発行:明石書店
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四六判 304ページ 上製
定価:3,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2828-7 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年08月
書店発売日:2008年08月06日
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日中韓には、靖国神社参拝・反日暴動・高句麗論争など歴史認識をめぐる対立が存在する。本書は、三国の人々が歴史をどのような理由から、どう把握してきたかを、国内・国際政治政策という視点で析出し、東アジアの国際協調を新たに捉え直すことを求めている。
目次
はじめに——歴史対話を超えて(近藤孝弘)
第I部 韓国——歴史問題の新たな構成
第1章 韓国における「過去事清算」とその政治的ダイナミクス(河棕文)
第2章 共有された高句麗の歴史と文化遺産をめぐる論争(安宣)
第3章 韓国における歴史教育政策の変遷(井手弘人)
第4章 東アジアの歴史教科書問題に思う——韓国国際歴史教科書研究所を率いて(李泰永)
第II部 中国——社会の変容と歴史教育
第5章 改革開放以後の中国における歴史教育
——社会の多元化、政治による道具化、そして教育の現実のあいだ(クラウディア・シュナイダー)
第6章 中日の文化関係から見た歴史問題
——東アジアにおける平和に向けて何をなすべきか(楊彪)
第7章 明治期日本史学と清朝末期における新たなスタイルの歴史教科書
——ネーションの叙述をめぐって(エドワード・Q・ワン)
第8章 加害者と被害者がともに歴史の陰から踏み出すために(姚宝)
第III部 日本——なぜ過去は克服されないか
第9章 歴史認識は如何に国境を越えるのか(劉傑)
第10章 戦後日本の歴史政策の諸問題(フォルカー・フールト)
第11章 アジアにおける日本の「歴史問題」
——戦後構想と国際政治文脈を比較の視点から(柴田政子)
第12章 東アジアの歴史問題とヨーロッパの歴史政策(近藤孝弘)
補論 東アジアにおける歴史対話の到達点と課題(井手弘人)
あとがき(近藤孝弘)
[資料]東アジア歴史対話関連年表(寺田佳孝)
索引
前書きなど
はじめに——歴史対話を超えて (近藤孝弘:一部抜粋)
(…前略…)
歴史対話を超えるところで本書が目指しているのは、現在の東アジアの人々が過去あるいは歴史をどのような理由から、どのように把握しているのかを明らかにすることにより、歴史問題の解決に向けて確かな努力を行うための、言わば東アジアの歴史理解についての理解を獲得することである。具体的には、次のような発想の転換が必要と思われる。
上海その他での暴動や、高句麗の歴史をめぐる中韓の対立は、東アジアの歴史問題の原因が、植民地主義と侵略戦争への反省を欠いた日本人にのみあるのではないことを明らかにした。暴力は明らかに行き過ぎであり、また緊張関係は日本と中国、日本と韓国のあいだにのみ存在するわけではない。中国と韓国が一致団結して日本を批判しているという認識は、現実に合致しないのである。このように日本と近隣諸国とのあいだに対立を見る見方は、むしろ日本中心主義的であり、中韓両国の国力が非常に小さかった時点ではともかく、今日の東アジアとその未来を考える際には、三国を同じ地平に置いて捉える必要があろう。
もう一つ重要なのは、歴史理解をめぐる対立は、正確には三国の「あいだ」にあるというよりも、たとえば日本の教科書訴訟や右派の活動に見られるように各国の国内に存在しており、それが東アジアという国際的なアリーナにおいて刺激しあいつつ結びついているということである。各国が歴史理解の上で一枚岩であると無意識のうちに捉えることが不正確なだけでなく、近隣諸国の内部に歴史理解をめぐる対立があるのを見ることにより、問題が鎮静化に向かうと考えるのも間違いである。現実には、たとえば韓国国内で保守派と革新派の対立が厳しくなるほど、日本人の歴史意識を問う姿勢が強まる事態も考えられる。もちろん日本人と言っても、決して一枚岩ではないのだが。
このような問題意識に立ち、本書は、韓国・中国・日本のそれぞれの社会において、政治的な対立が歴史理解とどう結びついてきたのか、さらに、その対立が各国間でどのように摩擦を引き起こしているのかに注目するものである。
(…後略…)
著者プロフィール
近藤 孝弘(コンドウ タカヒロ)
1963年生
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授
研究分野:国際歴史/政治教育研究
著書・論文
『ドイツの政治教育』岩波書店、2005年
『自国史の行方——オーストリアの歴史政策』名古屋大学出版会、2001年
『国際歴史教科書対話——ヨーロッパにおける「過去」の再編』中央公論社、1998年
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