シリーズ・叢書「貧困研究」の本一覧
発行:明石書店 この版元の本一覧
B5判 164ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2988-8 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年05月 書店発売日:2009年05月28日
※FAXによるご注文は、原則としてお受けしておりません。
学校・官公庁などのでの御用でネットショッピングが利用できない場合、メールか電話にてご相談ください。
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカードがご利用いただけます。
あらかじめご了承下さい。
他のオンライン書店で購入※リンク先の書店では、お取り扱いしていない場合があります。あらかじめご了承ください
アマゾン(在庫あり。)|HonyaClub.com紹介
日本における貧困研究の深化・発展、国内外の研究者の交流、そして貧困問題を様々な人々に認識してもらうことを目的として発刊された、日本初の貧困研究専門誌。第2号は「派遣村」など貧困問題をめぐり激変する状況の先に見える課題をとらえる。(年2回刊)
目次
巻頭のことば
今こそ貧困調査の実施と生活保護制度の改革を(布川日佐史)
特集●流動社会における新しい貧困のかたち——貧困研究会第1回研究大会共通論題より
共通論題実施にあたって(村上英吾)
住居喪失不安定就労者に関する厚生労働省全国調査について(北條憲一)
若年ホームレス生活者への支援の模索(沖野充彦)
ネットカフェ生活者の雇用と住居の流動性(村上英吾)
三報告へのコメントと論点開示——「新しい貧困」の分析視角をめぐって(垣田裕介)
三報告へのコメントと論点開示——労働組合運動の視点から(河添誠)
さまざまな貧困の「かたち」とその意味——シンポジウムまとめに代えて(岩田正美)
追悼:貧困研究者・江口英一先生を悼む(岩田正美)
小特集●貧困研究の課題
〈I〉医療と貧困
1.貧困・所得格差と健康——貧困の絶対性と相対性の観点から(近藤尚己/イチロー・カワチ)
2.わが国の貧困と医療の課題——英国との比較から(高鳥毛敏雄)
〈II〉若者と貧困
1.若者の貧困を見る視点(宮本みち子)
2.自己責任論とアンダークラス論を乗り越えるために——若者と貧困に関する実証研究の課題(西田芳正)
この人に聞く 第2回
派遣村の先に見えるもの——メディアと貧困問題(インタビュー:青木紀)
水島宏明(テレビディレクター)
東海林智(毎日新聞記者)
斎藤貴男(フリージャーナリスト)
投稿論文
アメリカにおける「個人開発口座IDAs」の展開——資産ベース福祉政策に関する予備的研究(野田博也)
日本の教育費制度と貧困問題——修学資金制度の利用実態を通じて(鳥山まどか)
書評論文
ポール・スピッカー『貧困の概念——理解と応答のために』(小西祐馬)
阿部彩『子どもの貧困——日本の不公平を考える』(山野良一)
海外貧困研究動向
フランスにおける貧困研究 マリーズ・マルプサット(訳:福原宏幸)
国内貧困研究情報
1.貧困研究会第1回研究大会報告
第1分科会報告:社会的包摂政策の現在——欧州と日本(座長:中山徹)
第2分科会報告:子どもの貧困と健康・障害(座長:松本伊智朗)
自由論題の記録と論点整理(座長:下村幸仁)
2.興味深い統計と数字の動きを見る
多重債務と貧困——公的統計・調査からみる日本と米国の現状(宮坂順子)
貧困に関する政策および運動情報
2008年8月〜2008年12月(村上英吾/五石敬路/鳥山まどか/松本一郎)
「貧困問題」キーワード解説(大澤真平)
貧困研究会規約
原稿募集及び投稿規程
編集後記
前書きなど
巻頭の言葉 今こそ貧困調査の実施と生活保護制度の改革を(布川日佐史/静岡大学)
2008年10月の『貧困研究』創刊から第2号発刊までの間に、貧困をめぐる社会状況は激変した。貧困を誰もが語るようになった。貧困を直視した報道や書籍が相次いで出てきた。「派遣切り」で仕事と住居を同時になくした人への緊急施策が一気に具体化されてきている。
しかし、貧困対策が正面から論じられているわけではない。貧困との戦いを国の政策の中心課題に据えなければならない。それを裏付ける研究が求められている。貧困の実態の解明と貧困対策の検討において、『貧困研究』への期待は大きい。こうした観点から、二つ提言したい。
(1)国として、貧困調査を実施する
創刊号への寄稿でハネッシュ教授が紹介しているように、ドイツでは議会での議決をもとに、すでに3次にわたる『貧困と富裕報告』がまとめられている。『報告』は、貧困の実態、貧困に陥る要因、貧困から抜け出せない要因、従来の対応策の効果と改善の方向を総合的に検討してきた。課題はあるものの、『報告』が貧困に対する学術的、政策的議論を発展させるために決定的な役割を果たしてきた。日本でもこうした作業が必要である。国に対し『貧困報告』作成を求める世論を喚起していきたい。
同時に、『貧困研究』が先行的な役割を果たすことを期待する。『貧困研究』は従来の貧困研究者はもとより専門分野やスタンスが異なった人たちの研究成果を横に繋ぐことができる。子どもの貧困や、高齢者、若者の貧困などそれぞれ注目すべき研究がある。貧困の定義や基準も新たに検討されている。貧困の固定化や貧困の連鎖に関する研究も進んでいる。低所得層の動態や中間層の不安定化も分析されてきた。『貧困研究』はこれらを総合する場になれる。
貧困対策についても従来の研究成果をまとめることができる。08年末からの貸付制度や雇用保険改革、基金や住宅手当などの新たな対策を総合的に分析する場になれる。
国による貧困調査の前提を『貧困研究』が提供できるのである。
(2)社会保障改革の中心課題に生活保護制度の改善をすえる
安定した仕事をなくした人が貧困に陥るのを防ぐという課題と、すでに貧困状態に陥った人への対応という二つの課題にどう取り組むか、議論が必要である。
すでに貧困に陥っている人に必要なのは、生活保護制度を利用しやすくし最低生活を保障しつつ、広義の自立を支援することである。貧困が社会問題となる一方で、生活保護受給者が増加すると、増えすぎだ、そもそも生活保護がすべてを引き受けるべきではないとの声があがる。生活保護は最後に控える制度であるべきとの主張は、生活困窮者を積極的に生活保護に受け入れるのを抑制する議論に転化しかねない。ただし、「生活保護には行かさない」という政策意思が中間のセーフティネット拡充の原動力になり、新制度創設に跳ね返っているのも現実である。
社会保障制度全体を改革するには、土台である生活保護を活用すべきである。国と自治体が受給者拡大の「最低生活保障計画」をたて、ここまでは生活保護で引き受けると明確にすることが、防貧のための諸制度の改善と、基金や住宅手当などの新制度を補完する土台になる。生活保護制度の改善が社会保障改革を進める土台になる。貧困対策を社会保障改革の重点課題にするには、生活保護改革を社会保障改革の土台として論じ始めなければならない。
※FAXによるご注文は、原則としてお受けしておりません。
学校・官公庁などのでの御用でネットショッピングが利用できない場合、メールか電話にてご相談ください。
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカードがご利用いただけます。
コメントとトラックバック »
まだコメントとトラックバックはありません
TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7503-2988-8.html/trackback
