純潔の鑑)/伝統家屋—韓屋(コリアの風雅、質素淡白)/オンドル(油紙敷きのすべりとぬくもり)/現代陶磁器もアートの香り(焼きしめのぬくもり)/カヤ琴アンサンブル(哀にして悲しからずや)/ギャラリー通り(景福宮通り美術館街という聖域)/松のトーテムポール チャンスン(あら削りの手ざわり)/螺鈿タンス(超豪華タンスは花嫁道具)/極彩コリア(カラフル・コリア、出会いの瞬間)/五原色の世界(五官で味わう鮮やかな都市)/工芸アートショップ(手に届くオリジナル作品)/パッチワーク「チョガッポ」(極彩色のコントラスト)/韓紙ランプ(あんどんのメロウな明かり)/太極うちわ(三色扇から万能の八徳扇まで)/汗蒸幕サウナ(チムジル房、コリアの触覚)/生活韓服(チマチョゴリのワンピース?(ツーピース?)/茶道(瞑想の別世界)

▼ソウル人間ウオッチ
天気雪(冬の風景)/少(年(とんがった一面)/新世代(それでもやはり儒教の国)/ゲイ(新しい愛の形『バンジージャンプ』)/ママボーイ(少年たちへの強迫観念)/タフガイ(そんなに角張らなくても)/少女(純情と純潔——貞操観念すれちがい)/女子大生(大学前から生まれる街なみ)/淑女(抑圧された艶)

あとがき

前書きなど

首都ソウル/Sudo Seoul/カラフル&トラディショナル!

 ソウルという都市は、刻一刻とたえまなく生成を続けている。つねに新たな街が登場するので、取材に忙しい。というのも、東京ではもはや、小売商店が成りたたないほど流通が整理された感があるが、この国ではまだ、こまごまとした食堂や雑貨店が健在。よくもまあ成りたつなと驚くほどだ。近代化するにしても、百貨店に淘汰されるのではなく、小売状態のまま、市場ビルに詰めこまれる。そんな彼らがはばをきかせるからこそ、街も都市もまた、ビル状縦積みだけでなく、メンタリティとしてはまず、横へ横へと拡大を続けるのかもしれない。
 その魅力は、やはり「雑多なエネルギー」だろうか?? 韓国と言えば必ず出てくる南大門市場(ナンデムンシジャン)だが、もはや中心のエネルギーはこの地を去り、むしろ消費文化の象徴は東大門(トンデムン)。さらに飲食街の新村(シンチョン)ばかりでなく、最近では誠信女大前(ソンシンヨデアプ)など。ソウル・オリンピックで、インフラを完成させたこの都市、あとはその枠組みに何を盛るかの段階なのだろう。「カジュアルながら現代センスの光る」弘大前(ホンデアプ)や大学路(テハンノ)。対照的に「静謐たる韓の美を保つ」仁寺洞(インサドン)やその北の三清洞(サムチョンドン)。
 今ではソウルと言われて思いうかぶ範囲も圧倒的に拡大したのではないだろうか。八八年のオリンピックで、旧市街地からスタジアムの蚕室(チャムシル)まで膨脹し、さらに九○年代のバブル景気をへて、南は狎鴎亭(アプクジョン)や江南(カンナム)まで総括する巨大都市になっている。
 そんな漠然とした存在を、キーワードを手がかりに、パッチワーク状に描きだしてみた。
 ところで日本から最も近い外国となった韓国だが、「ソウルはもはや隣りの都市」と表現するのは言いすぎだろうか。一世紀前なら、ほんの九州から東京までも泊まりがけで長距離列車を乗りついだところを。当時の九州〜北海道間より、現在のソウル〜東京のほうが感覚的には近いだろう。
 そう感じることができるのも、韓国が「ゴージャス」とすら言える生活水準を手に入れたためかもしれない。
 近未来風のPC房や、巨大コーヒーショップ……。おかげで旅行するほうは、国内感覚・等身大で楽しめる。ただし日本と同じ・かつ安いものを捜そうと思えば、それではコピーの旅にすぎない。せっかく、あの太極うちわや純粋アート作品のように、色鮮やかな風物や、伝統茶や韓方美容など自然派志向の生活があふれているのに!
 カラフルで、オーガニックで、少しだけトラディショナル——それがソウルの魅力。
 とりわけその伝統「悠久の歴史」は、王宮や世界遺産の廟をあげるまでもない。アジア横並びに比較しても、韓国は民族愛が強いだけに、「世界化と愛国のせめぎあい」のなかから、新たな文化を次々と生み出すメード・イン・コリアの魅力。生活韓服や工芸アートショップに映画《春香伝》と、どこか「美しくて小粋」なものにあふれるソウル。いっぽうでは、現代陶磁器や木工インテリアなど、大きくざっくりとした手ざわりもある。それを送り出す「情熱」「勢い」「エネルギー」は、ロックカフェやアクション映画にほとばしり出ている
 こうしてチャンネルをひとつ変えれば、まるで童話『青い鳥』(メーテルリンク)の帽子のダイヤルをまわしたように、目の前のスクリーンには、新しい風景が広がることだろう。

版元から一言

暮らして遊んで恋もした女性の眼と感性で見つけた「とっておき」のソウルの魅力。韓国への旅行者、とくに若い女性旅行者に贈る「私」のソウル案内。

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