植民地時代をたどる〈増補版〉韓国 近い昔の旅
神谷 丹路
発行:凱風社
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A5判 272ページ 並製
定価:1,900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-2512-7(4-7736-2512-0) C0022

奥付の初版発行年月:2001年06月
書店発売日:2001年06月15日
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紹介

2001年の春、日本の侵略・植民地支配を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書が検定に合格した。今日に至るまで、事実を歪曲したそうした〈歴史物語〉が隣国との間に横たわる深い溝の〈創出〉を〈演出〉してきたわけだが、著者は本書で、「日帝時代=植民地時代」の痕跡を訪ね歩き、日本人のひとりとして、自分たちの歴史認識のあり方を検証していく。歴史22編の本文、20編のコラム、百数十にわたる写真で構成した「日韓近代史」入門書でもある。

目次

取り出せなかった千円札 1981〜82年●ソウル
百済びとの怨念こもる地 1982年●忠清南道扶余
寮祭の夜の出来事 1982年●ソウル
牛見ハラボジの架け橋 1982年●京畿道水原
「教科書問題」の夏 1982年●ソウル
独立記念館を歩く 1989年●忠清南道天安
少年の日の記憶 1989年●京畿道水原地方
玄海灘を越えて 1989年●釜山
鉄砲と神社 1989年●慶尚南道巨済島
離島に刻まれた「大正」と「昭和」 1989年●全羅南道荷衣島・玉島
あるハラボジと飛行場跡 1989年●全羅南道望雲
忠魂碑を守る 1989年●全羅南道望雲
東学農民戦争の大地 1990年●全羅北道井州
忘憂里の丘 1990年●ソウル
ヘンジュ・チマとベソをかく兵 1990年●京畿道幸州山城
神様の饗宴とムーダン 1990年●慶尚北道シノリ
水中の孤魂 1990年●慶尚南道固城
最期の遺墨 1991年●ソウル
釜山の日本人街 1991年●釜山
日本軍の足跡 1991年●済州道済州島
海蘭江にいざなわれて 2000年●中国吉林省延辺朝鮮族自治州
歴史を取り戻すソウル 2000年●ソウル

【コラム】
◆韓国か朝鮮か
◆金煥珍と渡嘉敷のボクシング試合
◆韓民族の伝統 その1 ——肉料理の話
◆韓民族の伝統 その2 ——韓国料理アラカルト
◆韓民族の伝統 その3 ——スジョの話
◆日帝時代
◆関釜連絡船
◆東郷平八郎の「碑」
◆陽気なタクシー運転手
◆韓国統監・朝鮮総督に見る朝鮮支配の40年
◆鉄道と道路
◆正月と秋夕
◆花札とユンノリ
◆銭 湯
◆寺院と秀吉
◆族 譜
◆朝鮮神宮
◆チェサ(祭祀)
◆ソウルの王宮めぐり
◆朝鮮通信使
 その他、キーワード(注釈)が230 余。

前書きなど

 薄靄にけぶるポプラの並木のあいだに、溶けるように消えていく一本の道。その靄の向こうからハラボジがひとり、静かにこちらへ歩いてくる。低い山々が村にせまり、道のわきには小川のせせらぎが流れている。空気はりんとはりつめて冷たく頬をさすのに、私の背筋をぴんとさせてくれるすがすがしさがある。靄の中に、陽光の粒がまぎれこんでいるのだろうか。それとも、もうじき靄が晴れる兆しなのだろうか。もやっているのに、あたりは不思議に明るい。
 私が韓国と出会ってから、一〇年以上が過ぎた。都会はこの一〇年のあいだに、急激な変貌をとげた。けれども私の愛する田舎のこの風景は、少なくなったとはいえ、今なお変わらず残っている。この風景は、私が韓国を想うとき、きまってイメージする心の原風景ともなっている。
 私は二三歳のとき初めて韓国に行った。そこは私にとって、日本とあまりにも「似て非なる異国」であった。二〇代の前半という、多感な頃に、一年を韓国で過ごした。たった一年の留学だったから、四季の草花や野山の彩りの移ろいが、もう二度と目にはできない景色として、一日一日が惜しまれた。同時に、日本について実に興味が旺盛なのに、しかも日本はあまり好きではないという、熱っぽくてやさしい心を持った韓国の友人たちとの出会いが、日々、貴重だった。
 しかし、こんなに「似ているのに異なる」彼らとの出会いは、しだいに私の平衡感覚を失わせていった。留学中、シャーマニズムに関心を持って、あちこちの村祭りを見て歩いたが、それは彼らとの平衡感覚をどこかで保ちたいといった、無意識の意識が働いていたのかもしれない。私と彼らとの、どうにも交わらない感情の糸をたどっていったら、ついに歴史をはるかにさかのぼって、原始の、神を中心にすえたシャーマニズムの世界にまでさまよいこんでしまったような気もする。
(後略)→凱風社ホームページに全文があります。

版元から一言

誕生から7 年のロングセラー。内容はいまだ新鮮。韓国への旅行者が増大したが、果たして〈溝〉は埋まっただろうか。それを本書は真摯に問いかける。

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