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天皇制と部落差別
権力と穢れ
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2008年6月
- 書店発売日
- 2008年6月18日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2019年7月26日
書評掲載情報
2019-06-01 | 信徒の友 2019年6月号 |
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紹介
部落問題は、天皇とのかかわりを抜きに論じることはできない!!
部落を「社会外」として再構成した著者が、新たな構想で「天皇制と部落差別」の歴史を解きあかす!
「差別の歴史をつくるのは誰か?」の難問――「権力」か「民衆」、それとも「ケガレ」か――を解く!
目次
はじめに
第1章 天皇制と部落差別の歴史
必要な枠組みの転換/天皇制的世界観による朝鮮への差別/戸籍制度と古代賤民制/排除のシステムと部落の起源/天皇制動揺のなかで/中世政治起源説として/「排除のシステム」の民衆化/近世における「中華」思想と朝鮮侵略/戸籍の整備による身分の成立/天皇制批判の方法/歪んだ革命と異民族起源説/差別の国家的回路/天皇制の今後
第2章 歴史における身分について――部落史の見方が変わった
「解放令」研究から出発して/賤民制廃止令は、雑賤民を含む広範な賤民全体を対象にした/賤民一般に共通する概念は「社会外」/賤民制廃止令は、差別慣行に手をつけなかった/賤民制廃止令の成立は土地の商品化が直接要因/部落・部落民の定義を拡大する必要/『破戒』のモデル/「社会外」が賤民の本質/「士・農・工・商・穢多・非人」という図式に代わるもの/新しい図式/「社会外」にそびえる弾左衛門の権力/被差別部落の起源論について/陥りやすい職業起源説/身分論とマルクス主義について/イデオロギーと階級を媒介する家族/ネガティブな身分としての賤民/近世的賤民制度の確立/賤民廃止令は「別系統支配」に終止符を打った/近現代の部落差別のとらえ方/内化された排外主義/賤民身分の本質を関係の問題としてとらえる
第3章 部落史における「血縁」「穢れ」と「権力」
一、部落史に固有な「血縁」意識
教科書から消えた「士農工商えた非人」/部落史研究をめぐる進展と混乱/『旧版』以後の研究/歴史を輪切りにしてはならない/「血縁」を論じる危険性?/部落史にとって「血縁」は不可避/「血筋が違う」や「異民族観」がなぜ生まれる?
二、「穢れ」と部落差別はどう関係するか
「穢れ」はなぜ部落差別にまとわりつくのか?/「穢れ」をめぐる研究史/「穢れ」の一般的本質/原始的な世界観の下での秩序と神罰/部落差別に特有の「穢れ」/人それ自身を「穢れ」ていると感じる理由/「穢れ」は「社会秩序」解明の手がかり
三、部落史における「権力」の位置
「権力」を重視するのは間違い?/「穢れ」と「権力」の関係/私の失敗/権力は「身分も差別も作れない」か/「起源」に見る「権力」と「穢れ」/部落差別を近世権力へと手渡したのは誰か?/幕府の差別法令が遅れた理由/民衆に部落を差別するよう命じる/部落解放反対一揆の意味/差別は権力作用である
第4章 中世の差別意識と天皇制――網野善彦をどう超えるか
網野善彦氏逝く/部落の分布/『日本社会と天皇制』がはらむ問題点/平安後期、鎌倉時代の「非人」/聖なるものに直属すれば差別は起こらないか/切り離された差別と「穢れ」/太古から存在した「穢れ」/「穢れ肥大化」の正確な意味/部落の聖性を示す史料の不在/畏敬のまなざしをめぐって/中世前期の差別意識はどうであったか/人自身への差別/「穢れ」の変質/無縁論への視座
第5章 「万世一系」が衰退させる大衆天皇制――皇室典範の改正をめぐって
存続の危険水域に入る天皇制/大衆天皇制/典範改正問題の浮上/「秋篠宮クーデター」/皇室典範有識者会議の逆襲とその論理/右派の分裂と女系反対の論理/男系主義と「神武神話」/今後の典範論議と皇室に生じた亀裂
おわりに
版元から一言
大論争を巻きおこした旧版『天皇制と部落差別』から18年、新たな構想による全面書き下ろし。
上記内容は本書刊行時のものです。