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最低賃金で1か月暮らしてみました。 最低賃金を引き上げる会(著/文) - 亜紀書房
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最低賃金で1か月暮らしてみました。 (サイテイチンギンデイッカゲツクラシテミマシタ)

社会一般
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発行:亜紀書房
A5判
208ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-7505-0910-5   COPY
ISBN 13
9784750509105   COPY
ISBN 10h
4-7505-0910-8   COPY
ISBN 10
4750509108   COPY
出版者記号
7505   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2009年5月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2024年1月25日
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紹介

時給1000円は世界の常識。あまりにも低すぎる最低賃金が、日本の貧困を生んでいる──それを身をもって証明しようと、全国の組合・ユニオンの青年たちが、「1か月最低賃金で暮らす」という体験に取り組んだ! その体験記を軸に、最賃の問題点、その解決の道筋を明らかにする。
執筆者:伊藤圭一(全労連調査局長)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、橘木俊詔(同志社大学教授)ほか

目次

●「最低賃金」を知っていますか。●
[とりあえずここまでは知っておきたい]最低賃金の基礎知識  伊藤圭一(全労連調査局長)
[最賃で暮らしています]働いても働いても未来が見えない……  赤石景子
最低賃金を時給1,000円以上 全国一律に
[あなたもチャレンジャーに]最賃体験マニュアル

●最低賃金で暮らしてみました。●
[最賃生活体験記①]切り詰めて切り詰めて でも、8,000円オーバー
[最賃生活体験記②]必見! サイチン家計簿──ガマン、ガマンの日々でした
[サイチン生活体験記③]ある観察者の記録
オレたちにパンだけでなく、バラを  永井宏和(京都総評青年部)
[チャレンジャー座談会]「体験」だったから、なんとか乗り切った でも、「体験」じゃなかったら……
  司会:野村昌弘(全労連青年部書記長)
サイチン川柳  京都総評青年部
[全国の最低賃金生活体験]わたしたちはこんなふうに取り組みました。
  北海道・岩手・宮城・千葉・神奈川・愛知・広島・高知・長崎
なぜ最低賃金を引き上げる必要があるのか  橘木俊詔(同志社大学経済学部教授)

●最賃を引き上げ貧困をなくす。●
[生計費=生きていくために必要な額を考える]1か月いくらあれば暮らせるのか?
  伊藤圭一(全労連調査局長)
[最賃だけに終わらない最賃問題]
 ・わずか179円!! コメ農家の時給  赤間守(農民連)
 ・障害者は最低賃金以下で働くしかないのか  岡﨑祐司(佛教大学社会福祉学部教授)
 ・人手不足に悩む介護の現場と賃金  岡﨑祐司(佛教大学社会福祉学部教授)
 ・生活保護より安いタクシー運転手の給料  吉根清三(道労連)
 ・東京で最賃以下で働く  河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)
[理念と実態とのギャップを埋めよう]ブラッシュアップ!! 最賃制度
[よくある疑問を解決]サイチンQ&A
最賃体験お助けレシピ

前書きなど

はじめに●あまりにも低い最低賃金が日本の“貧困”を生んでいる(伊藤圭一)
 不況のただ中にあるいま、私たちは、雇用と賃金・労働条件が、まるで地滑りにでも遭遇したかのように、簡単に崩されていく様子を目の当たりにしています。
 2008年の大晦日から年明け5日まで、私は日比谷公園の“派遣村”にいました。
 年末・年始、行政窓口が閉じられているこの期間に、“非正規切り”された多くの労働者が、路頭をさまよう事態が起きていました。
“派遣村”には500人の人々が、極限の困窮状態をしのぐために身を寄せていました。遠方から、ひたすら歩いてようやくテントにたどり着いた人々と、ストーブを囲み、お茶をすすりながら、話をしました。製造業の派遣労働者、土木建築現場の請負労働者、警備員、大手流通業の正社員マネージャー、板前さんなど業種・職種はさまざまですが、ほんの少し前まで、文字どおり身を粉にして実直に働いていた人が多数でした。「まさか、自分がこんなことになるなんて」とつぶやく声が、いまも耳に残っています。(中略)
 「最賃」、正確には「法定最低賃金」は、賃金の最低t額を法律で規制し、それ以下の金額での雇用を禁止する制度です。貧困と格差をなくすためのさまざまな対策のうち、有力な手法として、ここ数年、注目されてきました。(中略)
 本書は、いままさに実効ある制度に発展させられるかどうか、正念場を迎えている日本の最低賃金の現状と問題点について、明らかにしようと試みた若い労働者たちの取り組みを軸に編まれています。
(中略)彼(女)らは、昔の世代とは異なり、正社員を志向してもなれない仲間がとても多く、貧困が目に見えています。そこで、たとえ自分自身が貧困レベルでなくとも、貧困がはびこる社会をなんとかせねばと切実に考えています。
 そんな彼(女)らが、取り組んでいるのが「貧困を知ること」。「最低賃金生活体験」です。
 (中略)最低賃金の金額を決定している人たちは、最賃=貧困生活のほんとうのところを知らないのではないか。
 そうであるなら、最賃額での生活をやってみて、どんな暮らしぶりになるのか。どんな身上になるのか。体調はどうなのか。物心両面で記録をつけ、実情を明らかにしてみよう。
 こうして、青年たちは、体験にチャレンジしはじめました。(中略)
 本書は、彼(女)らの体験を活字で追体験していただきつつ、最低賃金制度を多くの人にもっと知っていただき、最賃を引き上げ、だれもが「健康江文化的な最低限度の生活」を遅れるような社会にしたいという重いからつくられました。
「『最低賃金』を知っていますか。」の章では、最低賃金制度の概要と、なぜ最低賃金生活体験をするのかについて説明しました。「最低賃金で暮らしてみました。」は、チャレンジャーたちの体験記です。最賃=貧困生活の実態がまざまざと伝わってくるでしょう。「最賃を引き上げ貧困をなくす。」では、最低賃金の意義をさまざまな視点からとらえ深めて、どうしたら最低賃金を引き上げることができるのかの道筋を示しました。
 最初から順にでなく、どこから読み始めていただいてもかまいません。どうぞ興味のあるところからお読みください。
 “貧困”の現状を、すぐに解消することはできないかもしれません。しかし、多くの人の声が上がれば、少しずつでも社会は変わっていきます。本書がそれに少しでも役立てば幸いです。

版元から一言

生活保護よりも低い日本の最低賃金額。これをなんとか、時給1000円以上=貧困ラインを下回らない額(年収にすると200万ちょっと)まで持っていきたい──そんな思い出取り組まれているのが、最低賃金生活体験です。最低賃金の金額で1か月暮らしてみて、その額ではとても生活していけないことを証明しようというもので、全国各地の労働組合・ユニオンが取り組んでいます。その体験記を軸にまとめたのが本書です。
本書の魅力は2つ。
①物理的にだけでなく、精神的にも影響を及ぼす最賃=貧困生活の状態を、3つの体験記、そして数多くのチャレンジャーたちの証言から、追体験できること──「1か月だけの体験」であっても、そこにはリアルな喜怒哀楽があります。笑ったり怒ったり悲しんだり、共感しながら読むうちに、最賃での生活、貧困の実態を知ることができます。
②最賃についての本は専門的なものばかりで、ここまで最賃についての情報がコンパクトにまとめられているものがほかにないこと。最賃の制度やしくみだけでなく、その意義やこの間の動き、海外の最賃制度、生活保護額との差など、豊富な図表類を交えて詳しく解説しています。また、景気がよくても給料が下がってきたのはなぜか、最賃を引き上げることによる経済的メリットなど、かなり踏み込んだ内容のものも入っています。
貧困は「だれか」の問題ではなく、「私たち」の問題です。「だれかの低賃金を放置することは、自分の足もとを掘り崩すこと」につながります。この本で、ぜひサイチンのことをたくさんの人たちに知ってほしい、そして「貧困である」とはどういうことかを感じてほしいと思っています。

上記内容は本書刊行時のものです。