発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 212ページ 上製
定価:2,600円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2874-4 C0032
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年10月 書店発売日:2008年11月07日
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世界の工場といわれて久しい中国は、2001年にWTOに加盟したことにより世界市場から制約を受けると同時に、世界経済へ大きな影響を与えることにもなった。中国への投資、企業の進出などに関して様々な法令を事例をまじえつつ問題点も含め詳しく解説する。
目次
まえがき(高木喜孝)
第1章 外資政策の大転換——WTO加入5年(2007年現在)の外資優遇政策の変化及び外資企業関連法
1 「世界の工場」
2 合弁から独資主流へ——合弁企業の転換点
3 外資導入政策の大転換
4 「企業所得税法」の優遇策
5 「第2の合弁」に向かうか?
第2章 国有企業改革と外資企業への影響——外国企業が知っておくべき株式会社化の実状
1 2006年1月1日施行された中国の会社法改正について
2 会社法改正と外資企業
3 国有企業改革と株式会社化——民営化
4 国有企業改革と株式会社化——上場
第3章 外資によるM&Aとその法制度の実情——国有企業のハイブリッド企業化と外資によるM&A
1 中国M&A法制は国有企業改革・再編から
2 外資によるM&A法制の現状
3 政府主導の強力ハイブリッド企業——防禦的・制限的M&A法制と重点産業に第2の合弁の波
4 結び
第4章 企業破産法——政策性破産から経済性破産へ
1 旧「企業破産法(試行)」と「政策性破産」
2 新企業破産法
3 外国企業の倒産と国際破産手続き
4 政策性破産事例
第5章 中国独占禁止法採択——国内市場統一と「行政独占」及び堅持される外資導入政策
1 中国国内市場の統一へ——「地方分断経済」の実態
2 中国独禁法の留意点1——独禁法の構成と実効性
3 中国独禁法の留意点2——多国籍企業への警戒
第6章 私営企業の躍進——中国市場経済の強力なエンジン
1 私営企業の躍進
2 私営企業暫定条例
第7章 物権法の下の土地使用権——都市と農村二重の土地制度の下の建設用地使用権と外資企業
1 農村の「集団所有」
2 都市の国有地
3 統一登記制度の見通し
第8章 知的財産権のWTO対応法制と実効性——「自主創新」・R&Dと模倣品
1 「自主創新」・R&Dと模倣品——中国の知的財産権の法整備の基礎条件
2 知的財産権保護のWTO対応法制と実効性——行政取締りと刑事罰
3 司法救済——主として差し止め仮処分を中心に
4 訴訟前差止制度の課題
第9章 労働契約法——中国政府、労働者保護へ大胆に舵きり
1 メイドインチャイナ——低賃金輸出志向の「世界の工場」から「和諧(調和)社会」へ
2 労働契約法——労働者保護を強化
3 終身雇用の誘導と経営者側の反発
あとがき(兪浪瓊)
前書きなど
まえがき
北京オリンピックは、中国の「改革開放」による経済成長、特に2001年12月のWTO(世界貿易機関)加入後の超高度成長を内外に宣揚した。
中国は「世界の工場」としての地位を不動のものとしている。しかし、それは他方で世界市場の制約を受けることでもある。世界市場の景気波動は直接中国に波及する。また、WTO加入は中国市場の開放を義務ともしたので、「中国市場を制する企業は世界を制す」と勢いこむ巨大な多国籍企業を中心とする外資の進出に当面もしている。
法整備の面でいえば、WTO加入に対応する法整備は、グローバルスタンダードを取り入れる側面を持ちつつ、国内的には「社会主義的市場経済」と外資の導入・進出に対応する経済法の整備が急速に進行してきた。
公司(会社)法・証券法・企業破産法・M&A(企業買収)法及び私営企業法という企業に関する基本法、特許法・商標法・著作権法など知財関連法が次々に制定あるいは改正され整備された。
WTO加入以来のこうした経済法の整備も、2007年の企業所得税法改正、物権法、労働契約法、独占禁止法の各制定で大きな画期を迎えた。それは経済法体系の成就として大きな成果である。しかし同時にこの経済法体系の実際の運用如何がこれから問われるということでもある。
というのも、中国の「社会主義的市場経済」に対応する経済法体系は、第一に国有企業を中核とする公有経済と市場経済の関係、第二に外資導入政策の結果、強力な存在となった外資の中国国内経済における位置づけ、第三に都市と農村の二重の社会制度との関係という基本問題を抱えている。それぞれの経済法が対応する「社会主義的市場経済」の実状はどうか、改めて問題となるのである。
日本国際貿易促進協会は、こうした問題意識に基づいて2007年度連続セミナー「中国WTO加入5年の法整備の実状と外国企業」(2007年5月〜2008年3月)を開催し、筆者らは中国法律実務に携わる弁護士であり、業務を通じて中国の経済法に関するこうした基本問題に直接当面しているところからその講師を務めた。このセミナーは外国企業から見た実務的関心を基本として、中国経済法の急速な整備についてできるだけ総括的に整理し理解しようという試みである。本書はこのセミナーに由来する。
筆者らは連続セミナーの報告を準備するに当たり、1.中国の法整備を報道する新聞記事を集約してジャーナリズムの感覚を共有し、2.これらを「社会主義的市場経済」に対応する経済法体系という視点で総括的に捉えることを心がけた。特に法律の捉え方として、3.中国国内事情としての国有企業改革と外資・外国企業という基軸に留意した。また、4.中国国内の事情について、できるだけ活き活きした情報に目を向けることを心がけ、当時共同執筆者兪浪瓊弁護士が上海で法律業務を始めたので、特にこの点に期待した。同弁護士は、東京で3年余筆者高木喜孝の中国業務を中国弁護士として補佐し、本書の問題意識を共有した。
この連続セミナーでの報告が、企業の中国業務を担当する参加者の方々から幸いにも好評を得たので、終了後直ちに文章化して出版することにしたのである。
本書が、「戦略的互恵関係」という日中新時代に向かって、企業の中国業務を担当する方々に「社会主義的市場経済」の下の経済法について、一層考えを深めていただくきっかけを提供できることになれば、日々日中渉外法務に携わっている筆者らは大変幸せである。
2008年9月9日 弁護士 高木喜孝
著者プロフィール
高木 喜孝(タカギ ヨシタカ)
弁護士
東京大学法学部卒業、新聞学修士課程修了(社会学修士)、同博士課程単位取得。
1985年以来中国渉外法務に携わる。
1996年以来中国判例・仲裁判断例研究会を主宰。
日中法律家交流協会専務理事、日本国際貿易促進協会法律顧問。
<主な論文・著書>
「中国の民事訴訟の現状」(『平成13年度秋季弁護士研修講座』商事法務研究会、2002年)
『中国国際仲裁ハンドブック』(兪浪瓊との共著)(日本国際貿易促進協会、2005年)
『戦後補償と国際人道法』(共編)(明石書店、2005年)
兪 浪瓊(ユ ランチウン)
中国弁護士・法学修士
2003年7月より2007年3月まで東京で中国弁護士として日中渉外法務に従事。2007年4月帰国、上海において弁護士業務を開始。
<主な著書>
『中国国際仲裁ハンドブック』(高木喜孝との共著)(日本国際貿易促進協会、2005年)
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