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太平洋文明航海記
キャプテン・クックから米中の制海権をめぐる争いまで
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年4月
- 書店発売日
- 2014年4月20日
- 登録日
- 2014年4月14日
- 最終更新日
- 2014年4月15日
書評掲載情報
2018-06-17 | 東京新聞/中日新聞 朝刊 |
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紹介
太平洋の歴史はすなわちグローバル化の歴史である。大航海時代に西洋人が到達してから現在にいたるまで、つねに太平洋の島々は有無をいわさず欧米の権力争いに巻き込まれてきた。アジア=太平洋時代の到来に向け世界の歴史を太平洋から読み直す意欲的な試み。
目次
はじめに
第1章 19世紀グローバリゼーション
1851年、第1回ロンドン万博
伝書鳩から電信へ
第2章 太平洋大航海時代
世界最初の太平洋横断およびガレオン交易
ヴィーナスの島々へ
島々の王国統一とアルコールのグローバリゼーション
性の商品化と疾病のグローバリゼーション
第3章 グローバリゼーション、太平洋へ
鉄製蒸気艦と極東のグローバリゼーション
1849年、カリフォルニア、ゴールド・ラッシュ
海の経済から陸の経済へ
ホエール・ラッシュから、ランド・ラッシュへ
ワイタンギ条約、アヘン戦争、タヒチ属国化
フィジーでピアノを
領事外交と砲艦外交
第4章 海のグローバリゼーション
アメリカ大陸横断鉄道とスエズ運河
白人の死病マラリアとキニーネの登場
白檀ラッシュとメラネシア
ジョン・ウィリアムズの「殉教」と交易の開花
ブラックバーディングとピジン・イングリッシュの誕生
仏独の太平洋進出と蒸気船の貯炭港
第5章 帝国の時代
「帝国の時代」と植民地化の急展開
極東へ!
植民地の空間(1)――ドイツ領ニューギニア
植民地の空間(2)――イギリス領パプア
キャップ!――オーストラリア統治の最前線
第6章 タイム・ビロング・マスター(御主人様の時代)
エディー・クリーク―ラッキー・ストライクとゴールド・ラッシュ
20世紀に突入するニューギニア
踏み分け道と滑走路
グローバル化前線のニューギニアと太平洋戦争
第7章 太平洋戦争と戦後太平洋空間の変貌
日本の挑戦とアングロサクソンの反撃
朝鮮戦争と日米安保とアンザス体制
タイム・ビロング・マスターの終焉
第8章 太平洋島嶼国独立の光と影
マイクロ・ステートと資源収奪
戦士共同体と巨大多国籍企業
マイクロ・ステートとMIRAB経済
MIRAB経済の光と影
主権ビジネスとグローバリゼーション
タックス・ヘイヴンとグローバル資本主義の闇
第9章 シー・パワー・21――米中の時代
中国の南進とアメリカの太平洋回帰
21世紀のシー・パワーをめぐって――米中の衝突軌道
Appendix 浮上せよ!太平洋島嶼諸国――海洋の「陸地化」と太平洋諸島フォーラムの21世紀
三つの太平洋――ポリネシア・メラネシア・ミクロネシア
20世紀太平洋の植民地化と独立――太平洋フォーラムへ
MIRAB経済――太平洋島嶼諸国の存立基盤
メラネシア急先鋒グループ――自立への胎動
中国の南進――貿易・ビジネス・援助
フィジー対サモア――太平洋諸島フォーラムの政治的攻防
藩基文のフォーラム参加――地球温暖化と気候変動
アメリカの太平洋回帰と中国の資源外交
海洋の「陸地化」と第40回太平洋諸島フォーラムの意義
おわりに
「おわりに」のあとに
参考文献
前書きなど
はじめに
ウィリアム・シェイクスピアによれば、「世界は劇場」である。奇しくも、彼の劇が初演された劇場をグローブ座(The Globe)という。私はこれから、シェイクスピアの顰みに倣って、キャプテン・クックの大航海から21世紀の現在に至るまでの二百数十年にわたる太平洋のグローバル化の劇を描いてゆこう。
主役は太平洋の島々の人達、環太平洋(とりわけ極東)に住む人達、そして太平洋のグローバル化を推し進めていった、キャプテン・クックを初めとする地球(グローブ)の裏からやってきた白人達(とりわけ、アングロサクソン人)である。
私は太平洋のグローバル化を進めた駆動力として交通通信技術の革命的発達、環太平洋世界と太平洋世界のインタラクション、そしてその帰結としてのシー・パワー(制海権)の争覇を見出した。
これから180頁にわたって繰り広げられる劇はこの三つの駆動力によって推進されてゆく。
そこから、読者は21世紀の太平洋(あるいはアジア太平洋)世界の展望を得られるだろう。
今、初めて太平洋が世界史の中に入るのだ!
上記内容は本書刊行時のものです。