発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判 256ページ 並製
定価:1,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-2601-8(4-7736-2601-1) C0026
奥付の初版発行年月:2001年09月
書店発売日:2001年09月30日
紹介
「アジア大好き女性」が「世界でもっとも日本人にやさしい土地」に留学して、暮らして、見て、聞いて、さわって、味わって、恋して、考えた「新しい台湾」。毎年100万人の日本人旅行者を惹きつけ、インターネットの海外地名検索数ランキングでも、常時トップテンの上位を占める台湾。やさしくマイルドな台湾の魅力の数々を127項目に分解し、5つのテーマにまとめて熱く熱く語る「現代台湾風物誌」。写真80点、地図2点。紹介店の電話番号、住所、営業時間も収載。
目次
●プロローグ 台湾のふところ
(1) 味・わ・い・の・く・に
愛玉ゼリー●屋台の灯に透ける金色のきらめき
朝ごはん●豆乳と揚げパンと
アイスクリーム●養生料理アイスクリーム
泡の紅茶●シェーキング紅茶ブーム
かき氷●コールドデザートの充実
カキの卵焼き●卵はとろりカキはふわり
九ふん●良質レトロの街なみ
牛肉麺通り●台北のどまんなかに穴場を発見
コンビニ●バス停よりも多いのでは
臭豆腐●これを食えたら台湾通と認めよう
精進料理●脂の中華をくつがえす健康食ブーム
セルフサービス食堂●「自助餐」お手軽ビュフェと都会の孤独
台湾ビール●台湾人のおだやかさにも似た
たまご●塩味、イオウ味、茶葉の味
担仔麺●台南名物は、てんびん棒にひっさげて
淡水●台湾の「ヴェニス」——河ぞいの楽園
血もの●もの好きのおつまみ
珍珠●キュキュッとアジアをふるわす食感
テイクアウト●夕闇を行きかう紅白ビニール袋
ドリンクスタンド●台湾風アレンジせいぞろい
肉まん●本場の意地とバリエーション
パイナップルケーキ●台湾みやげの代表
腐乳●激臭、青チーズ的豆腐
ミネラルウォーター●炎天下のウワバミ
ミルクティー●なぜ緑茶にもジュースにも牛乳を
夜市●毎晩が夏祭り
(2) ゆ・と・り・の・く・に
あ●語尾はそっとあいまいに
インターネット●思いは広く世界に向けて
エビ釣り●都会の釣り堀、気長な娯楽
圓山大飯店●「中華絢爛」五つ梅ホテル
王爺●厄を引きうけ海へと消えた……
温泉浴●ぬるみのなかにとけてゆく
観光茶園●採れたての茶葉で一杯
漢方●中華五〇〇〇年の威力
気功●心・身・息の三位一体
行天宮●青い衣の癒しの手
合弁●このくにの国際感覚
茶房●リラクゼーションサロンとして
〜さん(先生・小姐)●はにかみがちな恋人たち
参拝●あのルイ・ヴィトンすら客よせに
自強号●それぞれの思いを乗せて
ジャスミンティー●本家本元のフレーバーティー
信仰●自由な神仏のやどりたまう地
新交通システム「捷運」●経済成長の果実
新光摩天楼●台北を鳥の位置から見わたせば
信号灯●いつまで安全なのだろう
新台湾人●中華の男と台湾の女が交わったすえ
スクーター●街かどのいつもどこかに
誠品書店●全土を席捲するサロン風書店
西門町●ティーンの町は「原宿」系カジュアル
占術●神仏さまの答えはいかに
台北市●カジュアル、ナチュラル、リラックス
地下街●冷房の小道をそぞろ歩き
中央分離帯●車線の間に椰子のさざめく余裕
忠孝敦化●休日の「新宿」のように
中山北路●木もれ日の「青山通り」のように
凍頂烏龍茶●台湾茶の代表は孤高の香り
日本懐古●日本統治時代ノスタルジー
日本好き族「ハーリー族」●日本製カワイイー
バイバイ●あいさつを忘れないひとびと
文山包種茶●たいせつに清茶をひとつつみ
マッサージ●全身の調子は足裏一枚から
媽祖●台湾島の守護神は海の女神様
満腹●飽食の一歩手前
やさしさ・おだやかさ●おとことおんな
冷房●まるで空気のようなもの
(3) み・ど・り・の・く・に
生け花●熱帯花からミリオンバンブーまで
梅●風雪に耐える姿はまるで……
雨夜紅●風に吹かれてほろほろ落ちる……
エバーグリーン●みどりの島にはばたく大財閥
玉●地中に息づく原石の色
公園●一時停止のひととき
スイレン●吉祥花をひとくち
仙草●医食同源ハーブゼリー
大河●白い気に満ちた場所
台風●またか、と肩をすくめるばかり
台湾大学●最高学府の自然歩道
バナナ●台湾バナナのその後の姿
檳榔●ソフトドラッグの刺激
ベランダ園芸●自家製オアシスにあふれる緑
鳳凰木●森の炎は卒業の樹
マングローブ●河口に広がる野鳥の聖域
緑色●郵便局・民進党・環境問題
ヤシ●熱帯樹の木陰でまどろむ午後
陽明山●台北郊外の桃源郷
林家花園●中華式庭園はお茶の一服のように
(4) 美・の・く・に
アート・カフェ●美術とカフェの相性
影絵「皮偶戯」●ほろびゆく七色のシルエット世界
ガラス●摂氏一四五〇度の夢幻
ギャラリー●地下街も駅も廃屋までも
紅●中華民族の赤好きは下着にいたるまで
公共芸術●街かどのかしこにやどる美の精霊
故宮博物院●破壊を免れた秘宝の数々
青花●コバルトブルーは西方の空の色
先住民音楽●民俗音楽がポップスに進化すれば
台北市立美術館●現代美術の白い殿堂
台湾娘●台湾美人は梅の花
ターミナル●山ほどの手荷物を抱えて
デザイナーズブランド●タイペイコレクション
張恵妹●先住民出身の国民的スーパースター
軟陶像「交趾陶」●寺廟の屋根に舞いおりた天人
人形劇「布袋戯」●巡回公演からテレビ、CGまで
白磁●古物には霊がやどるという
美容●漢方からツボから熱帯果実まで
宝石釉●ルビー色の宝石観音尊
民間オペラ「歌仔戯」●台湾の新派は泣かせ節
リミックス●現代と伝統、欧米と東洋
(5) こ・の・く・に・の・歩・み
美麗島●なんと美しい島であることよ
アミ族●エスニックの再発見
鄭成功●国姓爺合戦の主人公
台南●前近代史の縮図
龍山寺●一〇〇年前の街なみに台北一の古刹
日本統治時代●こんなところで日本に再会
日本統治時代の遺産 総統府●近代化を見まもる館
《悲情城市》●あおと白のにじむ風景
中正紀念堂●国固めの時代と蒋介石記念の堂
国語●内からと外からの、〈らしさ〉というもの
中小企業●アジアNIESの優等生
李登輝元総統●民主化の父
OEM生産●軒さきにきらめくCD‐ROMの山
グリーン・シリコン・アイランド●コンピューター王国
二〇〇〇年新総統就任●台湾、立ちあがれ
扁さん●総統グッズ、民主化のかたち
現状維持●統一されず独立せず
両岸交流●これからはむしろ送り手として
国および地域●東アジアに消えゆく呼称
国際的位置●名より実を取る台湾外交
【参考文献】
●エピローグ 新台湾の余裕
前書きなど
●プロローグ 台湾のふところ
【持ちこみ可】
像のあふれる廟の軒さきから、または漢字看板のあいまなどに、ふと「新光摩天楼」ビルがかいま見えることがある。時には瓦屋根の平屋のあいだをひとすじのMRT(捷運)モノレールが走りぬけてゆく。この新旧の共存。台北という都市は、いったい……
(今夜はどこに行こう。ディスコ? 夜市? それとも「エビ釣り」に?)
この三つが夜遊びの選択肢として並列されてしまうのだ。伝統から現代まで、欧米から東洋まで。その両極を包容してしまう。これこそが台湾の懐ではないかと思うことがある。
この地の屋台や大衆食堂は、別買いの「店内持ちこみ」をゆるしてくれるのだが、実は台湾全体を見まわしてみると、「島内持ちこみ」なるものが多いことに気づく。福建も客家も日本も、中国大陸全土、アメリカに至るまで。
ただし台湾は決して亜流ではない。仮の住みかでもない。よく台湾関連書籍のなかで、「本場は中国大陸で……」という前おきを見かけることがある。当の台湾人も、国民党が大陸の中華に正統性を求めていたせいか、一種の後ろ楯として中華文明を引きあいにすることがある。それを否定する気はないけれど、ならば日本文化は? お米は——朝鮮半島の渡来人によって。豆腐は——中国大陸から。ひらがなならば——漢人の文字が変形したものであり、と答えるはめになるだろう。そのすえに東アジアの人類は、すべて北京原人に帰してしまうのかというと、そういうわけでもない。
渡ったさきでたしかに育まれ、源から一段、進化したものがある。そのプラスアルファにこそ「味わい」が「らしさ」があるのではないだろうか。
外来要素の導入→消化→吸収→進化。歴史的に台湾はこのプロセスを運命づけられてきた。そしてまた程度の差こそあれ、日本も韓国もベトナムも、多くのアジア諸国がその葛藤を共有してきたのではないだろうか。その象徴的存在としても、台湾は貴重なケースではないかと思う。
【のびやかなチャイニーズ】
あるとき喫茶店で快い音楽を耳にした。ん? 聞き覚えのあるこのメロディは、上海の古い歌謡「夜来香」。それがしゃれたアカペラのコーラスに編曲されているのである。伝統文化は都市生活のなかで、どのような進化をとげるのか。広大な中華文明をバックに、どこがどのように台湾的なのか。私はそれを捜しもとめてみたい。いずれにしてもあれだけ豊富な素材があるのだから、現代的なライフスタイルを枠ぐみに、いくらでもアレンジは可能なはずだ。眠らせておくのはもったいない。
〈中華絢爛〉が亜熱帯にほどよくとけて、日本人にもやさしいチャイナ。花茶もここでは「ハイビスカスティー」に。霊能少女「媽祖」も、天上聖母にパワーアップ。もちろん自分達こそが正統中華なのだという主張は「中正紀念堂」にも象徴されており、微妙な「国際的地位」のなかで、いまだ雪中の「梅」の花のように耐えしのぶ日々が続いている。けれどやがては自由主義のもと、「中小企業」を中心に「グリーン・シリコン・アイランド」として経済成長が達成されれば、イデオロギーの抑圧もとけてゆく。のびやかなチャイニーズが開放される。ちょうど「市立美術館」の現代美術が一斉に花開くように。
いや、中華ばかりではない。「先住民音楽」や「アミ族」にかいま見られるようなエスニシティ。「台南」の街に刻みこまれたオランダの落としもの。「総統府」や「日本懐古」の人々の内に残る日本。それらを含めた柔軟性は、「合弁上手」を武器に、もはや「リミックス」の域すら越えて、次々とバリエーション豊かな文化を生みだしているのではないだろうか。
悠々たる「くに」。なかば公園と化した「中央分離帯」には「公共芸術」がたたずみ、街には「コンビニ」が林立する。「セルフサービス食堂」には各種メニューがあふれる。「参拝」熱心であるような、心のゆとりも忘れない。その生活水準にしろ、外貨保有高にしろ、アジアNIESの優等生として、今や〈対等の余裕〉にあふれていた。
【想い出パワー】
二〇〇〇年の台湾に留学中、滞在したのがバックパッカー宿であったのをいいことに、次々に訪れる長期滞在者に尋ねてみたことがある。
「どうしてまた、台湾に」
日本人の場合、語学留学、交換留学、なかには先住民の調査といった学習型が多かったのだが、欧米人はタイやインドに行くための前段階として、または英語教師の口が多いから、中には離婚から出なおしに、など、実にさまざまだった。
一般の日本人旅行者はどうだろう。「故宮博物院」の秘宝を見に——。「夜市」の屋台料理に魅かれて——。足裏「マッサージ」エステを一度試してみようと——。観光客の年齢・性別・目的とも拡散しているために、なかなか大きなブームにまでは結集しにくいのだが、ひそかに短期のツアーで訪れた〈潜在的台湾ファン〉、この地のあたたかさをどこかで覚えているかたは、非常な数にのぼると思う。
「やさしさ、おだやかさ」、まるでぬるめの「温泉浴」やなめらかなタピオカ「珍珠」のように、なごみのまるみを帯びたひとびと。たとえ「国および『地域』」とくくられようと、名より実を取る「OEM生産」さながらに、「国交問題」にもかかわらず、マイペースの和気あいあい。
けれど台湾の人たちは本当は、日本人にこう言いたいのではないだろうか。
「世界一親日の私たちに、もっと目を向けてみてよ」
そしてまた自らも思い知る。どれだけ補いあっていることか。台湾大地震によって、コンピューター部品の供給が停止され、日本企業が慌てふためいた——そんなレベルにとどまらず、世界各地の中華街を訪れれば、きっと実感するだろう。言葉を越えた親しみを、なつかしさを。
ゆとりとみどり、美と味わい。白日の太陽の島、台湾。それぞれが旅さきから持ちかえる「いい想い出」パワーを原動力に、台湾の存在を見つめていきたいな、と思う。
●エピローグ 新台湾の余裕
台湾——世界で最も日本人に優しい土地。夜市には屋台料理の味があふれ、都市には熱帯樹の花や緑が絶えることがない、中華の美を守った故宮博物院など、精神的にも、また経済的にも、余裕にあふれた国。
これまでは台湾と言えば、なんでもありの庶民的な旅先といった印象がありました。しみじみと心にしみる〈台湾風情〉。それらを残しながらも、現在は新交通システム「捷運」の開通に象徴されるように、台湾は今、新たな表情を示しつつあります。
「こんな台湾も、あったのか」
とりわけ近年は台湾本土化の波がもりあがっています。台湾理解のキーワードとも言うべき、ものもの・ことごとを、まるで宝の島から珠玉を掘り出すように集めてみました。言うなれば〈風物誌〉——と意気ごんでいたところ、実は一〇〇年近くも前に『台湾風物誌』(片岡巌著・台湾日々新報社刊)なる書物が出版されていたことを発見。先人が優れたアジア研究を残していたことに、感謝の念を抱かずにはいられません。
ところで裏話を明かせば、書き始めの予定では、キーワードはこの一・五倍も用意されていましたが、紙面の都合上、それを割愛せざるをえませんでした。やはりツアー・コースがすべてではない、いくらでもリピーターの訪問に耐えうるとでも言いましょうか。まだある、まだある、ざくざくと魅力が秘められているようです、このゆとりのしま、台湾には。それを掘りだすのは「あなた」でもあるのです。「見つけたよ、行ってみたよ」——そんな旅の収穫をメールでお知らせくだされば、これほどうれしいことはありません(詳しくはホームページご覧ください。→http://www.top.or.jp/~asna/)。
ところで私自身は、中国語でアジアを意味する亜洲を筆名にこめつつ、アジアをテーマに台湾への語学留学のほか、卒論としての中華圏研究や、中華圏各都市への取材撮影旅行をおこなってまいりました。しかしさかのぼればその源は、おそらく一五年ほど前、台湾出身の郭泰源投手に熱をあげ、「ウォーアイーニ〜!」と叫んでいた想い出にたどり着くかもしれません(じつはほとんど初恋でした……)。
〜後略〜
版元から一言
どこから読んでもOK。どこでやめてもOK。やさしくなごむ南国の「ゆとり」と「みどり」と「美」と「味」の数々。「歴史」も加えて「新しい台湾」を紹介。
関連リンク
著者プロフィール
亜洲奈 みづほ(アスナミヅホ)
1973年、東京生まれ。東京大学経済学部卒、在学中は華僑華人経済を研究。
1995年、『朝日新聞』『東亜日報』共催戦後50周年記念日韓交流懸賞論文で最優秀賞を受賞。
以後「アジア系」作家として日韓両国で作家活動を展開するかたわら、アジア各地への取材・撮影旅行を重ねる。2000年、台北に留学。著書に『ソウルはもう、お隣り気分』(1999年、大和出版)、『ダブル』(1997年、ベネッセ)、『大人へのメッセージ』(1995年、高麗書林、共著)など。
ホームページ http://www.top.or.jp/~asna/
()
タグで関連している本:
- まだ見つかりません
コメントとトラックバック »
まだコメントとトラックバックはありません
TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7736-2601-8.html/trackback/
