シリーズ・叢書「世界の教科書シリーズ22」の本一覧
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 292ページ 並製
定価:4,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2872-0 C0314
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年10月 書店発売日:2008年10月31日
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イランの高校一、二年生の国定教科書。イランの国教である十二イマーム・シーア派の教えを易しく解説した本書は、現体制による公式の教義とも言える。今日のイランの人々が共有する世界観、行動規範、さらに近代西欧に対する厳しい視点の源を読み解ける。
目次
訳者まえがき
第一巻 イスラームの慧眼(1)
第一部 神学[神の存在を信じること]
第一講 青年期における思考力養成の重要性
第二講 理論の基礎
第三講 神を知る方法
第四講 秩序の証明(1)
第五講 秩序の証明(2)
第六講 天性の鏡に映る神
第七講 神の属性
第八講 唯一性と多神教
第九講 人間生活における信仰の反映
第二部 ふるまいと道徳
第十講 道徳形成
第十一講 友愛と友人選び
第十二講 預言者の生活に見る道徳(1)
第十三講 預言者の生活に見る道徳(2)
第三部 イスラーム法諸令
第十四講 イスラーム法諸令を知る(1)
第十五講 イスラーム法諸令を知る(2)
第十六講 イスラーム法諸令を知る(3)
第二巻 イスラームの慧眼(2)
第一部 預言者
第一講 マクタブが人間に必要であること
第二講 天啓のマクタブの必要性
第三講 預言者たちの特有性
第四講 預言者たちの文化的・社会的役割
第五講 宗教はひとつか、複数か
第六講 クルアーン、永遠の奇跡
第二部 イマーム
第七講 イマームとヴェラーヤト
第八講 クルアーンとスンナから見たイマーム
第九講 イマームの特性
第十講 イスラームの行く手におけるイマームたちの役割(1)
第十一講 イスラームの行く手におけるイマームたちの役割(2)
第十二講 約束されたメヘディ
第十三講 イスラームの歴史観における真理の最終的勝利
第十四講 イジュテハード
第三部 イスラーム法諸令
第十五講 神崇拝の規律
第十六講 経済的規律
訳者あとがき
索引
前書きなど
訳者まえがき
イランはイスラーム・シーア派を国教とし、その教義に由来する政教一致の独特の統治体制を持つ国である。イランがシーア派を奉じる国家となったのはサファヴィ朝(西暦1501-1736年)の成立以来であるが、シーア派の考え方やものの見方は、イランの国民性や人々の行動様式、思考様式と密接不可分に関わっており、イランとそこに住む人々を知る上で、看過できない側面であると言える。
パフラヴィー朝期(西暦1925-79年)、イランは西欧近代化を専制的国王の下で推進したが、1979年のイラン・イスラーム革命後、ホメイニー師(西暦1902-89年)の指導下で、またホメイニー師の没後は後継者ハーメネイ師の下で、近代西欧の文化に対して一線を画し、シーア派の教義に立脚した統治体制と文化の維持に努めてきた。たとえばその統治体制は、イスラーム法学者が最高指導者(信徒の守護を担うイスラーム法学者:ヴァリーイェ・ファギー)として指導監督する形をとる。これは十二イマーム・シーア派の信徒にとって本来の守護者・指導者は第十二代イマームであるが、10世紀以来このイマームがお隠れであるため、イスラーム法学者がこのイマームの代理を務める、という教義に基づく。この教義に基づく統治体制をヴェラーヤテ・ファギー(イスラーム法学者による監督指導)体制と呼ぶ。
このような統治体制の下での人間観そして社会や文化の価値観は、近代化あるいは西欧化を当然視し、欧米の価値観や歴史をもって尺度とし基準としてきた我々にとっては異質であるが、同時に我々の社会の価値観や歴史観を相対的に見て客観的に考える契機を与えているとも言えよう。
以下はシーア派の教えと道徳に関するイラン政府国定の高校教科書の翻訳であり、高校第一、第二学年度分にあたる。十二イマーム・シーア派イスラームの教義を高校教科書として一般向けに平易に説いたものであるため、イランの人々だけでなく、我々にとってもわかりやすいものと言える(ただし、各巻のイスラーム諸令は必ずしも日本人一般の関心を引くかどうか不明である。この箇所を省いて読みすすまれるのも一法であろう)。
(…後略…)
著者プロフィール
富田 健次(トミタ ケンジ)
1947年愛媛県生まれ。立命館大学文学部東洋思想(東洋史)修士課程修了、テヘラン大学文学部留学、イランで日本企業に勤務した後、(財)中東経済研究所主任研究員、大分県立芸術文化短期大学国際文化学科教授を経て、2003年10月より、同志社大学神学部教授。専攻は、現代イラン研究。
著書(単著)に、『アーヤトッラーたちのイラン——イスラーム統治体制の矛盾と展開』(第三書館)、主な翻訳と解説(単著)に、R.M.ホメイニー『イスラーム統治論・大ジハード論』(平凡社)、主な共著(論文集)に、小松久男・小杉泰編集『現代イスラーム思想と政治運動』所収の論文「イスラームの革命——ホメイニーとハータミー」(東京大学出版会)、そのほか、共著に上岡弘二編『暮らしがわかるアジア読本シリーズ イラン』(河出書房新社)、後藤晃・鈴木均編『中東における中央権力と地域性——イランとエジプト』(アジア経済研究所)など。
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