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保育ソーシャルワーク支援論 土田 美世子(著) - 明石書店
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保育ソーシャルワーク支援論 (ホイクソーシャルワークシエンロン)

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発行:明石書店
A5判
244ページ
上製
定価 4,400円+税
ISBN
978-4-7503-3720-3   COPY
ISBN 13
9784750337203   COPY
ISBN 10h
4-7503-3720-X   COPY
ISBN 10
475033720X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年12月
書店発売日
登録日
2012年12月7日
最終更新日
2013年8月6日
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紹介

保育所は「子ども・子育て新システム」の改革の方向性によりその姿を変える可能性をもつ。子ども・保護者・地域それぞれとの関わりの中で、保育所でソーシャルワーク支援が提供される必要性を論じ、地域福祉施設としての保育所のあるべき姿について考察する。

目次

序章 はじめに
 第1節 今、なぜ保育所でソーシャルワークが求められるのか
 第2節 保育所をめぐる研究の動向
 第3節 本書の目的と構成

1章 保育所の歴史的経緯と今日の動向
 第1節 地域子育て支援の必要性と子育て支援政策
 第2節 保育所の歴史
 第3節 保育所機能の方向性と展望

2章 保育所に求められるソーシャルワーク技術と保育ケアワーク
 第1節 保育所保育士職務の現状と課題
 第2節 ソーシャルワークとケアワーク
 第3節 保育所におけるソーシャルワーク

3章 エコロジカル・パースペクティブに基づく保育所での実践例
 第1節 保育所の事例に見る、エコロジカル・パースペクティブ実践
 第2節 事例のまとめと考察
 第3節 ソーシャルワーク機能に関する保育所への質問紙調査
 第4節 保育所でのケアワーク、ソーシャルワーク支援の独自性

4章 地域子育て支援に求められる専門性
 第1節 保育所ワーカーによる「地域子育て支援」の領域
 第2節 地域子育て支援の実際とコミュニティ形成
 第3節 地域子育て支援センターの専門性
 第4節 トロントのファミリーリソースセンターに見るコミュニティ形成機能
 第5節 トロントFRセンターの実際
 第6節 保育ソーシャルワークとは

終章 まとめと今後の課題
 第1節 まとめ
 第2節 本書の限界
 第3節 今後の課題

 あとがき
 引用文献

前書きなど

あとがき

 本書は、保育所でのソーシャルワーク支援の必要性と、その実現のための方策についての考察です。今日、少子化対策の文脈で語られることの多い保育所ですが、そこでソーシャルワーク支援が実施されることで、子どもの権利擁護の拠点となり、保護者、地域社会と協同し、子育てのしやすい地域社会の実現を志向していくことができると考えます。
 保育所でのソーシャルワーク支援の実施について、最初に示唆をいただいたのは大学生の時でした。1984年当時、関西学院大学社会学部で「児童福祉論」を担当されていた故、嶋田津矢子先生が「保育所は、子どもを見守り育てる大切な社会福祉施設です。これからは、あなたたち社会福祉を学んだ人が保母になって、子どもたちを守りなさい」と講義で話されたことが、保育所保母について関心を向けるきっかけでした。
 その後、障がいをもつ子どもへの支援を学び、ある保育所と出会いました。当時はまだ少数派であった、障がいをもつ子どもと健常児との統合保育を実践している保育所で、保育士(当時は保母)の役割の重要性に気付かされました。保育士は、障がいをもつ子どもと健常の子どもが自然に育ち合う場を作り上げ、双方の保護者同士を出会わせ、毎日の散歩や活動を通じて地域住民に子どもの障がいへの理解を促していました。保育士の果たしている役割がソーシャルワークそのものであり、育ち合う場所としての保育所は毎日の実践の積み重ねにより、限りない可能性をもつことを実感しました。
 その一方で、障がいをもつ子どもの個別支援を通じて、地域の大人の無理解にも出会いました。自閉症の子どものとる行動に冷たい目を向ける大人と、その空気に反応してさらにパニックを起こして動かない子どもを抱きかかえ、道端で一緒にしゃがみこんでいたこともありました。地域社会が彼らを理解すること、理解のあるコミュニティを広げていくことの必要性を強く感じたのもこの頃です。
 その後、大学院生として社会福祉を学び、保育士養成の職に就きました。聖和大学短期大学部で保育士養成に関わることを通じて、初めて保育所が「幼児教育」の現場でもあることを実感し、幼児教育と社会福祉の役割について考える機会をいただきました。その中で、社会福祉施設としての保育所の役割について研究したいという思いが強まり、関西学院大学社会学研究科博士課程へ社会人としての入学を思い立ちました。修士課程に引き続き指導を引き受けてくださった故、髙田眞司先生、仕事と学業の両立を支えてくださった聖和大学短期大学部の先生方には、改めて御礼申し上げます。また、同じ大学院生として出会った方々(多くは大学の先生方でしたが)からは、研究についてときには指導教授以上に厳しい指摘もいただきました。共に良い論文を仕上げていこうという熱気にあふれた素晴らしい学びの場を共有できたことは、感謝すると共に、生涯の宝であると思います。

 (…後略…)

著者プロフィール

土田 美世子  (ツチダ ミヨコ)  (

1962年兵庫県生まれ。関西学院大学人間福祉研究科修了(博士(人間福祉))。
聖和大学短期大学部助教授等を経て、現在、龍谷大学社会学部准教授。
専門は、児童福祉学、子育て支援の専門職。
〈主要論文・訳書〉
『児童福祉の地域ネットワーク』(共著、相川書房、2009年)
「地域子育て拠点施設としての保育所の機能と可能性」『龍谷大学社会学部研究紀要第39号』(2010年)
「エコロジカル・パースペクティブからみた保育実践」『ソーシャルワーク研究34-1号』(2006年)

上記内容は本書刊行時のものです。