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日本の右翼
歴史的視座からみた思潮と思想
原書: 日本右翼問題研究
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年7月
- 書店発売日
- 2015年7月31日
- 登録日
- 2015年7月24日
- 最終更新日
- 2015年7月24日
紹介
戦前から戦後にわたるまで、日本の右翼団体と活動を俯瞰しながら、その思潮・思想の形成過程、運動と国家権力との関係や影響力など、多角的に日本の右翼を分析する意欲作。
目次
日本語版への序文
序論【歩平】
(一)右翼に出会った経験から
(二)日本の右翼団体と右翼思潮
(三)日本の「右翼」の概念について
(四)戦前日本の右翼の運動と国家権力との関係
(五)戦前日本右翼の影響力
(六)世界的な右翼問題
戦前の右翼【歩平】
第一章 右翼思想と右翼運動の発生
(一)国家主義と民族主義─右翼思想の起源
(二)早期の右翼運動
(三)国粋主義型「観念右翼」の基本特性
第二章 国家革新運動と二〇世紀初期右翼運動の変遷
(一)国家革新運動中の右翼の両極分化
(二)北一輝と大川周明の右翼思想
(三)二〇世紀初めの民間右翼の思想
(四)二〇世紀初期の日本右翼運動と思潮の特色
第三章 日本を戦争の道へ導いた軍隊ファシズム右翼
(一)軍隊右翼が活発化した背景
(二)少壮派軍人と右翼団体の軍事クーデター
(三)右翼軍人と侵略戦争
(四)大正末期から昭和初期の右翼の特徴
(五)戦争体制下の右翼団体
戦後の右翼【王希亮】
第四章 米軍占領時期の右翼勢力
(一)頑固派右翼に対する対策
(二)右翼団体解散命令
(三)東京裁判の右翼勢力に対する寛容と放縦
(四)石原莞爾がマッカーサーに送った「建白書」
(五)極端な民族主義団体の台頭
第五章 サンフランシスコ条約と右翼の蘇生、復活
(一)民主化の逆流
(二)寛大と単独講和のサンフランシスコ条約
(三)旧右翼団体の復活及びその特徴
(四)右翼復活後の社会活動
第六章 岸信介内閣の反動政治と右翼運動の高まり
(一)岸信介内閣の逆行措置及び右翼との関係
(二)新安保体制の確立と右翼促進運動
(三)三池争議、安保闘争の余波及び右翼勢力の反撃
第七章 新右翼の登場と「民族派運動」
(一)新右翼学生団体及びその極端な民族主義的政治観
(二)三島由紀夫事件
(三)「民族派運動」の展開とその特徴
第八章 七〇年代の右翼「昭和維新運動」
(一)「七〇年危機」前の右翼団体の状況
(二)右翼の「昭和維新運動」
(三)右翼団体の資金問題
第九章 新保守主義時代の右翼
(一)自民党政治の右傾化
(二)新保守主義時代の右翼運動の新しい動向
(三)新右翼と極端主義のテロ活動
(四)戦後五〇年右翼の活性
第一〇章 文化教育界における右翼団体の形成及びその活動
(一)文化教育界右翼団体の形成及び理論的観点
(二)第三回目教科書攻撃の逆流
(三)政府、議会、政権与党の高官、実力者と右翼団体は気脈を通じ、協力して歴史修正主義運動を推し進めた
(四)教科書問題は終わっていない
結び【王希亮】
(一)戦後右翼が繁殖し、育成される土壌
(二)戦後右翼の継続とその基本的特性
(三)戦後右翼と執政当局、政党、宗教の関係
(四)戦後右翼運動の代表的人物とその思想
訳者あとがき
前書きなど
日本語版への序文
本書は日本の右翼問題に関する研究書であり、元々は中国の読者のために中国語で書いたものである。
(…中略…)
しかし、日本の読者に対して、我々が強調したいのはどんな問題だろうか。勿論、日本の読者と中国の読者は異なる環境下にあり、本書の中で、中国の読者から見れば見知らぬ歴史でも、日本の読者には普及している常識だ。従って、中国の学者として、我々は『日本の右翼』の分析を通して、日本の読者に我々の感得したものを伝えたい。つまり、日本の民族主義は戦前日本右翼の思想の源だが、日本の民族主義は戦前、次第に極端に、即ち戦争に向かって走った。戦後日本の右翼は、表面では、正当な個人の使命感と責任感を強調しながら、実は日本に必要な民族優越感の強調に進み、戦争責任を回避する種々の行動によって、その思想が戦時の軍国主義と密接な関係があることを暴露した。これにより、人々の警戒心を引き起こしたのは当然だった。
日本の軍国主義はあの戦争を引き起こし、中日両国に巨大な傷害をもたらした。再びあのような戦争を起こさないために、中日両国の民衆が共同して歴史の教訓をまとめることが、特に必要だ。近年、中日両国の学者はすでに各種形式の歴史共同研究を展開している。
もし、この本の日本語版が日本の学者の関心を引き起こすことができ、論争や討論を生むならば、戦後七〇年の最良の記念となるだろう。
二〇一五年六月 歩平
上記内容は本書刊行時のものです。