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私自身であろうとする衝動
初版
関東大震災から大戦前夜における芸術運動とコミュニティ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2011年9月
- 書店発売日
- 2011年9月9日
- 登録日
- 2011年8月23日
- 最終更新日
- 2016年3月16日
書評掲載情報
2011-11-27 |
朝日新聞
評者: 中島岳志 (北海道大学准教授・アジア政治) |
2011-10-30 |
東京新聞/中日新聞
評者: 佐々木敦(批評家) |
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紹介
ときは1923年の関東大震災の前後、新しい時代(思潮)のはじまりと暗い時代への予兆のなか、日本の芸術/建築/映画/文学界は、同時期に多種多様な実験が開始され、ジャンルを超えた混淆のなか、それぞれがさまざまな形で華開いた大転換期だった。歴史上はじめて「無名な」個人の「生」があちらこちらに溢れはじめ、それを大きなムーヴメントへと結実させようとする動きが次々に起こる。それらは儚い一時期の夢として「歴史」へと埋没してしまうほかないものだったのか?本書のタイトル「私自身であろうとする衝動」とは小説家であり社会運動家としても活躍した有島武郎の言葉である。その有島をはじめ、宮沢賢治、江戸川乱歩、柳宗悦、大杉栄、今和次郎、保田與重郎、横光利一、萩原恭次郎ら、「生と芸術」そして「生と労働」の「総合」を試みた作家たちはいったい何を目指していたのか?彼らの思考と実践の核心が、いま大転換期を迎えた現代日本に鮮やかに蘇り、われわれの次代の「生」の条件を炙り出す。
目次
プロローグ 美的アナキズムとはなにか
グローバリズムと裸の「生」
アナキズムの時代
美的アナキズムの特徴
生権力とアナキズム
代表性と敵対性
コミュニティ
第一章 ポスト白樺派の世代
自由のアポリア
〈分離〉と〈表現〉
震災と「バラック建築論争」
「考現学」
都市のリズム
「前衛」の時代
犬の言語
「剥き出しの生」
私的言語としての詩
都市暴動
第二章閉ざされた部屋
間取りの改善
農村と都市の結合――田園ユートピア
「個室」の誕生
数えること、蒐集すること
鏡の世界――昭和
「人でなしの恋」
欲望の部屋
第三章テクネーの無限運動
「民衆的工芸」の誕生
「自然」と「芸術作品の根源」
「伝承的価値」
「名」の否定と柳美学の帰結
第四章セルロイドの中の革命
横光の「上海」
スペクタクル都市
映画と鉛筆
群衆、機械、アナーキー
都市の見世物(アトラクション)
映画という身体
第五章意識の形而上学
暴力の予感
メルヒェン、世界が変容するとき
「純粋経験」の詩学
物語と風
〈想起〉の劇場――気圏オペラ
自然、あるいは事物の言語
名前の解体
〈喰うこと〉と〈喰われること〉
光と律動
第六章〈血統〉の生成
改鋳される美的主体
「芸術の限界と限界の芸術」
「追想」と「憧憬」
「血統」の生成
エピローグ 美的アナキズムの行方
「自然」という問題
「芸術」からサブカルチャーへ――「戦後」的諸問題
現代の「不幸」と生の生産
あとがき
版元から一言
小説『黒揚羽の夏』(第1回ピュアフル小説大賞)で鮮烈デビューを果たした俊英による、未来を切り拓くための歴史的パースペクティヴ!
上記内容は本書刊行時のものです。