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グローバル社会と人権問題 李 修京(編) - 明石書店
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グローバル社会と人権問題 (グローバルシャカイトジンケンモンダイ) 人権保障と共生社会の構築に向けて (ジンケンホショウトキョウセイシャカイノコウチクニムケテ)

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発行:明石書店
A5判
280ページ
並製
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-7503-4080-7   COPY
ISBN 13
9784750340807   COPY
ISBN 10h
4-7503-4080-4   COPY
ISBN 10
4750340804   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年9月
書店発売日
登録日
2014年9月19日
最終更新日
2014年9月19日
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紹介

グローバル化の進展と高度情報化社会の到来により、人権問題も国境を越え、新たな側面をもったものへと変容している。地球規模における人権問題、未来を担う子どもたちの人権、そして地域に潜む人権問題を取り上げ、共生社会の構築のため主体的に人権問題を考察する契機をつくる。

目次

 まえがき
 文部科学省 人権教育の指導方法等の在り方について[第3次とりまとめ]

第1章 国境を越える世界規模の人権問題
 1 東アジアでの人権協力
 2 レイシズム―人間の奥底に潜む黒い欲望
 3 PMC(民間軍事会社)の戦争ビジネスの拡大
 4 人道主義的アプローチに基づく通常兵器の規制――NGOが果たした役割を中心に
 5 テロ戦争と悪化する人権状況
 6 原子力と基本的人権――福島第一原発事故の教訓
 7 「グローバル化」の中で広がる格差社会
 8 インターネットによって生じる人権問題や犯罪
 9 言論(インターネットを含む)による被害と人権
 10 ジェンダー問題とLGBTQ・性同一性について
 11 貧困で国境を越える人身売買・性売買産業の拡大
 12 国際結婚と人権問題
 13 戦争・軍隊と性犯罪

第2章 明日を担う子どもと人権問題
 1 子どもの権利――もっとも保全されにくい権利
 2 難民事情・貧困・児童労働・人身売買
 3 身勝手な大人の犠牲・子ども兵士
 4 子どもと人権①――学校と子どもについて
 5 子どもと人権②――国際結婚と子どもの問題
 6 地域格差からみる子どもの人権――中国、上海の松江ニュータウン地域を対象として
 7 いじめ問題の現状と早期発見・チーム対策の必要性

第3章 地域に潜む人権問題
 1 日本の大学における男女共同参画への取り組み
 2 在日コリアンと日本社会
 3 在日コリアンの生活
 4 ハンセン病と人権
 5 水俣病事件史にみる公害と人権
 6 裁判員制度と人権侵害の落とし穴
 7 伝統という美名・ダウリー制度に苦しむインドの女性たち
 8 中国農民工の子どもの教育問題
 9 韓国の多文化圏出身者家庭と人権問題
 10 強制収用方式で行われる都市開発と現地住民の被害――韓国の新開発地域を対象として
 11 フィリピンの地方都市における貧困層にみる人権問題

第4章 人権問題に関心をもつ・知る、自分にできることを考える・実践する
 1 戦争――悩まず合理的に相手を殺す!
 2 「抵抗」を考える
 3 歴史を記録し伝える――中学生と風船爆弾調査活動
 4 人権問題の解決に向けて――関心・認識・啓発的動き・市民連帯・活動参加
 5 現代における紛争解決の理論的地平

 巻末資料
 執筆者プロフィール

前書きなど

まえがき

 すべての人には「人として生きる権利」「自己実現を追求する権利」「命と生活を守る権利」があり、それは民族・国家・宗教などを超えた人類普遍的なものであり、自分の人間としての生きる権利はどこでも守り通さなければなりません。人間各自がもって生まれた命が保障され、各自の能力を発揮できる環境が確保され、自分の生き方を妨げる要因のない人生が保障される先進的人権社会の実現こそ、人として自負できる理想的社会だと言えます。換言すると、「人権」問題が生じているということは人権意識が低いため、その問題が解決できていない情況にあると言っても過言ではありません。

 「人権」とは全人類が共有し、互いが基本的に尊重すべき普遍的なものだと言えますが、その人が生まれた家庭環境や社会環境、その時代状況などによってさまざまな差別に晒され、守られるべき人権とはほど遠い生き方を強いられる人たちも無数にいます。その中には人としての扱いさえも受けられない不条理な生き方で苦しむ人も少なくありません。我々と同じ時代に生まれ、環境が異なるという理由だけで苦しむ隣人の生活とは結局、バランスのとれていない社会が孕んでいる矛盾でもあります。そのような矛盾をなくし、生まれてきた生命としてその人生をまっとうできるように保障されるのが、人類が知恵を絞って生み出した「人権」という概念なのです。人権とは人として生きる過程で絶対不可侵の権利として共有すべき意識であり、空気のようになくてはならない、当たり前の自然的な権利です。
 現在、「地球村」にはおよそ70億の人が一緒に暮らしており、数多くの民族や地域、多文化が存在しています。先端科学の発展とともに、各種情報や通信技術と交通手段の発達によって国境の越え方もきわめて流動的になっており、簡単に多文化・他文化圏への移動ができる時代になっています。異文化との出会いも盛んであり、多種多様な文化が新たに生まれ、共有され、楽しめる文化的選択も実に広くなっています。そういった動きは一見複雑そうにも見えますが、まるで「ビビンパブ(混ぜご飯)」のように、個性豊かな多文化・多民族が地球という大きな器の中で調和し、異文化交流や国境を越えた他文化との交わりによって美しい色彩の栄養食として機能しています。違った食材がそれぞれの持ち味を出しながら、それぞれの個性(多様性、多文化)を出しながら一つの器の中で調和していくことが人類の宿命でもあります。相互協力のもとで限られた資源を活用しつつ、地球環境や代替資源開発に知恵を出し合い、この星で共に平和的に協力して生きることを模索することで、未来志向の共生関係の可能性が生まれるのです。そのために我々はまず、国際社会におけるさまざまな人権事情について知ることが必要です。

 (…後略…)

著者プロフィール

李 修京  (イ スゥギョン)  (

ソウル生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士、歴史社会学専門)。山口県立大学国際文化学部の助教授を経て現在、東京学芸大学教育学部教員。専門は歴史社会学、平和学、国際人権教育、多文化共生社会論、韓国朝鮮社会・文化論。日本サイバー大学客員教授。日本社会文学会評議員。Korean Global Foundation理事。韓国文学会海外理事・編集委員。『季論21』編集委員。2005年度日本女性文化賞を受賞。2012年度文化大賞(『Seoul Moonhwa Today』グローバル部門)受賞。著書に『近代韓国の知識人と国際平和運動』(明石書店、2003年)、『帝国の狭間に生きた日韓文学者』(緑蔭書房、2005年)や編著『クラルテ運動と「種蒔く人」――反戦文学運動“クラルテ”の日本と朝鮮での展開』(御茶の水書房、2000年)、『韓国と日本の交流の記憶――日韓の未来を共に築くために』(白帝社、2006年)、『この一冊でわかる韓国語と韓国文化』(明石書店、2005年)、『海を越える一〇〇年の記憶――日韓朝の過去清算と争いのない明日のために』(図書新聞、2011年)など、多数。

上記内容は本書刊行時のものです。