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脱原発とエネルギー政策の転換 坪郷 實(著) - 明石書店
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脱原発とエネルギー政策の転換 (ダツゲンパツトエネルギーセイサクノテンカン) ドイツの事例から (ドイツノジレイカラ)

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発行:明石書店
A5判
208ページ
並製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-3909-2   COPY
ISBN 13
9784750339092   COPY
ISBN 10h
4-7503-3909-1   COPY
ISBN 10
4750339091   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年10月
書店発売日
登録日
2013年10月10日
最終更新日
2014年2月3日
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紹介

脱原発の政治的決定を行ったドイツのエネルギー政策と環境政策統合の歩みを歴史的に辿り、3.11後の日本におけるエネルギー政策転換のための課題を整理、脱原発の実現と新たなエネルギー政策展開のための具体的シナリオを提示する。図版・資料も多数掲載。

目次

 はじめに

第1章 エネルギー政策の転換のための視点――日本とヨーロッパ
 1 東日本大震災と福島第一原発事故
 2 ドイツにおける脱原発
 3 ヨーロッパにおける脱原発の動き
 4 エネルギー政策をみる視点

第2章 ドイツの反原子力運動はどのように勝利したのか?
 1 福島第一原発事故とメルケル政権
 2 反原子力運動のインパクト
 3 原子力紛争の転換点――終わりの始まり
 4 反原子力運動は合理的議論に基づく

第3章 シュレーダー政権は「原子力合意」を成し遂げた
 1 シュレーダー政権期の「原子力合意」
 2 電力供給法から再生可能エネルギー法の制定へ
 3 電力供給法は、なぜ、どのようにしてできたのか?

第4章 市民主導の「エネルギー転換」
 1 「100%再生可能エネルギー地域」プロジェクト
 2 市民出資によるエネルギー協同組合の急増
 3 グリーンピース・エネルギー協同組合――エコ電力の生産と供給
 4 市民が送電線を所有するシェーナウ電力会社(EWS)

第5章 自治体、州政府から新しいエネルギー政策をつくる
 1 ハイデルベルク都市公社によるエコ電力(エネルグリーン)の推進
 2 バーデン=ヴュルテンベルク州における統合的気候保護・エネルギー政策
 3 ノルトライン=ヴェストファーレン州の気候保護法

第6章 再生可能エネルギーで100%電力を供給する
 1 再生可能エネルギーの構築によるコストと有用性
 2 エネルギー転換のためのシナリオと予測――多くの研究報告
 3 再生可能エネルギーで100%電力を供給する道

第7章 メルケル政権による脱原発の再決定
 1 「安全で確実なエネルギー供給のための倫理委員会」の報告書
 2 メルケル政権による脱原発の再決定

第8章 市民意識と環境団体の政策提言活動
 1 再生可能エネルギーと市民参加――市民意識調査
 2 市民の環境意識と環境団体の政策提言活動

第9章 「原子力ルネッサンス」はあったのか?
 1 ドイツはフランスの原発の電力を輸入しているのか?
 2 「原子力ルネッサンス」はあったのか?

第10章 「エネルギー転換」のドイツ・モデル
 1 「エネルギー転換」の道――決定後1年
 2 EUの共通エネルギー政策とドイツ・モデル
 3 第1回モニタリング報告書と「未来のエネルギー」専門家委員会

第11章 電気料金は上がるのか? 負担が増えるのか?

第12章 日本におけるエネルギー政策の転換は始まったのか?――脱原発の市民意識は持続している
 1 「革新的エネルギー・環境戦略」と政治的決定
 2 脱原発の市民意識は持続している

第13章 日本におけるエネルギー政策転換の課題
 1 エネルギー政策転換の課題
 2 再生可能エネルギーの促進制度
 3 発送電の分離と家庭電力の自由化

第14章 エネルギー転換のための市民戦略(シナリオ)
 1 エネルギー政策転換のための市民戦略(1)――環境団体のシナリオ
 2 エネルギー政策転換のための市民戦略(2)――市民主導、地域主導へ

 むすびに
 あとがき
 参考文献

前書きなど

はじめに

 3.11以後、日本におけるエネルギー政策の転換は、どのような経路をたどっているのだろうか? 民主党政権は2012年9月に、2030年代に「原発稼働ゼロ」を目標とし、「脱原発依存」を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。しかし、まだ従来の原発推進路線を内容とする「エネルギー基本計画」は改定されず、脱原発依存のための法律は制定されなかった。2012年末の衆議院議員選挙の結果、政権交代が行われ、安倍自公連立政権が成立した。安倍政権は、民主党政権の「2030年代に原発稼働ゼロ」を見直すとともに、原発再稼動を進め、新たな「エネルギー基本計画」の策定を予定している。
 他方、民主党政権の時期に、「革新的エネルギー・環境戦略」の決定にあたって、エネルギー政策ではかつてなかったような市民参加が行われたことは画期的なことであった。さらに、多くの環境団体が、「エネルギーシフト」やエネルギー政策の転換のために政策提言を行ったことも特筆すべきことである。また、地域においては、市民主導の市民発電所づくりや、自治体主導の再生可能エネルギー促進の動きが拡がりつつある。

 (…中略…)

 本書において、ドイツと日本を比較しながら、一方では、政権によるエネルギー政策の転換のための政治的決定の動きをみるとともに、他方では、市民や環境団体主導の動き、地域や自治体主導の動きに注目していきたい。政権政策の動向と、市民主導、地域主導のエネルギー転換の動きとを対照させながら、「脱原発とエネルギー政策の転換」のための議論に寄与する重要な論点を検討していきたい。
 また、ドイツにおける2度の「脱原発の政治的決定」は、40年以上にわたる反原発運動の結果であるので、これまで反原発運動がどのような問題提起と政策提言を行ってきたのかを振り返る。さらに、メルケル政権の「脱原発の政治的決定」に根拠を与えた「安全で確実なエネルギー供給のための倫理委員会報告書における脱原発の理由は何か?」について述べよう。そして、「市民出資のエネルギー協同組合が急増している理由は?」「再生可能エネルギーで100%電力を供給することは可能か?」「ドイツはフランスから電力を輸入しているのか? あるいはドイツはヨーロッパにおいて電力輸出国なのか?」「原子力ルネッサンスはあったのか?」「エネルギー転換のドイツ・モデルのゆくえは?」「ドイツで電気料金が上がっているのか? その原因は何か?」など重要な論点を取り上げる。最後に、「日本において、脱原発の市民意識は持続しているのか?」「日本におけるエネルギー政策の転換の課題は何か?」「エネルギー政策の転換の市民戦略とはどのようなものか?」についてみていこう。

著者プロフィール

坪郷 實  (ツボゴウ ミノル)  (

早稲田大学社会科学総合学術院教授。
著書に『環境政策の政治学――ドイツと日本』(早稲田大学出版部、2009年)、編著に『新しい公共空間を作る――市民活動の営みから』(日本評論社、2003年)、『参加ガバナンス――社会と組織の運営革新』(日本評論社、2006年)、『比較・政治参加』(ミネルヴァ書房、2009年)、『新しい公共と市民運動・労働運動』(明石書店、2011年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。