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毎日が天国
自閉症だったわたしへ
原書: EVERYDAY HEAVEN: Journeys Beyond the Stereotypes of Autism
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年1月
- 書店発売日
- 2015年1月10日
- 登録日
- 2014年12月25日
- 最終更新日
- 2014年12月25日
紹介
自閉症のある人のこころをはじめて当事者自らが描き出し、世界的ベストセラーとなった『自閉症だったわたしへ』の第4弾。自閉症ゆえのさまざまな生きづらさ、家族との葛藤を抱えながらも、自らを世界に開き、あるがままの自分でいることを求め続けるドナ。生活上のパートナーと決別し、新しい人々との出会いと別れを通して、ドナがつかんだものとは…。
目次
1 わたしの今
2 二十分
3 父
4 兄
5 子ヒツジたち
6 はじめての講演
7 日本からの撮影隊
8 心のなかに入ってきた人
9 暗雲
10 父の死
11 奇妙な一日
12 さよならの日
13 めざめ
14 天使
15 あなたといたい
16 ヒョウのもようのネコ
17 魔法がかかったような一夜
18 追いかけたらダメ
19 引っ越し
20 「レズビアン」
21 力尽きて
22 試練のとき
23 「ストレート」
24 運命のひと
25 クリスマスのころ
26 手術、そして丘へ
27 二度目の手術、パニック、ドレス
28 結婚式、ハネムーン、キャンバス
29 世の中の子ども
30 ずっと願ってきたこと
訳者あとがき
前書きなど
訳者あとがき
(…前略…)
本書の著者、ドナ・ウィリアムズは、自閉症者の内面世界をはじめて自ら綴った手記、“Nobody Nowhere”(一九九九二年刊。邦訳は『自閉症だったわたしへ』新潮文庫)で、世界に大きな衝撃を与えた。正確に言うなら、この世の中にあまりにもなじめない自分とは何なのかと、彼女が過去を見つめて一心に書いたものが、結果として、世界ではじめての画期的な手記になったということだ。
この手記を端緒として、自閉症の研究は大きく進みだしたと言われている。知的障害を伴わないどころか、知的に非常に高いレベルの、いわゆる高機能自閉症が注目されるようになり、自閉症スペクトラムといった概念も生まれたと聞く。ドナの場合は、ハイファンクションのさらに上をいく「スーパーハイファンクション」であろうとのことだ。
また、手記が学会等で国際的に取りあげられたのと同時に、ドナ自身にも講演やシンポジウムなどの依頼がつぎつぎくるようになり、自閉症研究のさきがけとしての使命感のようなものも、彼女はもつようになったにちがいない。二〇〇一年には初来日して、東京と大阪で講演をおこなった(このとき、私も直接会う機会を得た)。
かつて彼女は、一度は中退していた高校に復学し、大学入学、そして卒業をはたして(『自閉症だったわたしへ』のなかで当時のことが描かれている)、小学校の教員免許も取得したという。まさにスーパーハイファンクションな活躍ぶりで、こうしたバックグラウンドやその後の経験から、“The Jumbled jigsaw”(邦訳『ドナ・ウィリアムズの自閉症の豊かな世界』門脇陽子・森田由美訳、明石書店)など、自閉症におけるさまざまな問題を分析し、対応策などについて実例をあげながら考察する本も、これまでに四冊著わしている。本書のなかでも、そういった本を書いている場面が出てくるうえ、「感覚のシステム対解釈のシステム」「情報処理の遅れに関わる単一回路」「強迫的な闘争・逃走反応」「曝露不安」「広場恐怖症」などについて、自身のできごとに絡めながら述べている。
まさに明晰で洞察力に富み、非常に知的で論理的だが、その一方で、彼女もやはり自分の体さえ思うように動かせないことが多く、コミュニケーションにもいろいろな難しさがあるという自閉症独特の問題をかかえつづけているのだ。
そしてそれらを乗りこえていこうとする闘いや冒険についても、手記として発表しつづけてきた(第二作“Somebody Somewhere”邦訳『こころという名の贈り物』新潮社、文庫版『自閉症だったわたしへⅡ』。第三作“Like Color to the Blind”邦訳『ドナの結婚 自閉症だったわたしへ』新潮社、文庫版『自閉症だったわたしへⅢ』現在すべて絶版)。
本書は、その手記シリーズの最新版である第四作“Everyday Heaven :Journeys Beyond the Stereotypes of Autism”(「毎日が天国 自閉症のステレオタイプを越えていく旅」といった意味)の全訳である。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。