北東アジア経済協力の視点から経済から見た北朝鮮
小牧 輝夫:編, 財団法人環日本海経済研究所:編
シリーズ・叢書「明石ライブラリー135」の本一覧
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 272ページ 上製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-3175-1 C0333
在庫僅少
奥付の初版発行年月:2010年03月 書店発売日:2010年04月01日
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紹介

国際的孤立状態のなかで疲弊する北朝鮮を経済活動の側面から分析する。解放・建国直後の南に対する経済的優位は、いつから、なぜ反転したのか。統制経済を再強化するためにデノミを実行したが、効果はあったのか。北東アジア経済協力のためには何が必要か。

目次

 はしがき

第1章 朝鮮における経済再建の動き——「経済強国」建設に向けた朝鮮式経済改革の現状と課題(朴在勲)
 はじめに
 1.各種統計から見る朝鮮経済の現状
 2.朝鮮経済復興の軌跡
 3.これからの経済改革の方向性と課題
 おわりに

第2章 朝鮮における鉱工業の発展(三村光弘)
 1.日本植民地からの解放と新たな国家づくり
 2.朝鮮戦争期の経済(1951〜1953年)
 3.朝鮮戦争後の復興期(1950年代)
 4.中ソ対立の激化と独自路線の建設(1960年代)
 5.技術革新を目指した積極的成長策(1970年代前半)
 6.オイルショック(石油危機)による世界市場の混乱と朝鮮経済(1970年代後半)
 7.外貨不足と貿易多角化への努力(1980年代前半)
 8.旧ソ連・東欧諸国における社会主義の崩壊(1980年代後半〜1990年代前半)
 9.社会主義市場喪失と「新経済戦略」(1990年代中盤)

第3章 北朝鮮エネルギー問題の現状と課題(小牧輝夫)
 はじめに
 1.北朝鮮のエネルギー供給の動向
 2.北朝鮮エネルギー構造の特徴
 3.エネルギー不足の現状
 4.エネルギー不足の原因
 5.北朝鮮政府のエネルギー政策
 6.課題と展望
 おわりに

第4章 北朝鮮の農業と食料問題(尹廷元)
 はじめに
 1.北朝鮮の農業政策
 2.北朝鮮の食糧生産量と需給状況
  ◆コラム:1日のエネルギー所要量(kcal/日)
 3.食糧不足の要因
 4.北朝鮮の食糧問題解決のための課題
  ◆コラム:化学肥料の実物量と成分量

第5章 日朝経済関係(澤池忍)
 1.戦後の日朝貿易の始まり
 2.急増したプラント輸入への代金支払問題が発生
 3.日本大手企業の北朝鮮取引からの撤退
 4.在日朝鮮商工人たちへのバトン・タッチ
 5.遂に日朝貿易終焉の時を迎える
 6.日朝貿易を封じた数々の規制措置
 7.日朝貿易国交正常化後に期待するもの

第6章 中朝経済関係の現状と展望(李鋼哲)
 はじめに
 1.中朝の貿易関係
 2.中朝両国の投資関係
 おわりに

第7章 南北経済交流の現状と展望(李燦雨)
 はじめに
 1.南北経済交流を見る視点
 2.南北経済交流の歴史
 3.南北経済交流の現状
 4.南北経済交流の課題
 おわりに

第8章 朝鮮経済を写す鏡としての朝鮮法(三村光弘)
 はじめに
 1.朝鮮における立法の状況
 2.憲法規定から見た北朝鮮の経済・社会
 3.国家機関の構成と司法制度
 4.経済の基本制度を規定する法律
 5.海外直接投資に関連する法律
 6.経済関連分野の法律
 おわりに

第9章 比較研究:ベトナムの移行経済事例研究(田辺輝行)
 はじめに
 1.市場経済化政策導入の背景
 2.市場経済化政策の内容
 3.市場経済化の深化と新たな課題
 4.北朝鮮経済再生への含意
 おわりに

座談会 北朝鮮経済の「昨日、今日、明日」
 ○北朝鮮経済はどのような原理で動いているのか
 ○旧ソ連・東欧社会主義圏の崩壊が北朝鮮経済に与えた影響
 ○冷戦終結で得をしなかった北朝鮮
 ○ハイリスク・ハイリターンの「おいしい」市場としての北朝鮮
 ○最も近い国と取引がないのは異常な状況
 ○国際社会への参入失敗と冒険主義
 ○90年代の南北の相互認識におけるギャップ
 ○金日成主席の逝去が朝鮮半島にもたらしたもの
 ○北朝鮮が描く近未来の姿
 ○他の社会主義諸国の経験から、北朝鮮を見る
 ○北朝鮮経済の近未来像
 ○日朝国交正常化と日朝経済協力
 ○北朝鮮にとって受け入れやすい経済協力の方式

  ブックガイド
  参考文献

前書きなど

 はしがき

 (…前略…)
 本書は、朝鮮半島に関する私的な勉強会での研究と議論の成果を集約したものである。勉強会は、2005年2月に第1回の会合を持ち、以来、ほぼ月1回のペースで今日まで継続している。研究会のメンバーは、北朝鮮の経済や日朝関係についての研究者、及び日朝貿易、途上国援助、国際金融の専門家、それにジャーナリストと多彩であるが、基本的に民間の個人という立場での参加である。また、特徴的なことは、メンバーは日本籍以外に、韓国籍、朝鮮籍、中国出身者などからなり、いわば多国籍チームだということである。
 勉強会を始めて以降、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が進展せず、北朝鮮が中長距離ミサイル発射実験から遂に核実験に突き進むなど状況は厳しさを増した。一方、拉致問題での膠着もあって、日朝国交正常化の実現はますます不透明になっていった。さらに日本政府が国連決議に沿って北朝鮮に対する制裁措置を強めた結果、もともと縮小していた日朝貿易は中断に近い状況にまで落ち込んだ。かくして北朝鮮経済についての一般の関心は、ますます弱まった。アメリカでオバマ政権が誕生し、米朝交渉の進展が期待されたが、状況は現在もほとんど変わっていない。
 そうした中でも勉強会では、北朝鮮経済についてできるだけ客観的に分析し、来たるべき日朝国交正常化に際して情報提供の役割を果たすべく、研究を続けた。北朝鮮経済に関する情報は、北朝鮮自体が統計を一切発表していないこともあって、ピンからキリまで雑多なものが錯綜している。勉強会では、北朝鮮が発表した公式文献や断片的な情報のほかに、日本、韓国、中国、あるいは米国や国際機関での研究や情報を総合的に検討することを心がけた。
 本書は、こうした背景のもとで生まれたものであり、朝鮮半島の問題や北東アジアの経済協力問題に関心を持たれる各方面の方々や学生の皆さんにも読んでいただくことを念願している。そのため、内容的には研究書の水準を保ちつつ、できるだけ読みやすいものになるように努めた。
 また、本書は、初めに述べたように多国籍チームで執筆したため、それぞれの立場に配慮して、国家名などの表記はあえて統一しないで、各執筆者の選択に委ねている。読者の皆さんには煩雑な印象を与えるかもしれないが、朝鮮半島をめぐる現在の複雑な状況に鑑み、ご了解いただきたい。また、北朝鮮経済やその他の朝鮮半島問題に対する見方や評価においても、5年近くの勉強会でその差が狭められたとはいえ、まだ執筆者の間で必ずしも一致しているわけではない。各章の最後に掲載した座談会では、率直に各自の考え方を述べあった。読者の皆さんの参考になれば幸いである。
(…後略…)

著者プロフィール

小牧 輝夫(コマキ テルオ)

1940年生まれ。大阪市立大学経済学部卒業。1964年、アジア経済研究所入所、動向分析部長、研究主幹を経て2001年、国士舘大学アジア日本研究センター教授。2002年、同21世紀アジア学部教授、現在に至る。主要著作:『朝鮮半島—開放化する東アジアと南北対話』(編著、アジア経済研究所)、『苦難の行進—金正日時代の政治経済展望』』(共編著、アジア経済研究所)、「中国への依存深める北朝鮮経済」』(『世界週報』)など。

上記内容は本書刊行時のものです。
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