発行:凱風社
この版元の本一覧
四六判 352ページ 並製
定価:2,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7736-2505-9(4-7736-2505-8) C0074
奥付の初版発行年月:2001年01月
書店発売日:2001年01月31日
紹介
記録映画はとかく「地味だ、つまらない」というイメージがつきまとうが、著者(『阿賀で生きる』という作品で数々の賞を受賞した映画監督)は、いわゆる記録映画(文化映画・教育映画)が現実をリアルに描いてないとして批判し、ドキュメンタリーという呼称と8つの方法論をもって、映像が目指すものを追究する。さらに優れたドキュメンタリー作家を取り上げ、彼ら先達たちの作品に潜むリアルの在り所を浮き彫りにしようとした。上巻は4章まで記述。
目次
【序 章】ドキュメンタリーは映像表現による現実批判である
【第1章】暮らしながら撮る
1、暮らすことで関係が変わる 撮る側・撮られる側のダイナミズム
2、ドキュメンタリーの始祖 ロバート・フラハティ
◆作品論=〈暮らしながら撮る〉映画の誕生……『極北のナヌーク』
◆作家論=共に暮らすことで生まれる人間の輝き
3、スタッフと共同生活を続けながら撮る 小川紳介
◆作品論=移り住むことではじめて見える〈村の時間〉……『三里塚・辺田部落』
◆作家論=「まれびと」として虚実の皮膜を剥ぐ——小川プロダクション
【第2章】言葉と別の意味を生む映像
1、映像と言葉の対立を利用する 映像の多元性と言葉の一元性
2、ベトナムの諧謔精神 チャン・ヴァン・トゥイ
◆作品論=人倫道徳を説くふりをした辛辣な社会批評……『思いやりの話』
◆作家論=〈虚実の境目〉を曖昧にするナレーションの妙味
3、国策を逆手にとる編集の妙手 亀井文夫
◆作品論=戦意高揚映画を反戦映画にする……『戦ふ兵隊』
◆作品論=漂白の俳人を農民詩人に仕立てる……『小林一茶』
◆作家論=屈折した粘着性のモンタージュ
【第3章】他者の眼差しと撮られる側の戸惑い
1、他者の眼差しで異文化を見つめる 異邦人によって浮き彫りにされる「私の東京」
2、七つの顔をもつ男 クリス・マルケル
◆作品論=七つの眼差しが映し出す多面体、トーキョー……『サン・ソレイユ』
◆作家論=見慣れた街が見知らぬ都市に映る
3、国籍不明の映画監督 ヴィム・ヴェンダース
◆作品論=映画の中のトーキョーと現実の東京との落差……『東京画』
◆作家論=国籍離脱者の虚ろな眼差し
【第4章】私的小宇宙の広がり
1、「私」を凝視することで世界に通じる 時間の熟成作用と映画言語の発見
2、「私」を見つめる抒情詩人 ジョナス・メカス
◆作品論=二七年ぶりの帰郷を撮った日記映画……『リトアニアへの旅の追憶』
◆作家論=〈映像〉の距離感、〈声〉の密着度
3、小川プロを離れた個人映画作家 福田克彦
◆作品論=老女の一人語りを独りで撮った自伝映画……『草とり草紙』
◆作家論=集団から個へ 現実と虚構のあわいにゆれる
前書きなど
●まえがき
ドキュメンタリーとは、映像表現による現実批判である。それは、世界のあり方を批判的に受けとめるための映像表現である。そのためには、映像作家の主体性が確立されなければならない。これが、本書で展開しようとするドキュメンタリー論の骨格である。それはまた、私のささやかな映画づくりの規範でもある。
ドキュメンタリーの界隈にまとわりつく政治主義や啓蒙主義から離れて、〈虚実の境目〉に漂う不明晰な世界を、その多面体のままにとらえたいという欲望が私にはある。映像には、言語を超えた何ものかを、カオスのままにとらえる力がある。そうした映像の力を信じ、観客の想像力を信頼して、現実に分け入っていきたい。これが、私の志向するドキュメンタリーの基本的立場である。
したがって、本書は、ドキュメンタリーの包括的な理論書でも、客観的な歴史書でもない。あくまで、私の志向するドキュメンタリーの方法論を検証するため、先達の歩んだ道に学ぼうした作家論である。上・下巻を通して、八つの方法論、一六人の作家とその作品について論じている。第一章「暮らしながら撮る」ではドキュメンタリーの原点について、以下章を追うごとに時代を経ていくような構成を心がけたつもりではあるが、必ずしも歴史的展開と重なる訳ではない。一つの方法論ごとに、日本と海外のドキュメンタリー作家が交互に登場するように心がけたが、設定したテーマによっては必ずしもそう上手くいく訳ではない。したがって、本書で触れた作家とドキュメンタリーの方法論が、ドキュメンタリーのすべてを包括するという考えは毛頭ない。ややもすれば意味や意図に硬化しがちなドキュメンタリーの世界で、〈無意味〉と〈無意識〉を探求する先達の作品の方法論から学ぼうという、私の独断と偏見によって選択されたまでのことだ。
(後略)→凱風社ホームペジに全文があります。
版元から一言
ドキュメンタリーを観た後の感動を一言でいえば、スクリーン上の映像から立ち現れてくる〈無意識〉とも言うべきものに出会えることだと思う。
関連リンク
タグで関連している本:
- まだ見つかりません
コメントとトラックバック »
まだコメントとトラックバックはありません
TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7736-2505-9.html/trackback/
