書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
わたしたち里親家族!
あなたに会えてよかった
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2008年12月
- 書店発売日
- 2008年12月16日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
里親自身が語る13の里親家族の物語。社会的養護を必要としている子どもたちの存在と里親養育の実情を、里親家庭のふだんの生活や里親・里子それぞれの家族や社会への思いといったエピソードから浮かび上がらせる。里親・里子を支える関係者のコラムも併録。
目次
はじめに
I それぞれの家族 13の里親物語
ゆっくりと「子育て」を楽しみたい
実子との違いを痛感
実子への影響
真実告知の瞬間
なるべくゆっくり育てたい
「必要とされている」ことをかみしめて
受託までの困難
実親への思いを言葉にして
子育てがなにより楽しい
二人目の受託に向けて
「里親」という生き方
家庭のような場所を求めて
理想のかたちを手に入れた
子ども同士の衝突
つきないトラブル
つらかった経験を乗り越え
夫婦としても育てられた
60歳すぎての再度の子育て
短期の里親制度の良さ
大きい子どもを受託して
日々を積み重ねた結果として今がある
どんどん世界が広がって元気になる
まだまだ里親を続けたい
子育ての原点に立ち返って
不安と混乱と
長女のストレス
深まる姉妹の絆
子どもがいるからこそ受託できた
人と対する力をつけてほしい
里親養育は価値観を組み替える機会
「子どもが最後に帰ってくる場所」になりたい
甘くない現実を乗り越えて
「子どもが最後に帰ってくる場所」になりたい
子どもたちと暮らせる幸せ
人生の一ページに残る大切な時間
毎日が驚きの連続だった
哲はいなくてはならない存在
成長に感激
私のほうが希望をもらっている
夢に向かって一歩ずつ
愛子に出会った頃
極限の日々
過食と真実告知
私たちはひとつの家族
社会的養護とは
愛子の夢
子どもが変わっていくことが最大の喜び
長男のときとまったく違う子育て
胸が張り裂けそうだった
通称名に変えて
この素敵な体験を多くの人に
子どもと向き合って知った親の喜び
子どもには真剣に向き合う大人が必要
里親になることは昔からの夢
子どもの力で「親」へと成長させられていく
地域の中で里子とともに
少しずつ心を開いて
里親は楽しい
家族と地域に支えられ
ともに働く
やってみたら私にもできた
里親は天職
「里親になること」を実感した瞬間
妻の苦悩
二人目を迎えて
里親への思いが妻と逆転
里親をライフワークに
一体感でつながる家族
母親のすごさに感心
あたたかい思い出と寂しさとを残して……
なんで里親なんかやっているんだろう
家族にとって大切なのは血のつながりでなく一体感
II 里親・里子の応援団として
教育現場でできること(小学校教員/白鳥さくら)
FCG(里親・養親ケアグループ)の取り組み(社会福祉法人子どもの虐待防止センター/岡崎京子)
里親さんの関わりは真剣勝負(八王子児童相談所児童福祉係長/瀧澤俊雄)
里子という過去を振り返って(元里子/内田歩美)
血よりも濃い無償の愛(愛恵会乳児院家庭支援専門相談員/佐藤洋子)
里親の応援団長(八王子市子ども家庭支援センター館長/小澤篤子)
医師として里子と関わって(小児科医/近藤真弓)
昨日より、明日は、もっと家族(里親家庭の実子/瓜生阿弥子)
里子のおばあちゃんとして(里親家庭の祖母/山下マス子)
里親の法的資格を考える(弁護士/平湯真人)
養育家庭と施設の協働をめざして(武蔵野児童学園/金子陽介)
養育家庭を支える力となるために(八王子児童相談所所長/外川達也)
III 里親制度をもっと知るために
1 里親とは何か
2 里親になるには?
3 里親を理解するためのキーワード
おわり
前書きなど
はじめに(一部抜粋)
世の中にはいろいろな家族があり、いろんな形の家族があることは良いことで、里親家族もそのひとつだと思います。そこには家族の数だけ物語があります。
私たち里親はよく「自分の子どもだって大変なのに、よそのお子さんを引き取って育てるなんて偉いわね」と言われることがありますが、ほめられた気はまったくしないものです。だって自分は偉いなどと思って里親をしてはいないのですから。自然に里親になりたいという気持ちがわき上がり、自分にできるのだろうか、と不安になりながらも、気がつけば引き寄せられるように子どもたちと暮らす人生を過ごしていたのです。
しかし、「家族になる」といっても簡単になれるものではありません。里親なら誰でも「家族はつくっていくものだ」ということは体験から知っていることですが、そこには広く深い愛情だけではなく、努力や工夫、あるときは腹をくくった忍耐が必要にもなります。そうやってつくった家族は堅固でぶれず、深い絆で結ばれていくものです。たとえ途中で生みの親元に戻っても、施設に移っても、家族としてつながっていくものです。血縁があるから家族なのではない。お互いに歩み寄り、愛し合って家族になっていくのだということをこの本から感じていただければ幸いです。
これから登場する里親さん、里子さんは仮名ですが、ここで少し私だけが知っている里親さんの素顔をご紹介しておきましょう。
(…中略…)
今回、13家庭の最後に森田さんご夫妻のお話を持ってきました。ここにも別の里父さんの姿があり、里母さんを含めた子どもたちを支える家族の気持ちが込められています。里親体験発表で里母の森田さんが涙ながらにお子さんのことを語っていらっしゃった姿を思い出します。本書にもおっぱいを子どもたちが吸うんです、という話が出てきますが、あのときも吸っても出てこないことを申し訳なく思っているかのように、切なく語っていらっしゃいました。
里親たちはいつも子どもたちに対して真剣で、誠実であろうとしています。これは里親家庭ではない一般家庭の子育てにも参考になるのではないでしょうか。
「ただの里親」が活字になって皆様の目に触れた瞬間に、「キラキラ輝いて生きている里親さん」だったことがわかっていただけるでしょう。なぜ、里親が輝いているのか、それは里子と呼ばれる子どもたちが輝いているからです。生まれた瞬間から、あるいは胎内にいるときから、多くの赤ちゃんとは違った人生を生きざるをえなかった、悲しいことに幼い日に突然、当たり前に存在したものが消えてなくなった、それでもたくさんの人たちの力を借りながら子どもたちは懸命に前を向いて生きようとしているのです。
子どもたちの健気さを支えようとしてくださっているのが今回、熱いコラムを書いてくださった方々です。市や都の行政、祖母や実子、元里子という家族、教育や医療、弁護士、里親相談スタッフの専門家、社会的養護を里親と一緒に担う児童福祉施設、そんな大勢の温かな支援者がいることを子どもたちには知ってもらいたいのです。あなたは一人ではない!と。
さあ、13家庭の扉が開きます。
上記内容は本書刊行時のものです。