共同の歴史認識に向けて若者に伝えたい 中国の歴史
歩 平, 劉 小萌, 李 長莉, 鈴木 博:訳
発行:明石書店
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B5変 240ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2840-9 C0022
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年08月
書店発売日:2008年09月03日
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紹介

中国の歴史学者が日本の学生・一般読者に向けて新しく書き下ろした中国史のテキスト。後半は日本と中国の「交流史」という観点から両国の関係を斬新に描く。中国の教科書に比べコンパクトで写真・図表もフルカラーで掲載。手に取りやすく入門書にふさわしい一冊。

目次


 発刊の辞
 まえがき

第1部 中国の歴史と文化

第1編 中華文明の起源と国家の誕生
 第1章 中華文明の起源
  1.文明の曙光
  2.華夏の祖
 第2章 国家の誕生
  1.初期国家——夏、商〔殷〕、周
  2.商〔殷〕、周の文化
 第3章 春秋・戦国時代
  1.春秋の五覇
  2.戦国の七雄
  3.文化における‘百家争鳴’
第2編 統一国家の樹立
 第1章 秦朝による統一
  1.秦の始皇帝の功業
  2.項羽と劉邦の戦い
 第2章 漢朝の興亡
  1.前漢から後漢へ
  2.漢代の文化
  3.漢代の科学技術
  4.シルクロードと東西交流
 第3章 政権の分立と民族の融合
  1.三国の鼎立
  2.魏晋南北朝
  3.魏晋南北朝の文化
第3編 多民族国家の発展
 第1章 全盛期の唐朝
  1.唐朝の隆盛
  2.周辺の各民族との関係
  3.唐朝の域外交流
  4.絢爛たる文化
  5.先進的な科学技術
 第2章 民族政権の並立と離合
  1.北宋と遼、西夏、金との並立
  2.南宋と金の対峙
  3.宋代の科学技術
  4.宋代の文化芸術
 第3章 大元帝国
  1.モンゴル族の勃興と元朝による全国統一
  2.元朝の内外関係と文化交流
  3.元朝の文化と科学技術
 第4章 明朝の統治
  1.明朝の樹立と君主集権
  2.明朝の辺境経営と対外交流
  3.明代の文化と科学技術
 第5章 清朝が統一した多民族国家の発展
  1.清朝、中原に進出
  2.辺境経営
  3.清代前期の文化
  4.清代前期の科学技術
第4編 清代後期——沈淪と覚醒
 第1章 開港通商と自強運動
  1.アヘン戦争と開港通商
  2.太平天国、一般住民とキリスト教徒との衝突
  3.自強運動と‘西洋に学ぶ’
  4.西風東漸のもとにおける社会と文化
 第2章 民族危機と維新啓蒙
  1.甲午中日戦争の衝撃
  2.維新運動の啓蒙
  3.義和団運動と八か国連合軍の中国侵略
 第3章 清代末期の新政と辛亥革命
  1.新政と社会の変革
  2.学校の設立、科挙の廃止、留学ブーム
  3.社会生活と風俗の変遷
  4.辛亥革命と清朝の滅亡
第5編 中華民国——戦乱と建設
 第1章 共和制の草創と五四新文化運動
  1.共和制の樹立と軍閥政権
  2.社会、経済、文化の発展
  3.五四新文化運動
  4.家庭革命と新しい女性
 第2章 国民革命と経済・文化建設
  1.軍閥混戦と中国共産党の創立
  2.国民革命と共産党の武装闘争
  3.社会と経済の発展
  4.教育、文化、生活
 第3章 抗戦と解放
  1.日本の侵略戦争による災難
  2.抗日戦争——抵抗と勝利
  3.内戦と解放
第6編 新中国——模索と発展
 第1章 曲折に富む模索
  1.建国と抗米援朝
  2.工業化と大躍進
  3.‘文化大革命’——内乱
  4.建国初期の社会と文化
 第2章 改革・開放と急速な発展
  1.改革・開放
  2.中国の特色をもつ社会主義
  3.両岸四地と国際関係

第2部 中国と日本の文化交流

 1.古代の交通
 2.徐福の伝説
 3.金印の証明
 4.遣唐使
 5.文化交流の立役者(一)
 6.文化交流の立役者(二)
 7.宋代の交流
 8.元朝による日本征討
 9.朱舜水と日本文化
 10.近代における文化交流の先駆者
 11.日本を遊歴した中国人
 12.アヘン戦争の教訓
 13.国交樹立
 14.琉球問題
 15.日本留学生
 16.春帆楼について
 17.誠意のこもった友情
 18.第二次世界大戦後の曲折に富む関係
 19.中国残留日本人の帰国と中国人労働者の遺骨の返還
 20.中国に対する‘政府開発援助’(ODA)
 21.日本青年の訪中と中国卓球チームの訪日
 22.新たな一ページ
 23.戦争賠償と民間訴訟
 24.中日歴史共同研究

 おわりに
 用語説明
 人名索引
 事項索引

 訳者あとがき

前書きなど

発刊の辞

 中国と日本はともに東アジアに位置する重要な国家であり、その交流の歴史は非常に古い。漢代〔前202−後220年〕の中日間に文字記録のある歴史的事件から、これまでに2000年余りの歳月がたっている。とりわけ隋・唐代には両国の交流は密接で、たがいに使節を派遣し合い、政治管理の経験を交流し、文化、習俗、伝統を伝え広め、通商貿易に従事した。同じように漢字文化圏と儒学的伝統の背景のもとにある中日両国は、東アジア史の発展過程において共通点が少なくない。近代以後、とりわけ日本の明治維新〔1868年〕以後、日本の経験は中国に巨大な影響をもたらしたが、同時に両国の発展は両国の距離を引き離し、尖鋭な矛盾を生じ、一時期、血なまぐさい関係が近代の中日関係を支配し、侵略戦争が両国関係史上に暗黒の一ページをもたらした。
 戦争の終結後、とりわけ中日の国交正常化ののち、中日両国は経済、政治、文化、教育など各方面で新たな交流を始め、両国の有識の士は戦争のもたらした両国の国民の傷を癒すことに努めたが、両国の関係にはいまなお人意を尽くせないところが少なからず残っており、不協和音も少なくない。歴史認識の問題こそその重要なポイントにほかならない。
 人びとはつねに理想化された共通の歴史観について語るが、共通の歴史観は重要問題に対する共通の認識を基礎にして樹ち立てられ、共通の認識は歴史的事実の共有を源泉にしている。その意味から、歴史的事実の共有こそ、共通の歴史認識、ひいては共通の歴史観を樹ち立てる基礎にほかならない。歴史的事実の共有についていえば、中日両国の民衆のあいだにはたしかにかなり大きな問題が存在する。他国の民衆について語るのは、『アラビアンナイト』のようなものかもしれない。歴史的事実の共有が実現されなければ、各自がそれぞれ自己の掌握する歴史的事実にもとづいて樹ち立てた歴史認識は同一ではない可能性がある。
 中日両国の地理的な距離はけっして遠くないし、中国の歴史は、中国の青少年にとっては聞き慣れていて詳しく話すことができるかもしれないが、日本の青少年にとってはまったく新たに認識するものかもしれない。両国の青少年の心理的な距離を狭めるために、本書は積極的な役割を果たすことができるかもしれない。歴史的事実の共有をふまえ、徐々に相互の認識の違いを取り除き、認識の共通点を拡大していけば、広範な国民のあいだに相互の理解と信頼を樹ち立て、国家関係の正常な発展を積極的に推進していくであろう。

   2008年8月15日   歩平

著者プロフィール

歩 平(プー ピン)

1948年生まれ。現在、中国社会科学院近代史研究所所長。日本の横浜市立大学、新潟大学、慶應義塾大学の客員教授を歴任。2006年12月からスタートした「日中歴史共同研究」の中国側首席委員もつとめる。主な著書に『黒龍江通史』(共著、中国社会科学出版社、2002年)、『日本の中国侵略と毒ガス兵器』(明石書店、1995年)、『日本侵華戦争時期的化学戦』(中国社会科学文献出版社、2004年)『未来をひらく歴史——東アジア3国の近現代史』(共著、高文研、2005年)などがある。

劉 小萌(リウ シアオモン)

1952年生まれ。現在、中国社会科学院近代史研究所研究員。日本の東北学院大学客員教授もつとめた。主な著書・論文に『満族从部落到国家的発展』(中国社会科学出版社、2007年)、『愛新覚羅家族全史』(吉林人民出版社、1997年)、『満族的社会与生活』(北京図書館出版社、1998年)、「清代北京旗人社会中的民人」(『故宮博物院八十華誕古陶瓷国際学述研究会論文集』所収、2007年)などがある。

李 長莉(リー チャンリー)

1958年生まれ。現在、中国社会科学院近代史研究所研究員。東京大学、大東文化大学、創価大学の客員研究員を歴任。主な著書に『先覚者的悲劇——洋務知識分子研究』(上海学林出版社、1993年)、『近代中国社会文化変遷録』第1巻(浙江人民出版社、1998年)、『晩清上海社会的変遷——生活与倫理的近代化』(天津人民出版社、2002年)、『中国人的生活様式从伝統到近代』(四川人民出版社、2008年)などがある。

鈴木 博(スズキ ヒロシ)

1940年東京生まれ。1965年東京大学文学部卒業。現在翻訳業。主な訳書に『周恩来 十九歳の東京日記』(小学館文庫)、『劉賓雁自伝』、『介石書簡集』全3巻(以上、みすず書房)、『実録三国志』、『中国性愛文化』、『中国近世の性愛』、『中国遊侠史』、『中国飲食文化』、『中国の神話伝説』全2巻(以上、青土社)、『図説中国 食の文化誌』、『中国性愛博物館』(以上、原書房)など多数。

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