中高一貫教育の新しいデザイン学び合いで育つ未来への学力
東京大学教育学部附属中等教育学校:編著, 衞藤 隆, 汐見 稔幸, 佐藤 学, 浦野 東洋一, 酒井 邦嘉, 苅谷 剛彦
発行:明石書店
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A5判 218ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2800-3 C0037
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年06月
書店発売日:2008年06月02日
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紹介

進学実績ばかりが問われる現在の中高一貫校のなかで、ゆっくりじっくり学び合い、6年間をかけて総合学習にとりくみ、あとになって効いてくる教育をめざす。東京大学教育学部の研究者と教師とのコラボレーションは、学びの共同体づくりを支える。入試問題付。

目次

 はじめに

第1章 中等教育学校という学びの場
 中等教育学校とは
 6年間をともに過ごす意味
 この時期の知的発達の特徴

第2章 学び合う子どもたち
 「学びの共同体」による学校改革——中等教育のモデル・スクールへ
 教科で学ぶ子どもたち
 [前期生]自ら考え、探求する基礎を培う
 [後期生]学びを深め、発展させる
 知の総合を経験する子どもたち
 [総合学習入門]1・2年は基礎期
 [課題別学習]3・4年は充実期
 [卒業研究]5・6年は発展期

第3章 成長する子どもたち
 行事で成長する
 [銀杏祭と体育祭]自分たちで作り上げる二大祭
 [水泳と遠足]自分自身への挑戦
 [宿泊研修]調査・研究・発表に取り組む
 仲間とともに成長する
 異学年交流
 現代の友情

第4章 生徒の成長を見守る目
 三者協議会の始まり
 「開かれた教職の専門性」の探求を——たしかな子ども論・学校論の獲得を基礎に

第5章 双生児研究最前線
 ふたごのいる学校
 脳の発達と言語習得

第6章 巣立つ子どもたち
 卒業生から見た東大附属
 東大附属で学んだことの意味

第7章 特色ある入学選抜
 志願者が増えている推薦選抜
 秘めた可能性を測る一般選抜
 平成19・20年度入学検査問題

前書きなど

はじめに(一部抜粋)

(…前略…)

 東京大学教育学部附属中等教育学校は、6か年一貫して教育を受ける学校です。後述のごとく以前は中学校と高等学校が併設される形態でしたが、2000年からは途中に卒業のない中等教育学校に変わりました。小学校も6年間ですが、中等教育学校の6年間は、個人レベルではちょうど子どもからおとなに変化する時期にあたり、心もからだも大きく変化し、成長する時期です。このような時期は知識と体験を重ね自分を見つめ深い思考ができるようになる時期でもありますが、精神面ではある意味で不安定で、一人ひとりの生徒をしっかりと見つめ支援する関わりが大切です。
 国立の附属中等教育学校としては、奈良女子大学教育学部附属とともに早いスタートを切った学校のひとつです。最近、東京都内に公立の中高一貫教育の学校が次々に誕生していますが、本校は中高一貫教育については歴史を有し、一歩先んじているという自負があります。教職員が一丸となり変貌を遂げた学校です。また、伝統的に保護者の熱心な活動に支えられてきた学校です。そのような経緯があるので、伝統もありますが常にチャレンジをしている学校でもあります。2004年度から東京大学は国立大学法人東京大学となり、本校も法人化された経営環境のもとでその存在を模索する立場に置かれました。これまで以上に、?ミッション?が問われるようになりました。すなわち、本校の存在する理由が何であるかを明確に意識し、目的をもって経営にあたる必要性が出てきたといえます。
 また、地域との交流にも力を入れ始めています。地域の災害時避難所として備蓄倉庫を備えるなどは以前よりおこなってきたことです。東京大学の知の資源を活用した総長授業、海洋研究所教授陣による授業などを公開し、中野区教育委員会を通じ区立の中学校教員にも参加を呼びかけています。本校自身が中野区内にある学校として地域との関係を築き、交流を深める意義が高まってきていると認識しています。
 先に述べた旧制東京高等学校は官立の7年制高等学校で、1921(大正10)年に発足したのち、独特の教育制度のもと数々の傑出した人物を輩出してきましたが、戦後の学制改革に伴い1950年に廃校されました。廃校の2年前、1948年、同校の3年生と新たに募集する1・2年生を合わせ東京大学のもとで新制中学校を編成しましたが、これが本校の実質的発足となりました。
 1949年度の募集から男女共学が始まり、入学者を公開抽選により決めるという方式が採用されています。またこの年、新制高等学校が発足。1950年には東京大学文学部から教育学部が独立し、新たな学部となりました。これに伴い、本校は東京大学教育学部附属中学校および高等学校となりました。1953年度から双生児の募集が始まり、学級数が増え、現在のような1学年3学級となりました。その後、入学選抜方式が変更されたり、通学区域が設定されたり、またそれが拡大されたりといくつかの変更はあったものの、本校の基本的な枠組みはこのころほぼできあがり、今日まで年数を重ねてきました。前述のように、2000年に中等教育学校という学校種に移行しましたが、新制の学校の発足から数えると2008年5月で創立60周年を迎えることになります。
 この年は中等教育学校に移行して9年度目となりますが、この節目に「学びと成長」をキーワードとし、本校で展開している教育活動の実際を広く社会に発信し広くご理解をいただきたいと願っています。そして、そこで展開されている教育活動の成果はどのような形で見えるのか、生徒と教職員の歩みを見つめ直すことから問うてみたいと思います。本校の現教職員、旧教職員、東京大学教育学部・教育学研究科の教員、その他本校の教育研究活動に関わってくださった先生方に原稿執筆をお願いし、60周年記念事業ワーキングチームの企画に基づき記念誌の編纂を進めてまいりました。
 以上のようなねらいと経過により、本書を60周年記念事業のひとつとして位置づけ、発刊することにいたしました。執筆と制作に携わられた皆さまには、この場をお借りして御礼申し上げます。本校のことをよくご存じでない多くの皆さま、またよくご存じの皆さまにも本書をお読みいただき、本校の教育についてご理解を賜り、忌憚のないご意見を頂戴できればありがたく存じます。

 2008年3月   東京大学教育学部附属中等教育学校校長 衞藤隆

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