子どもをめぐる30のストーリー被害者のこころ 加害者のこころ
藤原 正範:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 260ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-3123-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2010年01月 書店発売日:2010年01月26日
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紹介

少年による凶悪事件が世間を騒がせている。殺害事件といった極端な例でなくとも、地域や教育現場には被害と加害の関係が絶えず存在する。両者の言葉にできぬ事情に迫るために、本書では30の具体的事例を通して、その解決法を模索する。

目次

 はじめに

1.被害者の立場
 ひったくり
 かつあげ
 脅迫メール
 強姦未遂
 リンチ
 万引き
 シンナー少年
 消えた通知表
 謝罪しない犯人
 落書き
 デートDV

2.加害者の立場
 メールで謝った
 いじめの責任
 弁償はいらない
 傷害致死
 昔の事件
 家裁調査官のレポート1:発達障害と非行
 家裁調査官のレポート2:息子の盗癖
 家裁調査官のレポート3:弁護士との対話

3.被害と加害
 誰が投げたの?
 五年後の告白
 無視
 形だけの謝罪
 切れた関係
 謝らない親
 暴力の黒幕
 トラブルメーカーはどっち?
 木版画とミニトマト——最悪の選択
 卒業式
 スクール・メディエーション——対話の可能性

 おわりに
 本書によせて(澤浦武雄)

前書きなど

 本書によせて(『月刊 少年育成』編集長 澤浦武雄)

 青少年にかかわる様々な事件や現象、事象を色々な角度からとらえることをコンセプトに『月刊少年育成』の編集をしている。専門誌のようであってそうでもなく、かといって一般誌でもない。まぁ、その中間に位置する月刊誌というのが当を得ているのだろう。とはいえ、青少年問題に造詣の深い人であっても、それなりに読みごたえのある誌面になっているのではないか、と勝手に思っている。

(…中略…)

 というわけで、何事も多眼で見る姿勢にこだわっている。少年事案を見る場合でも、被害・加害の立場の双方から洞察しなければならないことは言うまでもない。さらに、被害・加害の立場を足して融合させ、化学変化(事案によって内容は異なる)を起こさせた結果の立場(視点)で見る必要があるのではないか、と以前から常々考えていた。
 そんなおり、藤原さんと何回となくお会いし、その都度、様々なことについていつも長時間にわたって語り合った。一般論ではあるが、専門家の人はどちらかというと、いい意味でも一つの方向に偏る傾向がある。その点、藤原さんは専門性を担保しつつもバランス感覚があり、私の考える連載企画を十分に分かって執筆して頂けるものと確信が持てたというわけだ。
 ただ、難しい連載テーマ(特に第三部「被害と加害」)だけに、なかなかオーケーは出ないものと思っていたが、私のつたない説明にもかかわらず了解して頂き本当に感謝している。後から考えると、どうも藤原さんはだれかがこの連載は書かなければならないと思っていたような気がする。
 連載が始まって玉稿に接し、一番目の読者として読むことが楽しみになり、毎月末の入稿を首を長くして待つようになった。第一部「被害者の立場」、第二部「加害者の立場」も執筆は大変だったと思う。だが、第三部は特に苦労されたに違いないが、その苦労のあとが、実に読みごたえのある原稿に反映されている。被害・加害を足して化学変化させた結果の立場(視点)が活写されており、事案の真相と加害者の更生という連載の最大眼目が行間に流れていると断言できる。
 少年事案を概観してみたい。そんな人は是非、この三部作を読むことをすすめたい。そして、最後に付け加えれば、化学変化した視点に自らの視点をプラスしてさらに変化させた視点で、じっくり事案を見つめてほしい。

著者プロフィール

藤原 正範(フジワラ マサノリ)

1954年岡山県生まれ。1977年岡山大学教育学部卒業後、2005年まで家庭裁判所調査官を務め、神戸家裁姫路支部を最後に退職。2008年日本福祉大学社会福祉学研究科修了。博士(社会福祉学)。現在、鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科教授。
著書に『戦前感化・教護実践史』(共著、春風社、2000年)、『家裁調査官レポート』(共著、日本評論社、2001年)、『児童自立支援施設の可能性』(共著、ミネルヴァ書房、2004年)、『少年事件に取り組む』(岩波書店、2006年)、『児童自立支援施設これまでとこれから』(共著、生活書院、2009年)、『Q&A少年事件と裁判員裁判』(編著、明石書店、2009年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。
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