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反原発へのいやがらせ全記録 海渡 雄一(編) - 明石書店
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反原発へのいやがらせ全記録 (ハンゲンパツヘノイヤガラセゼンキロク) 原子力ムラの品性を嗤う (ゲンシリョクムラノヒンセイヲワラウ)

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発行:明石書店
B5判
108ページ
並製
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-7503-3949-8   COPY
ISBN 13
9784750339498   COPY
ISBN 10h
4-7503-3949-0   COPY
ISBN 10
4750339490   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年1月
書店発売日
登録日
2014年1月17日
最終更新日
2014年1月17日
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紹介

1980年代から1990年代にかけて、全国各地で反原発運動に取り組む人たちを狙い、繰り返しおこなわれてきたいやがらせの数々。その背後には原子力ムラの存在があった――。その反倫理的活動の実態を証拠品や証言で明らかにした衝撃の一冊。

目次

  はじめに


01 解明する

 反原発運動へのいやがらせ 歴史と背景を分析する(西尾漠)

 犯人像と狙いを推理する(海渡雄一)

 反原発運動と原子力推進側の動き【1970年~2013年】


02 証言する

 高木仁三郎へのいやがらせ(高木久仁子)

 私の受けたいやがらせ(鮎川ゆりか/武藤類子/澤井正子/安達由起)

 実行委員会に参加していた男は公安警察だった(井上年弘)

 ○コラム 絹の森殺人事件

 スパイ活動の成果 悪意に満ちた「にやにやかるた」(西尾漠)


03 闘う

 佐藤栄佐久氏(元福島県知事)インタビュー
 原子力帝国との死闘(聞き手=海渡雄一 まとめ・撮影=木野龍逸)

 対談 西村トシ子×海渡雄一
 動燃の反原発運動対策と夫の謎の死をめぐって(まとめ=中川亮)


04 対抗する

 そして、あらたないやがらせが始まった(中川亮)

 声をあげる輪がもっと広がることを願って(千葉麗子)

 秘密保護法と公安警察(海渡雄一)


  脱原発弁護団全国連絡会一覧

  資料 人権救済申立書
  執筆者/編集協力者紹介

前書きなど

はじめに

 この本は、2013年8月に新宿区立区民ギャラリーで開催した「反原発へのいやがらせの歴史展」がきっかけで出版されることとなりました。地味な展覧会でしたが、意外な反響があり、2日間に1200人もの入場者があり、狭い会場は超満員となりました。

 この展覧会で明らかにした原発反対運動へのいやがらせは1980年代の終わり頃から見え隠れし、1993年頃がピークで、2000年頃まで続きました。あまりにも卑劣なやり方に全国の活動家たちが集まり、1994年から準備して1995年7月には日弁連に人権侵害救済の申し立てをしました。私はその申立人らの代理人でした。

 今日に至っても、このようないやがらせを行った犯人はわかりません。日弁連は、行為者が不明という理由で結論を出すことができませんでした。しかし、現時点で見れば、このようないやがらせは、電力会社と公安機関、そしてキャンペーン活動のプロ集団が複雑に絡み合った組織による組織的な運動破壊であったと思われます。

 2011年3月の東日本大震災と福島原発事故からまもなく3年が経過します。この大災害は、経済成長を追い求めてきた日本社会が人間中心のものに変わり、原発推進と訣別するきっかけとなると期待されました。しかし、衆参院選挙では汚染水の漏洩が続いていたことも隠され、アベノミクスという経済成長への幻想がふりまかれて自民党が大勝し、オリンピックへの熱狂の中で被災者のことは忘れ去られようとしています。安倍首相は秘密保護法を制定し、集団的自衛権行使を認め、戦争への道をひた走っているようです。

 2013年夏から全国のいくつかの原発で、再稼働の申請がなされ、規制委員会の審査が始まっています。これに対応して反対の活動もますます活発となることでしょう。私は、そのとき手紙や写真という伝統的な形とは変わるかもしれませんが、より巧妙な反対運動への攪乱工作が行われるのではないかという強い危惧を感じました。

 この展覧会を開催した第一の目的は、このような活動を未然に防止するために、過去の反原発運動とこれに対するいやがらせの歴史を正確に多くの市民に知っていただきたいということでした。そして第二の目的はこのような反倫理的な犯罪的行為に荷担したおそらくは数百人に上る者の中から、過去の行為を認め、詳細を明らかにする者が名乗り出てくれることを願うところにありました。

 この本の後半でも紹介しますが、すでにインターネットを使った、新たないやがらせが始まっています。これに迅速に対応し、私が共同代表を務めている脱原発弁護団全国連絡会は、原発訴訟を闘うだけでなく、脱原発のための市民活動に対するいやがらせに法律家として対応することを決めました。このような情報が集まり、これに対する対策を共有することができたことも、この展覧会を催した成果だと考えています。
 原発をなくす闘いは、先の長い闘いとなるでしょう。息長く市民活動を継続していくためには、このようないやがらせを許してはならないのです。

 2014年1月 海渡雄一[「反原発へのいやがらせの歴史展」実行委員会代表/弁護士]

著者プロフィール

海渡 雄一  (カイド ユウイチ)  (

1981年弁護士登録、30年間にわたって、もんじゅ訴訟、六ヶ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。1990年から日弁連公害対策環境保全委員会委員、2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長。3・11後福島原発告訴団、東京電力株主代表訴訟、東海第2原発訴訟などの弁護を務め、脱原発弁護団全国連絡会共同代表、脱原発法制定全国ネットワーク事務局長。著書に『原発訴訟』(岩波新書、2011年)、『脱原発を実現する』(福島みずほと共著、明石書店、2012年)、『監獄と人権』(編著、明石書店、1995年)、『監獄と人権2』(明石書店、2004年)、『共謀罪とは何か』(保坂展人と共著、岩波ブックレット、2006年)、『刑罰に脅かされる表現の自由 NGO・ジャーナリストの知る権利をどこまで守れるか?』(GENJINブックレット、2009年)、『何のための秘密保全法か――その本質とねらいを暴く』(前田哲男と共著、岩波ブックレット、2012年)、『秘密法で戦争準備・原発推進』(創史社、2013年)。

上記内容は本書刊行時のものです。