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ローマ百景 I マリオ・プラーツ(著) - ありな書房
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ローマ百景 I (ローマヒャッケイ イチ) 建築と美術と文学と (ケンチクトビジュツトブンガクト)
原書: PANOPTICON ROMANO

芸術
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発行:ありな書房
A5判
488ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-7566-0905-2   COPY
ISBN 13
9784756609052   COPY
ISBN 10h
4-7566-0905-8   COPY
ISBN 10
4756609058   COPY
出版者記号
7566   COPY
Cコード
C0070  
0:一般 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2009年4月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

 原題『パノプティコン・ロマーノ』の「パノプティコン」とは、ギリシア語の「パン」(すべて)と「オプティコン」(視覚的なもの)との合成語であり、英国の法学者・哲学者のジェレミー・ベンサムが考案した、囚人に知られずに周囲の独房を監視できる円形の刑務所とともに、望遠鏡と顕微鏡との両方の機能をもった望遠顕微鏡をも表わす言葉である。すなわち本書は、ローマという都市の「看守」を自認するプラーツが、遠くは望遠鏡を覗き、近くは顕微鏡で観察した報告集とでも評することができるだろう。本書に含まれている全二八編は、書評という形式を借りたローマに関する建築と美術と文学の秀逸なエッセイである。他のプラーツの著作と同様に、ローマをめぐって書かれた滋養に富むが、少しばかり辛口の都市文化論というつもりで、個々の論考――無論、それぞれはそれなりに手強いのであるが――を味わい、楽しむと良い。

目次


ピラネージ
プッサンの谷
英雄的風景
リチャード・ウィルソン
一八世紀ローマに暮らす
消え去りしローマ
ローマの知られざる「驚異」
屋上テラスの愉しみ
写真に見る一九世紀ローマ
ローマの感傷
ローマのオステリア
カプラローラ
ボマルツォの怪物
ミセス・ストロング
趣味人の死
アザレアの園
ローマの噴水
装飾されたファサード
コルソ通り
スペイン広場
ポポロ広場
ナヴォーナ広場
リッチ広場
ヴェネト通り
ネオンに照らされた美術館
現代の遺跡
カルシウムの消化不良
ローマの魅惑――あとがきにかえて 白崎容子
人名/著作名/美術作品名/地名/モニュメント名 索引

前書きなど

……絵画革命が最初の明確な勝利を遂げたのは、一七世紀の中葉にニコラ・プッサンが描いた《聖マタイと天使のいる風景》においてであった。……この風景画は別名《アックア・アチェトーザ》とも呼ばれているが、プッサン以前には誰もその場所を描いたことなどなく、プッサン以降は誰も異なる目でそこを見ることはできなくなった。……見る者に憑い
て離れなくなるのは、幽霊ではなく、土地の霊であり、ある場所をさまよっている亡霊ではなく、その場所が常にぼんやりと反映して
いる理想像なのである。地平線や遠くの丘、森、川の岸辺が織りなす静かな調和は、この絵画の狭い前景において、かすかに波立つ海のリズム(それは川の湾曲部がつくるリズムにほかならない)で途切れている。安定した平行線の間に仕切られた前景の場面には、神殿の残骸が横たわり、その間で白い姿の天使が聖マタイに言葉を書きとらせている。この二人が、風景がもつ宗教的な静穏さを象徴のように集約している。そのような荘厳な落ちつきをプッサンはあの場所に感じとったのであるが、彼は「そこに棲みついているのは、まさに神的存在にほかならない」としか想像できなかった。かくして、永遠の徴を帯びた風景、「英雄的風景」が誕生した。

著者プロフィール

マリオ・プラーツ  (マリオ・プラーツ)  (

イタリアを代表する文学/美術の研究者にして名エッセイスト

白崎容子  (シラサキヨーコ)  (訳者代表

慶應大学教授、イタリア語学の日本の代表I的研究者

上記内容は本書刊行時のものです。