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「とも生み」の思想
人権の世紀をめざして
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年3月
- 書店発売日
- 2015年3月31日
- 登録日
- 2015年3月23日
- 最終更新日
- 2015年3月23日
紹介
私たちの国には、生命を尊び福する「共生(ともうみ)」の思想が息づいている。来るべき人権の世界に向けて、あらためてそれを見なおしたい。日本古代史の碩学が、『京都新聞』連載コラムを編み直し、これから世代に贈る智慧に満ちたエッセイ。
目次
まえがき
第1章 人権文化
自然との共生/とも生みの思想/民族文化の再発見/回想・千人針/福の神と世直し/鎮魂のまこと/人間のこころの学/地域学と分権時代/宗教者の対話の季節は終わっていない/水と命と人権/生命の尊重/文明と宗教/戦争の悪と友好の輪/回想立川文庫/もったいないの再評価/おかげさま/慰霊の意義/原爆の日/いくさの語り部/ふたりの高齢者/蔵書のなかから/こころの発明/言葉を正確に/震災復興と関西、京都/人権ゆかりの地をたずねて/3・11を絆の日に/ワレサ前大統領との対話/ペルー人質事件/国連の人権教育十年/世界人権宣言五十五周年/世界人権宣言六十五周年/いのちの尊厳/京都の歴史と人権問題/いやしけ吉事
第2章 日本の史脈と関西
日本文化とは何か/万民の罰はおそるべし/和辻賞と文化発信/梅花無盡蔵/メモリアル・デー/古代史の再照明/島国日本は海国日本/王仁博士と「難波津」の歌/御柱のまつり/縄文のいぶき/南の縄文文化/卑弥呼以後/過去を未来に/ヤマトタケル/大和飛鳥の大苑池/瀬戸内海の再発見/白鳳文化の再評価/高松塚三十年/高松塚壁画検出四十年/比較の視座/平城遷都の内実/古事記千三百年の意義/風土記千三百年/天平文化の国際性/北天の雄アテルイ/大和魂の再発見/元就と女人群像/鎖国史観のゆがみ/島国史観の克服/裏日本観を問い直す/鎮守の森の謎/森に生きる文明/鎮守の森は甦る/海は森の恋人/関西の輝き/関西は一つか/関西と西国/APECと関西の復権/南方熊楠没後七十年/先師の学恩/折口父子の墓
第3章 京都の歴史と文化
都市の記憶/平安時代の再発見/保存と活用/恭仁京と天平文化/平安京の伝統と創生/平安文学と古典の日/「古典の日」を活かす/町衆の教育の伝統/学校歴史博物館/世界遺産の再発見/市民参加の伝統/学校のたからもの/日本のなかの朝鮮文化/真の国際人/景観は京のたから/京都の文化財を守り生かす/祇園祭と世界遺産/国際都市・京都/霊験亀山鉾/まつりの伝統/現代の「近廻し」/お稲荷さんの千三百年/亀山異聞/関西の観音信仰/新・世界七不思議/三十三所の巡礼/清水寺と田村麻呂公/保津川開削四百年/高瀬川開削四百年/リヨン回想/パリの時代祭/京都とパリ
第4章 出雲と地域の文化
地域からの発信/加茂岩倉遺跡の謎/神も仏も/受容と選択/神と仏の再発見/空中神殿の謎/古代出雲の再発見/海の正倉院の国際性/よみがえる出雲の息吹/伊勢と出雲の遷宮/どすこい展/国民文化祭と地域文化/民族芸能・祝祭の魅力/神楽の継承と発展/全国神楽マップ/合併の功罪/小泉八雲没後百年/近江学の発信/おかげさまとおかげどし
第5章 東アジアのなかの日本
アジアの世紀をめざして/アジア・共生の二十一世紀/東アジア古代史の解明/アイヌ新法の制定/新時代の夜明け/内なる民際化/今に生きる芳洲だましい/こころの交流/文明間の対話/日韓文化フォーラム/アジアのなかの日本/アジア史学会と江上先生/日本海の呼称/アジアの光――鑑真和上/草の根の民際交流/島嶼連合と東アジア/韓流の表と裏/若者の共同発掘/東アジア共同体の基盤/日韓神話の比較/日本と百済のえにし/百済との絆/保存と開発/平成の遣隋使/義と愛と東アジア/新春三題/遣唐使船の再現と航海/日韓関係の光と影/松雲大師と通信使/通信使の縁地/W杯共同開催/民族和解の輪/W杯と朝鮮通信使/W杯と民際交流/遣唐留学生の墓誌/正倉院と新羅物/古代日中外交の実相/誠信のまじわり/戦争と“海行かば”/国際と民際/沖縄からの視座/アジアのなかの沖縄/沖縄学の展開/本土復帰三十周年/中間蓬莱の嶋/虫送りの思想/モンゴル紀行/越の国と渡来の文化/民際のみのりを積み重ねて
前書きなど
あとがき
『京都新聞』のコラム「天眼」の執筆メンバーとなったのは、一九八八年(昭和六十三)の四月からである。毎月一回(千二百字)が掲載された。その第一回に執筆したのが「アジアの声」であった。そして会を重ねて第百回の「戦後五十年目の追悼集会」となった。小学館から出版した『歴史家の眼』には、その百回分が収録されている。
このたびは明石書店の石井昭男会長のご厚意によって、一九九五年(平成七)の三月三日に執筆した「内なる民際化」から、二〇一四(平成二十六)年の十二月二十一日の「京都の歴史と人権問題」までの分によって本書が構成されている。
たんなる随想ではなく、時代の推移と変化にそくした時宜をえたエッセイを書くのには、それなりの工夫と苦心がいる。他の執筆者の書いたテーマと重複するわけにはいかないし、おのれの専門分野のみに拘泥していたのでは、読者の方々に新鮮さがとどくはずはない。
このたびは第一章「人権文化」、第二章「日本の史脈と関西」、第三章「京都の歴史と文化」、第四章「出雲と地域の文化」、第五章「東アジアのなかの日本」に分けて、私なりに考えみつめてきたことを書きとどめたつもりである。若干重複している部分もあるが、人生をいかに考えて生きるか、それぞれにうけとめていただければ幸いである。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。