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子どもと家族にやさしい社会 フィンランド
未来へのいのちを育む
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2009年12月
- 書店発売日
- 2009年11月27日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
赤ちゃん中心につくる安心で平等なフィンランド社会の子ども家族福祉の具体的な施策を紹介。乳幼児のメンタルヘルスと子どもと家族の人間関係性に配慮し、社会全体で子育てをサポート。世界乳幼児精神保健学会世界大会(2008年横浜)から生まれた本。
目次
プロローグ 赤ちゃんに乾杯!
――タンミネン先生、そして、フィンランドとの出会い(渡辺久子)
1.赤ちゃんと家族の関係性
――お母さんがしあわせなら、赤ちゃんもしあわせ(トゥーラ・タンミネン)
・赤ちゃんの研究をこころざして
・お母さんの気持ちと子どもの発育・発達
・しあわせ感のカギは人間関係
・子育ての喜びがしあわせをくれる
・社会全体で子育てをサポート
2.フィンランドの子ども・家族福祉
――子ども時代をたいせつにする社会(トゥーラ・タンミネン)
・子どもには特別な権利がある
・数字で見るフィンランドの子ども
・すべての人に保障される家族政策
・出産・子育て相談所=ネウボラ
・自宅での子育てにも保育園での保育にも公的な補助
・子ども時代は遊べ
・子どものメンタルヘルス
・行政に働きかける市民の力
・乳幼児精神保健サービスの三つのレベル
・タンペレ大学病院児童精神科のとりくみ
・子ども・家族のために共同でとりくむ省庁
・子どもの権利を守るオンブズマン
・専門家の関わり方
・乳幼児精神保健学会の役割
3.家族が分かち合う物語[ストーリー]を
――本気で関われば子育ては楽しい(カイヤ・プーラ)
・フィンランドでの子ども虐待防止
・からだだけでなく心も健康に
・子どもの心のケアの専門家を育てる
・社会福祉の手法で心のケアも
・タンペレ大学病院家族病棟でのワークショップ
・心のケアの専門家はいつも革新的
4.子どもを育む福祉社会
――フィンランドの子ども・家族政策の今(高橋睦子)
・憲法にうたわれている子どもとおとなの対等性
・子どものいっそうの利益のための子ども保護法改正
・赤ちゃんのための政策と福祉システム
・子どもと家族のための社会保障と普遍主義
エピローグ いのちを育む社会への希望
――オーケストラのように豊かな人間関係を(渡辺久子)
○コラム
安心・安価で快適な出産――喜ばれる育児パッケージ(藤井ニエメラみどり)
ネウボラ――出産・育児相談所(藤井ニエメラみどり)
マンネルヘイム児童保護連合――子ども家族福祉と民間団体(高橋睦子)
○資料
○世界乳幼児精神保健学会紹介
前書きなど
プロローグ 赤ちゃんに乾杯!――タンミネン先生、そして、フィンランドとの出会い(渡辺久子)
○社会のまんなかに赤ちゃんをすえて育みたい
2008年8月、アジアではじめて横浜で開かれた第11回世界乳幼児精神保健学会世界大会のテーマは、「赤ちゃんに乾杯! 赤ちゃん、家族と文化」でした。
これは、私たちの生活のまんなかに赤ちゃんをすえて、みんなで育んでいこうということから名づけたものです。私たちの家庭生活や地域社会、そして日本の国の政策のまんなかに赤ちゃんをおいて、みんなで子どもを育てる社会をつくっていこうと。
具体的には、赤ちゃんの身近にいる、赤ちゃんのケアをするお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんなどの家族が安心して生活できる社会をめざすということです。病気の赤ちゃんも障害のある赤ちゃんも、どんなに育てるのがむずかしい赤ちゃんでも、安心して生活できる社会をつくろうということなのです。
けれど、今の日本がそういった社会かというと、残念ながらまだ疑問をもたざるをえないように感じられます。
○フィンランド社会のとりくみ
日本と同じような工業化社会のなかでも、赤ちゃんや小さな子どもたちを社会の中心においてがんばっている国があります。それは北欧の国々です。トゥーラ・タンミネン先生は、その北欧のフィンランドで、乳幼児のしあわせのために長いあいだたたかってきた方です。
タンミネン先生は、世界乳幼児精神保健学会の会長を2008年まで二期務められました。会長職を退かれるとき、「私は子どもたちのために役に立つことができたから、ほんとうにうれしい」とおっしゃっていました。先生は、表現のしかたも素朴で美辞麗句を並べない方ですから、ほんとうに子どものしあわせのためにやってこられたのだと思います。
世界乳幼児精神保健学会の設立は1980年ですが、私は1986年、スウェーデンのストックホルムで開かれた第3回大会から関わってきました。タンミネン先生も参加していらしたはずですが、このときはまだお会いしていませんでした。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。