
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 378ページ 並製
定価:3,500円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-9032-1 C0036
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:2007年03月
あらかじめご了承下さい。
紹介
現代アフリカ全体を取り上げた総論・入門書。特に社会,文化,政治に重きを置くことにより,アフリカをより身近なものに,また,現実にかかえている民族問題などにも眼を向けてもらうための啓蒙書として最適。関連する文献のミニ解説付き。
目次
まえがき
総 論 アフリカ現代史の歩み(岡倉登志)
第1部 アフリカの社会と文化
第1章 アフリカ文化のダイナミズム(砂野幸稔)
第2章 アフリカの農村生活——変わりゆく姿(赤阪 賢)
第3章 アフリカの女性の社会的地位と役割——南アフリカの事例から(楠瀬佳子)
第4章 アフリカの宗教(嶋田義仁)
コラム1 贈与と共同体——セネガルのイスラーム=スーフィー教団ムーリディーヤの事例(田尻敦子)
第5章 アフリカの言語——その生態と機能(宮本正興)
第6章 アフリカ文学——黒人作家を中心として(小林信次郎)
コラム2 グリオを訪ねて(出水慈子)
第7章 アフリカの都市——成立過程と実態(岡倉登志)
コラム3 ダーバンの都市生活史(北川勝彦)
第2部 アフリカの政治経済
第1章 内戦・民族紛争の実態と問題点——「アフリカの角」と「大湖地方」の事例(岡倉登志)
コラム4 エチオピアの近・現代にみる光と影(古川哲史)
第2章 「アフリカ社会主義」とその挫折(岡倉登志)
第3章 アフリカの民主化(岡倉登志)
第4章 日本のアフリカ外交とNGO(森川 純)
第5章 冷戦期の国際政治とアフリカ——非同盟運動を軸に(高林敏之)
付録◇参考文献ガイド
あとがき
索引
前書きなど
あとがき
この「あとがき」を書いている二〇〇二年三月現在、国会予算委員会でODA援助に絡んで鈴木宗男議員が参考人として呼ばれ、ケニアやタンザニアにおける援助問題などがクローズアップされている。それでも日本の将来を担う多くの青年たちには、依然としてアフリカは遠い存在であろう。けれども、遠い存在にさせてしまっているからこそ、アフリカへの人道援助や経済開発援助という美名に隠れてハイエナのように群がる政治家とその取り巻きを出現させてしまったのである。そのために、マスコミもそうであるが、われわれアフリカ研究者は、国連加盟国の約三〇%を占め、五〇年後には総人口の二〇%に相当する約二一億の人口に達するといわれるアフリカに関する正確な情報を提供するとともに、どのようにアフリカにアプローチすべきかの指針を示す必要がある。
他方で、「アフリカの地で自分の青春を燃焼させたい」という若者もいることを、昨年一〇月にJICA国際協力事業団でアフリカに出かける「隊員」の研修に協力した時に実感したし、数は少ないが私の勤務する大学にも、「アフリカから何かを吸収したい」という学生諸君がいる。私自身、この数年間に何百人もの学生にアフリカの話をしてきたが、授業の感想で目立つのは、「あまりにもアフリカのことを知らなすぎた。これをきっかけとしてアフリカに関心をもちたい」というものである。
ところで、この数年間に現代アフリカを知るための概説書や入門書の類が硬軟取り混ぜてかなり公にされている。そうした中で特色のある本づくりをすることは容易なことではない。そして、ここだけは押さえておきたいという点と既刊書の内容を配慮した結果、社会ではエイズや飢餓問題などが、文化では音楽が欠落したが、スペースが限られていることだし、この点は大目に見ていただきたい。また、それではどこが押さえ所かというと、まず第一には、一九六〇年代以降、とりわけ一九七〇年代以降を「現代アフリカ」と考えて、現代のアフリカの問題に直接・間接につながる事柄についての検証を試みた。具体的には民族紛争とか、都市化、民主化などについてである。
第二には、社会と文化、政治経済のバランスのとれた概説書は意外と少ない。本書では一定のバランスを配慮したつもりだが、さらに社会と文化の執筆者は、自ずと政治経済との連関にも言及されている。また本書で政治・経済としていないのは、政治と経済が不可分であることを主張したいからである。もちろん、本書の二部の内容の多くは、一般的には政治論文と見なされると思うが、「社会主義」による国家建設の問題も、民族紛争も、経済的側面を抜きにしては論じられない。
以上のような配慮をしたが、本書が「等身大のアフリカ」、「ありのままのアフリカ」を読者に提供できたとはけっして自負していない。もちろん、「等身大」や「ありのままのアフリカ」を描き出そうと努めてはいるが、サハラ以南に限定してみてもアフリカは、あまりにも広大すぎるし、多様であるので、一冊の本にコンパクトに納めることは到底不可能である。要するに、本書は、入門書よりも一ランクか二ランク上のレベル(中級・中上級)で現代アフリカの諸問題の背景や問題点を提起するとともに、フィールドに基づく「特定の」アフリカ社会の実像を示した。すなわち、アフリカに対する理解を深めてもらうことと同時に、読者の一人一人に「アフリカにどのような目を向けるか」を思索してもらうことを願って編纂されたものである。
なお、本書の執筆者は全員、アフリカに関わって実利を得ようという政治家や実務家の立場とは異なり、学術的な研究者として第一線で活躍されている方々である。そしてほとんどの執筆者は、アフリカの民衆やNGOの活動や物の捉え方に共鳴して、アーム・チェアーから離れた活動もしている。そして本書のような性格の本を自らが編纂されている方もおり、いわばライバルとなる本のために寄稿いたただいた太腹に感謝したい。また、フィールド調査のために海外に出られたり、それぞれの仕事に多忙なために原稿の提出が大幅に遅れた方々もいたが、二年遅れながらも本書が刊行されたのは、ひとえに原稿を頂けたおかげである。他方、早くから原稿を頂戴していた方々には、この場を借りてお詫び申し上げたい。また、固有名詞の表記は、必要な限り統一したが執筆者の表記方法を尊重した部分(たとえばイスラムとイスラーム)もある。
二〇〇二年三月
執筆者を代表して 岡倉登志
著者プロフィール
岡倉 登志(オカクラ タカシ)
1945年生まれ。明治大学文学部修士課程を経て同大学院政治学研究科博士課程単位取得(1974年)
1988年4月より大東文化大学文学部教授
1974年より5回、西アフリカ、東アフリカを調査・研究旅行
[主要著書等]
『二つの黒人帝国』東京大学出版会 1987年
『「野蛮」の発見』講談社 1990年
『アフリカ史を学ぶ人のために』(編著)世界思想社 1996年
『西欧の眼に映ったアフリカ』明石書店 1999年
『エチオピアの歴史』明石書店 1999年
『アフリカの歴史』明石書店 2001年
「19世紀の西アフリカにおけるイスラーム化と植民地化」『岩波講座世界歴史21』岩波書店 1998年
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