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知っていますか?視覚障害者とともに一問一答
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2007年11月
- 書店発売日
- 2007年11月12日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
目が見えない・見えにくい人とともに生きるために、健常者一人ひとりや社会に望まれることはなにか。教育、就労、福祉サービス、交通、遊び・スポーツ、IT関連機器、歴史などさまざまな観点から、共生の社会をわかりやすく探る。
目次
問01 目が見えない人って、どれくらいいるのですか?
問02 目が見えない人が利用できる福祉サービスにはどのような制度がありますか?
問03 目が見えない人は、どんなふうに文字を読んだり書いたりするの?
問04 目が見えない子は、地元の学校に通えますか?
問05 目が見えない人は、どんな仕事についているのですか?
問06 目が見えない人は、どんなふうに日常生活をしているのですか?
問07 目が見えない人が外に出るとき困ることってなに?
問08 目が見えない人は、IT機器をどのように使っているのですか?
問09 目が見えない人が本を読むために、どんな施設や制度がありますか?
問10 目が見えない人が利用するライトハウスとは、どんな施設ですか?
問11 目が見えない人は、遊びやスポーツをどのようにしているのですか?
問12 盲導犬について教えてください
問13 「盲ろう者」ってどういう人たちなの?
問14 ところで、目が見えない人は、歴史のなかでどのように扱われてきたのですか?
問15 目が見えない人のために協力できることって、どんなこと?
コラム・「生活視力」って、なに?
コラム・「どうして目が見えなくなったの?」と聞かれる時
コラム・目が不自由な人は夜寝ているときに夢を見るの?
身近な点字を読もう
前書きなど
この本の初版が発行された一九九七年ごろの日本社会はともに生きる社会を求める「ノーマライゼーション」の理念がようやく民間レベルでの広がりを見せてはいたものの、障害者が暮らせる地域づくり、まちづくりは十分に進んではいなかったといえます。
その状況は、私たち視覚障害者においても同様で、たとえば、鉄道駅における点字ブロックの設置率は六割程度にすぎず、一年に十人近い視覚障害者が駅のプラットフォームから転落していのちを奪われていたのが実態です。また、視覚障害者の外出を支援するガイドヘルパー制度も不十分でボランティア活動に頼るか、危険を覚悟して単独行動にチャレンジするか、さもなければ一人での外出はあきらめるかしかありませんでした。さらに郵便物の点字によるあて名書きなど点字の情報保障もある程度進んではいましたが、行政文書の全面的な点字化はきわめて不十分な状況にありました。視覚障害者の雇用についても、とくに中途失明者の解雇や職場復帰をめぐるトラブルも続出していました。
しかし、ここ十年間でこうした視覚障害者をめぐる状況も当事者自身や関係者らのねばり強い取り組みによってかなりの前進が図られてきました。
たとえば点字ブロックの設置率は公的機関においては八割を超える状況にあり、最近では地下街や鉄道駅舎周辺での音声案内の設置も進んできています。また視覚障害者が利用可能なガイドヘルパーも市町村の移動支援事業として制度化が図られ、さらに選挙公報の点字化や行政文書の点訳も飛躍的に増えてきています。
日本政府は一九九四年に、障害者の社会参加を阻む四つのバリアの存在を指摘しました。すなわち、①法制度のバリア、②物理的なバリア、③情報とコミュニケーションのバリア、④こころのバリアです。これらのうち②と③のバリアについては、かなりの改善がなされてきたといってよいでしょう。しかしながら、①と④のバリアについては、いまなお多くの課題が残されているといわざるをえません。
とりわけ法制度の点では、昨年四月に厚労省が強引に施行した「障害者自立支援法」の下で障害者の生活はむしろ、より厳しい状況に追い込まれてきています。二〇〇六年十二月に国連総会で採択された「障害者権利条約」の内容にそった国内法の見直しが急がれるところです。さらに周囲の健常者の、障害者に対する偏見などこころのバリアの課題も残されています。
今回の本書の発行が、そのような周囲の健常者の視覚障害者に対する積極的な関わりに貢献できればと願っています。
十一月一日 点字の日に
版元から一言
ともに生きる思いを行動に!
上記内容は本書刊行時のものです。